【映画】「フード・インク」を観てから食品の安さが不安になった…

映画「フード・インク」をWOWWOWで見た。
今月のWOWWOWはドキュメンタリーが大量に放映されていて、録画を消化するだけでも大変でうれしい悲鳴だ。

映画「フード・インク」で、ひとつ言える事は、ハリウッドのマーベルコミックスのリメイクの3D大作やホラームービーを見るよりもよほど怖かったことだ…。

映画「フード・インク」公式サイト
http://www.cinemacafe.net/official/foodinc/

ボクが、この映画を観てから、すぐにこんな裁判結果もくだされた。

豪裁判所がKFCに6.7億円の賠償命令、食中毒で少女が脳障害 (ロイター) “シドニー近郊のKFCでチキンラップを食べ、サルモネラ菌による食中毒”http://j.mp/JrQw9d
日本でも、2011/04/27 金沢「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件は O-157 O-111の問題だった。
そして、現在、合法ユッケは2800円もする存在となってしまった。
さらに、2012年06月からは、厚生労働省が、牛の生レバー(肝臓)を食品衛生法で禁止する方針だ。

厚労省が牛の生レバーの販売を禁止するのは、同省の調査で昨年、重い食中毒を起こすO(オー)157など腸管出血性大腸菌が肝臓内部から発見され、それを殺菌する手段が見つからなかったためだ。

平成15~21年の牛肉による同菌での食中毒の原因で最も多かった料理は
焼き肉で36件。
レバーは18件
ユッケ8件、
ステーキ・ハンバーグ4件

どうして、最近になってこうも食中毒を起こすのか?という疑問にこの映画は答えてくれた。
「高果糖コーンシロップHFCS (high-fructose corn syrup)」 の存在だ。

 本来、牛は牧草を食べて生きてきた。しかし、現在、牛、豚、鶏、そして養殖魚までが、コーンを主原料とした「プロセス・フーズ」を食べて成長している。

牛は本来の餌である「草」ではない「コーン」を食べることにより、大腸菌の抑制が効きにくくなったという。

「雑食動物のジレンマ」の著者のマイケル・ポーランは、「(それでも)コーンで育てるのはそれが安いからだ」という。

アイオワ州立大学のアレン・トランクルは「動物は草を消化するように進化した、大腸菌が耐酸性を持つようになり、より危険な大腸菌に変る」と指摘する。

それらが、現在のO-157の問題と直結していることが科学的に証明されれば、厚生労働省の問題ではなく、農林水産省側の問題となる。

さらに、「ピンクスライム」というアンモニア水で防腐処理された加工肉がすでに市場に多く出回っており、安い食肉はほとんど、菌を殺すために薬品づけになっているといってもいいほどの状況はあまり知られていない。

現在の大量生産による大量消費による、安価な食のサイクルですべての人類は賄われている。

人類は、動物か植物からしか明日の糧をえられることができないのだから、この問題は深刻だ。

米政府は高カロリー食品に対し、助成金を出し、その高カロリー社会を支援してきた。

また、それらのコーン食品の餌を食べ続けた動物を食べ続ける事により、インシュリンの分泌を促し、糖を代謝する機能を下げ、糖尿病を促しやすくなる。現在では、子供にまで糖尿病の患者が増えているという。

安い食品を買った代償が、高い医療費へとシフトされているのかもしれない。

高度なカロリーを安価に取得できるコーン主原料は、鶏の発育を50年前の2倍に早め、胸肉の2倍大きな鶏を安価に製造することができるようになった。たったの46日後には出荷できてしまう。2倍早く2倍大きな鶏を製造できるようになった。

しかし、それらの鶏は、自分の体重を支えきれないようなぶざまな鶏、「ブロイラー」が生まれる。

これだけ食品化合物がふくまれた餌で育ったチキンをファーストフードで食べ続ければ、外国人の桁ちがいの太り方も理解ができる。最近の日本人の子供にも増えてきたのは、オーガニックな食品を食していないことが原因かも知れない。

鶏卵にしても、50年前の値段と変らないことを疑問に覆う。むしろ、下がっているデフレ傾向だ。
10ケの卵パックが100円以下だなんて人件費にもならないし、その卵や安い牛乳によって、それらの安い原因を自分の体内に取り入れたいとも思わなくなった。

その安さは結果として高い代償に跳ね返ってきそうだ。

安さには、安い理由があることの恐ろしさをこの映画で知った。

 

http://ism.excite.co.jp/art/rid_E1295540539005/pid_1.html

【Story】

第1章「すべての食品はファストフードに」

「ファストフードが世界を食べつくす」の著者、エリック・シュローサーは、「業界の思惑は巧妙に消費者から隠されてきた」と語る。マクドナルドが、ドライブインに店舗を展開し始めたのは1930年代。店舗の調理場に工業システムを導入、単純作業だから、安い賃金で済む。マクドナルドは、アメリカ最大の牛ひき肉の買い手だ。また、豚肉、鶏、じゃがいも、トマト、レタス、りんごの最大の買い手でもある。1970年、食肉加工業者のタイソン社やカーギル社など大手5社の食肉シェアは25%だったが、いまでは、大手4社で80%以上を占拠する。

タイソン社は、養鶏を根本から変えた巨大企業。ヒナは50年前の半分の日数で育つ。しかも大きさは2倍。ケンタッキー州の田舎。鶏舎があちこちにある。狭いスペースに詰め込まれた鶏たちの様子が想像できる。タイソン社と契約している農家は、中の様子を見せてくれない。バーデュー社の契約農家、キャロル・モリソンは、昔ながらの開放型の鶏舎で養鶏していて、鶏舎の中を見せる。早く育つために、自分の体重を支えきれなくて、歩けない鶏もいる。キャロルは、飼料に含まれる抗生物質のためにアレルギーになったことを告白する。隠しカメラが、夜中の鶏舎を捉える。鶏が眠っている間に、トラックに積み込む。すべての鶏が、処理工場に運ばれる。バーデュー社は取材を拒否。キャロルは会社のすすめる換気式の新鶏舎の導入を拒否、契約は終了する。契約農家が設備などで抱える借金は平均50万ドル、年収は1万8千ドル。
 
第2章「豊かさの選択」

「雑食動物のジレンマ」の著者、マイケル・ポーラン。「食べ物に関する本を書くのは、実態から隔てられているから」と語る。スーパーにあるたくさんの食品を見て、「関与しているのは、数社と数種類の穀物だ」とも。そして「工業食品の原材料が、ほとんどコーン」と言い切る。コーンの大量生産は、種子メーカー、化学肥料と殺虫剤メーカーの功績である。カーギル社などの穀物メジャーが、安いコーンを買いまくる。そして用途を開発する。コーン製品とは、ケチャップ、チーズ、ピーナツバター、スナック菓子、ドレッシング、ダイエット甘味料、シロップ、清涼飲料水など。コーンは牛や豚、鶏などの家畜の飼料でもある。魚にもコーンを食べさせる。牛は本来、草を食べる。安いから、コーンで飼育する。

第3章「予期せぬ結果」

2歳の男の子が死ぬ。原因は、汚染された肉で作ったハンバーガー。全米で、牛ひき肉が回収される。汚染は、ほうれんそうなど、野菜にも及ぶ。ブッシュ政権のころ、農務省長官は元・牛肉業界のロビイスト。元・全米食品加工協会の副会長は食品医薬局の局長だった。この図式は、いまも変わらない。エリック・シュローサーは言う。「監督するべき当の企業に支配されている。企業の言いなりだ」と。操業停止を命令できるケヴィン法は、未成立。個人より業界の利益を守るのは、日本もアメリカも同じだ。大腸菌感染は、いまなお、存在している。ハンバーガーのパテは、いま、アンモニアで殺菌されている。

第4章「1ドル・メニュー」

親子4人が車に乗っている。体に悪い、子供に食べさせたくない、と言いながら、安いファストフードをみんなで食べる。ブロッコリーは1ドル29セント。1ドルのハンバーガーを買うより高く、調理の手間がかかる。糖を多く含むファストフードを食べ続けた結果、糖尿病になる。糖尿病の薬は、50錠130ドルもする。まだ幼い少女も、糖尿病の予備軍だ。2000年以降に生まれたアメリカ人の3人に1人が、糖尿病の予備軍で、今後、さらに増えると予想される。

第5章「草の中に」

バージニア州の農場。農家のジョエル・サラディンは言う。「大企業は結果に責任を持たない」。サラディンは、牛をクローバーやハーブなどの草で育てている。自然の循環こそが大事と力説する。手作業で鶏を捌く。農務省から不衛生を理由に、農場の閉鎖命令が出る。地元での細菌検査では、店で買うものより、はるかに清潔だったことを誇らしげに語る。豚も自然なままで飼育する。サラディンは、技術漬けの食品加工を批判する。「人間が勝手に操作できると思うような文化は、どこに行っても、豚を見るのと同じような、侮蔑的で傲慢な目で人間を見るだろう」。世界最大の食肉処理工場であるスミスフィールド社。貧しい労働者を隠しカメラが映す。労働者は言う。「会社は労働者を豚と同じと思っている」。1日に3万2千頭の豚を処理する。労働者は生きた機械である。かつて自動車産業並みに改善された労働条件は、ファストフード業界が巨大化するにつれて、悪くなっていく。

第6章「目に見えないコスト」

サラディンは言う。「ウォルマートで売る気はまったくない」。健康自然食品のフェアが開かれる。ポップコーンや豆乳など、オーガニックの食品が並ぶ。オーガニックの小さなメーカーでも、クラフト社、コルゲート社と提携まで出来るようになる。大メーカーも、気がつき始めている。ウォルマートさえ、有機食品のコーナーを開設する。かつて、ウォルマートをボイコットした有機農家に、ウォルマートの社員が訪ねてくる。

第7章「種からスーパーマーケットまで」

1980年代、最高裁は作物の特許を認める。化学薬品のモンサント社は、DDTや枯葉剤、除草剤を製造している。結果、耐性大豆はモンサント社がほぼ独占、農家は、種子の保存が出来なくなる。保存する者は、モンサント社の特許権侵害で捜査の対象となる。しかも、モンサント社は、特許権をめぐって、農家を告訴する。裁判に持ち込んでも、膨大な費用がかかる。ある農家は言う。「農家が多国籍企業から、どうやって身を守れる? モンサントの支配は強大だ。種子からスーパーまで、彼らが大豆を握っている」。

 

第8章「秘密のヴェール」

モンサント社はブッシュ政権、クリントン政権と深い関係にある。政府は、管理すべき企業に管理されてきたのだ。官僚、弁護士、民間の専門家たちがモンサント社に取り込まれている。遺伝子組み換え食品の表示をモンサント社に提案したが、政府は、表示義務はないとする決定を下す。政府・大企業対労働者・消費者という図式。表示をめぐって、カリフォルニア州議会で議論、表示義務を課した法案は通過するが、シュワルツェネッガー知事は拒否する。ファストフード業界も、カロリー表示を拒否、トランス脂肪酸が含まれていることを隠したがっている。精肉業界は肉の産地表示を拒否、もちろん、遺伝子組み換えの表示も。いまや、スーパーの加工食品の70%に、組み換え素材が入っている。消費者の「食」について知る権利は、どうなるのか? 製品を批判すること自体、違法行為となる。食の感染で子供を亡くした消費者に、食について質問する。彼女は答える。「質問する前に弁護士に電話してください」。風評被害で、牧畜業者が消費者を告訴する。消費者が勝訴するまでに、6年の歳月と100万ドルの費用がかかった。コロラド州の風評被害法違反は罪である。コロラド産のひき肉を批判すれば、刑務所行きになりかねない。

第9章「システムに対するショック」

現代の工業的な農業は、石油に依存している。運搬、加工機械などに、膨大な石油を消費する。つまり、石油が高騰すれば、たちまち食品価格に響く。現にコーンは高騰した。ちゃんとした食べ物は、値段が高い。しかし、貧しい人たちがいる。これは、政策レベルの話である。希望はある。アメリカはその都度、学んでいる。そして、いくつかの提言が示される。

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