エジプトのヒエログリフはアルファベット(音素文字)マヤ文字は音節文字 日本語のかな漢字にも影響

エジプトのヒエログリフはアルファベット(音素文字)であるのに対してマヤ文字は基本、音節文字です。日本語のかなに似ています

ヒエログリフ(hieroglyph)
紀元前3200年頃 – 400年頃

 

 

マヤ文字(Mayan Glyph)
紀元前3世紀頃-紀元後16世紀

 

 

 

■象形文字から生まれたアルファベット文化と漢字文化

 

エジプト文明で発明されたヒエログリフ ©A☮ineko

紀元前4,000年のエジプト文明では、「ヒエログリフ」が発明され、鳥の頭の向きによって、右にも左にも下にも読み進めることができるという自由な文字体系が誕生する。象形文字の「表語文字(単独の文字で意味をなす文字体系)」ではあるが、「表音文字(意味に対応しない文字体系)」という「英語」と同様に読み方を表す文字の特性の2面性を持っていた。

紀元前3,000年の古代メソポタミア文明となると、シュメール人たちは、楔形(くさびがた)文字という粘土板に表語文字を記しはじめた。彼らは7日間を一週間とし、60進法で現在の時間の概念を発明する。楔形文字は、「目には目を、歯には歯を」のハンムラビ法典を記し、争いごとを定める法令順守の法治国家を形成する。楔形文字の特徴は、「漢字」と同様の形あるデザインから省略されて作られた「表語文字」であった。

聖書研究者によると同紀元前3,000年ごろに、旧約聖書では、堕落した人類を神が滅ぼそうとし洪水をおこした。有名な「ノアの箱舟」の話だ。助けられたノアの箱舟には、ノアの一族とつがいの動物たちで新たな門出を迎えた。

バベルの塔

洪水後のノアの子孫たちは、繁栄し、ネズミ算式に人口が増え、すべての人が同じ言語を話していた。さらに人類の文明は進化し、二度と洪水にあうことがないよう、巨大なバベルの塔を建築しはじめる。天にも届く高さを目指す矢先、神は人類のおこがましさに怒り、単一の言葉がすべての要因だとし、言葉を混乱させ、互いの意思疎通を不可能にし、バベルの塔の建設を挫折させた。そして人類はバラバラの言語を使うようになったと聖書の世界では記録されている。

紀元前1700年、エジプト文明のヒエログリフ(神聖文字)と、メソポタミア文明のくさび形文字を組み合わせた「セム文字」が生まれる。セム文字はさらに、アラビア文字、ヘブライ文字、フェニキア文字へと進化していく。 中でも「フェニキア文字」は欧州と中東で広がりを見せる。 直系のフェニキア文字はギリシャ文字、ラテン文字を生み、ラテン文字からは「アルファベット」が生まれる。ロシア文字、スラブ文字もフェニキア文字からのキリル文字から派生であったことも注目したい。

さらに、インド文字の元となるブラーフミー文字もフェニキア文字からの派生であることを考えると、フェニキア文字が、ヨーロッパ、中東、インド、ロシアに多大な影響を与えている。

甲骨(きっこう)文字

一方、漢字は、紀元前1000年となると中国の殷(いん)王朝時代が始まり、甲骨(きっこう)文字が登場し漢字の基礎となった。甲骨文字はヒエログリフとも近似している象形文字からの派生だ。カメの甲羅などに刻まれていた。表語文字として進化した「漢字」は人類史上最も文字数が多い文字体系でなんと10万字を超えてしまった。中国、日本、そして、かつては、朝鮮、ベトナム、シンガポール、マレーシア、韓国(漢字からハングル文字へ)などが漢字文化圏であった。

ユーラシア大陸のヨーロッパから南アジア(インド)、北アジア(ロシア)にまで影響を与えたフェニキア文字、東アジア(中国)に影響を与えた亀甲文字と地球の言語の大きな潮流はこの2つから起きていると考えて良いだろう。それぞれ地域によって意味のある進化と派生を繰り返して現在の言語に辿りついている。5,000~6,000年前から継承された文字文化によって世界の言語は現在に至るようになった。

 

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