AKB総選挙2016を見て感じた事


http://sousenkyo.akb48.co.jp/result.php
2016年6月18日土曜日


http://blog.livedoor.jp/uwasainfo/archives/2324434.html

総選挙は秀逸なビジネスモデル

AKBグループの総選挙という企画…毎年行われていて、そろそろ企画そのものが…と思っていた。
考えてみたら、シングルCDの並び順をCD購入者の投票券で選ぶというアイデアそのものが秀逸だった。
しかし、それだけであれば、数年でその「企画」は廃れてしまう…。

AKBの総選挙をフジテレビで見ているが、1人づつ発表されるたびに、おびただしいほどのコマーシャルが挿入される。
これはテレビの番組企画としては、CMだけでも相当だ。もちろん、AKBの出演するCMも「バイトル.com」などはヘビーローテーションだ。

http://campaign.baitoru.com/fellow/

スピーチだけのライブで成立するテレビ番組

しかし、この「総選挙」のライブ。
アイドルグループの歌もダンスもなく、セレモニーの発表とスピーチだけの企画がこれほどまでに、テレビ放映が成立するところがすごいと思う。
10代から20代まで年齢も地域も派閥もバラバラだけど、プロデューサー秋元康の妄想を見事に自己増殖する装置としての「AKBグループ」に驚く。

徳光和夫アナウンサーのいぶし銀

いぶし銀のような、徳光和夫アナウンサー。事前に用意しているいくつものウンチクをいくつも披露しながら、ジェネレーションギャップを感じさせてくれる。これが若手のアナウンサーだと、この仰々しさはきっと出てこないのだろう。まさにテレビ業界の重鎮アナウンサーが10代20代のアイドルと真摯に向き合っているところが豪華さを演出している。

彼女たちのスピーチに本当に感心する

10代から20代前半の女性が、ランキングの披露のあとにスピーチすることは基本的にワンテーマだ。
ただ、一つの「ファンに感謝しています」のメッセージを繰り返しているだけなのだ。
しかし、全員が自分の個性をおりまぜ、表現できるスキルを持っていることにに、ただただ驚くばかりだ。

彼女たちは、「1万時間の法則」をすでに乗り越えたアイドルなのである。現場で先輩たちや仲間と切磋琢磨しながら培ってきた表現力を持っている。それと、同時に1人の舞台人としてのプライドが、彼女たちをしっかりとした舞台人に自ら成立させている。
青春も恋愛もおそらく自由もかなぐり捨てて、AKBというグループで生き抜いている。学校もほとんどいけない…。青春の想い出はほとんどが厳しいレッスンとステージと共同生活…。「アイドル」ほど大変な仕事はない。
単にチヤホヤされたいだけであれば、すぐに飽きるだろうし、スピーチであれだけの言葉はしゃべれない。

かといって、何億円も稼げるのかというと…そうでもない。プロデューサーや事務所や会社は儲かるが、彼女たちがものすごく儲かるハナシはあまり聞いたことがない。

AKBゲームの中で高みを目指せる理由

ではなぜ?彼女たちは、このAKBゲームの中で高みを目指せるのか? 金でも結婚でも、玉の輿でもない。名声に近い「自己顕示欲」だけであれば、すでに満たされているだろう。AKBゲームの中で高みを目指せる理由、それは、ただ純粋な「承認欲求」なのだ。次回作のシングルの並び順を決めるだけの選挙というゲームに、これだけのエネルギーが注入されている。それが、承認されることを自分でも他社にも可視化されていることが重要だ。がんばった成果が反映されるのだ。テレビやライブ、コンサートやラジオ、雑誌、映画、そして握手会、自分のふるまいのひとつひとつが成果につながるのだ。

ナンバー1になった指原莉乃はいう。「ファンのみなさん、無理して支援してくれてありがとう」。そう、1人で何枚もCDを買って支援する人たちがたくさんいるからだ。その構造上のヒエラルキーのトップが、冷めた目線でそう語るのだ。
AKBは音楽産業の禁じ手でもある販売手法をとっている。このやり方には限界がある。しかし、その限界までも、「音楽産業」ではなく「エンターテインメント産業」として、成立していることがよくわかった。

CDを買わなくなった層が、このAKBゲームというエンタメに参加するためにCDという「音楽」ではない「権利」という「ライツ」を買っているのだ。

「総選挙」時代はいつまでも続かない

しかし、今回のように指原莉乃が連続首位、トップ集団が盤石になればなるほど、つまらなくなる。しかし、それは投票できる権利を持っている人がいるかぎり、この「総選挙」ゲームはファンの熱量の経済性に完全に支配されているからだ。

おなじ経済性を考えるのならば、AKB や HKT や NMB HKT NGT を 企業化し、上場させるというのはどうだろうか?
株の世界そのものをもっと身近にし、経済でインパクトを与えることができる。
ファンがエンタメだけでなく、株主として、AKBという会社を運営で支援できるのだ。
グループが上場がむずかしいとしても、「AKBグループホールディングス」であれば、上場はたやすいだろう。

ただ、従来の証券会社が難しければ、提携できる金融機関として、AKB証券 というような証券会社が作って幹事会社にすればいい。
すると、彼女たちは取締役として、役員報酬でさらに経営という立場で自分たちの「表現力」の高みを見せてくれることだろう。

そして、次は、「AKB党」 という政党を作るのだ。単なる人気候補を議員にするだけでなく、政治家でない彼女たちが、ファンの声を国政に届けるような政治機関の「装置」とすることも可能だ。

彼女たちが成長するように、プロデューサーの秋元康氏にも次のステージで新たな冒険にチャレンジしてみていただきたい。