映画「ソーシャルネットワーク」マーク・ザッカーバーグ #sn140 @jpSocialNetwork

 

デビッド・フィンチャー監督 「ソーシャルネットワーク」実に面白い映画だった…。

最近、3Dとかばかりで、面白い映画がまったくなかっただけに、とくに印象に残る。

マーク・ザッカーバーグという、プログラマーとしての生き方がよくわかる作品だ。

天才

裏切り者

危ない奴

億万長者 … いや、どれもあたっていない…。

ズバリ、「ザ・プログラマー」だ。

プログラムひとつで、評価が変わる…。コードひとつで、世界を牛耳ることができる。
その世界にマーク・ザッカーバーグは生きている。

冒頭のガールフレンド、エリカとの対話…。

ザッカーバーグに悪気はない…。心の中で思っていることをすべて吐き出してしまう。純粋で無垢なのだ。アスペルガー的とも思えるほどの偏執的な性格は「変わり者の天才」に見えることが多い。

ハーバードの学生名簿のサイトをハックし、perlのスクリプトやいろんなもので、ダウンロードしてサイトを構築していく。ノンプログラマーにとってもワクワクできるシーンだ。

他の学生たちが、週末にリアルなパーティーやクラブに出かけている間に、ザッカーバーグはネットワーク上に、続々と新しい自分が仕切ることができるパーティー会場やクラブを築いていく…。いや、それはあっという間にホールとなり、スタジアムとなり、今や全世界、6億人近い人達のユニバース(帝国)を築きはじめた。

近い将来、国や国家を超えて、ソーシャルネットワークで結ばれたネットワーク圏が建国し、リアル社会と対峙することだろう。

そう、この映画の本当のタイトルは、「ザ・プログラマー」でもよかったのかもしれない。

それほど、自分の書いたコードで、人々を熱狂させ、アイボールを集め、滞在時間を稼ぎ、カネを集め、へんな奴が集まる…。

ザ・プログラマーにとって、コードが命であり作品である。作品を作るためには、他のことは、完全にどうでもいいことだ。リアルな社会は、すべてコードを書くための、アイデアの素材社会にすぎない。コードで自己を表現できてこそ、プログラマーなのである。新しい社会を自らコードで紡ぎ出そうとしているのだ。

そこには、人間関係のような、あいまいでロジックで割り切れないものは、彼にとっては、面倒で邪魔な世界だったのかもしれない。

そんな彼が作る作品は、人間関係をロジックで究極的に可視化させた世界。facebookは、彼の理想とする人間関係のありかたを具現化した世界だった。

あくまでも、この映画は、共同創業者(であった)のエドゥアルド・サヴェリン CFO 共同創業者(Eduardo Saverin)のインタビューをもとに書かれた話だ。

本物のザッカーバーグはそこまで、偏執狂ではないように見える…。

 

映画ならではの脚色はあれど、もしも、ザッカーバーグが、変人でなく、帳尻あわせが上手で、調整能力があれば、エドゥアルド・サヴェリン 元CFOと、ショーン・パーカーをうまく一緒に働かせることができただろうし、彼女とも普通にうまくやってこれたはずだ。

しかし、もしも、リアルが充実していたら、彼は、facebookというサービスをここまで育てることはできなかっただろう。

また、その反面、友達が、彼女の「交際ステイタス」を聞いてきた時に、アイデアの啓示を受けた彼は、一目散に寮にかえって、コードを打ち込む。
ザッカーバーグは、本当は誰よりも、一番、人間関係に敏感だったのかもしれない。その感性は、すべて個人としてではなく、社会全体の「仕組み」としての人間関係の具現化に向けられたのであった。

 

The Accidental Billionaires by Ben Mezrich

 

デビッド・フィンチャーならではの、映像に、退屈になりがちなネットの世界と法廷での会話が、一瞬とも気をぬくことができないほど、緊張感を与えてくれた。シックな色合いにフィンチャーならではの映像美に満ちている。

 

映画はfacebookの成功の途中のストーリーで終わっているが、現実はそこからもいろいろと続いている。

映画の中心となる、連邦裁判所で引き続き争いが、今また、再開されているのが驚きだ…。映画と違って、リアルでは、和解できていなかったのだ…。

タイラー&キャメロン・ウィンクルボス兄弟との係争

http://jp.wsj.com/IT/node_169429

プログラムを発注しただけで、現金2000万ドル(約16億6000万円)とフェイスブックの株式4500万ドル(37億ドルの評価額が150億ドル)相当なんだから、「ハーバードとしての紳士」としてはもう十分な額ではないだろうか…。

この映画の楽しみ方は、リアルで個性的な人間をそれぞれが演じているところでもある。ネットベンチャーの背景がわかれば、それはさらに楽しめる。

 

 

thefacebookの頃のウェブデザイン

 

thefacebook をfacebookへとアドバイスしたと言われている、ナップスターの共同創業者のショーン・パーカー(Sean Parker)の存在だ。

ジャスティン・ティンバレークが演じるショーンの雰囲気は、かなり美化されているが、ショーン・パーカーのやり手ぶりは結構似ている感じがする。

映画で探偵に追われたり、盗聴電話がしかけられた話は、PlaxoのVCであるセコイアキャピタルのマイケル・モリッツが、ショーン・パーカーに仕掛けたという噂がモチーフとなってる。

http://www.plaxo.com/

を創業したのに、このサービスから追われてしまった、ショーン・パーカーにとってfacebookは、まさに自分の夢だったのかもしれない。現在のplaxoはまさにfacebookのfakebookと化している!

 

friendsterや、Myspaceについて語るショーン・パーカー

http://www.youtube.com/watch?v=zVIhUVid4fA

 ショーン・パーカーは、まさに現在版のシリコンバレーのレジェンド。

facebookの社長に就任したものの、映画にもあるように、コカイン所持などの理由で退社へ。

ただ、現在のfacebookの「ニュースフィード」などは、彼のアイデアである。個人チャリティーのためのアプリケーション Causes http://www.causes.com/ の創業と会長職を兼任。 ヨーロッパ限定の音楽ストリーミングサービス Spotify http://www.spotify.com/ への投資などを行っている。

何度転んでも、立ち上がる。これがシリコンバレーのリアルなベンチャーの姿だ!

 

 シリコンバレーでの起業をザッカーバーグに強力に勧めたパーカー。

映画にもあるように、寒くて暑いボストンから、温暖な気候で、プール付きの一軒家から、中規模なオフィスへ、サンドヒルのVCとのミーティングに会食。出資が決まったら、さらに大きなオフィスへ、リクルーティング、マーケティング、巨大化するレールに乗って最高速で走り続ける。

ハーバードの寮の一室で生まれた、ザッカーバーグの作品は、自己増殖を続けていく。しかし、常に巨大化したベンチャーは身動きが取りづらく、そこで学んだ若者が次々と新たなライバルとして、「ご恩返し」にやってくる。それがシリコンバレーだ。

 

 

エドゥアルド・サヴェリン 元 CFO

Eduardo Saverin  

 

アジアの女性まで映像に登場…。

 東海岸のエスタブリッシュメント。

映画でも、すぐにアルゴリズムを計算するほど。学生時代に石油投資で稼いだからこそ、facebookに1stの投資ができた。もしも、彼の出資がなければ、facebookは東部の大学生たちだけのSNSで終わっていたのかもしれない。

彼を見ていると、マイクロソフトの共同創業者のポール・アレンを思い出させる。しかし、アレンとの違いは、ゲイツをハーバードを中退させてまで、ビジネスに集中させたことだ。

 

生き残っているベンチャー、すべてに言えることだが、それは、運と縁と創業者のクレイジーな努力の上に成立しているビジネスばかりだ。

日本では社長が一人での起業が多いが、米国では、圧倒的に2人という創業体制だ。日本人はそれだけビジネスにストイックなのかもしれない。しかし、事業が小さな頃から成功を分かち合える仲間がいることは、ビジネスを促進させやすい。

facebookの裏に、いろんな人々が関与していることをこの映画で改めて知ることができた。

 

日本でも、松山太河氏あたりから、日本のネットベンチャー版の相関図をもとに、現在のmixiやGREE、サイバーエージェント、ライブドアなどの映画が撮れても面白そうに思えた。

 

ベンチャー系の映画では、これがおすすめ!

Pirates of Silicon Valley

 

 

 

 



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