ゴールドラッシュ時に稼いだリーランド・スタンフォード

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エピソードに追記

 

スタンフォード大学を創設したリーランド・スタンフォードは、1858年にニューヨークからサクラメントへ移住し、ゴールドラッシュ時の雑貨商として事業を繁栄させた。

1863年 セントラルパシフィック鉄道を創設し、大陸横断鉄道時代に貢献した。愛息の死を痛み、ハーバード大学へ多額の寄付へ申し出たが、断られたため、ワインと競走馬用の広大な土地を譲渡した事により1891年にリーランドスタンフォードジュニア大学(スタンフォード大学の正式名称)を創立。

 

1848年1月、カリフォルニア州で金が採掘され、翌49年には、アメリカはもとより、南米、ヨーロッパ、そしてアジアからの移民が「フォーティーナイナーズ」と呼ばれる開拓者として「ゴールドラッシュ」の一時代を築いた。

世界中から一獲千金を夢見て集まった人たちは、満足な金を得られることはなかったが、この大陸にフロンティア・スピリッツを残していった。そして開拓を続け、線路を敷き詰め、鉄道をとおし、店を開き、ビジネスを起こしていった。その子孫がシリコンバレーに深く根づいていることは彼等のメンタリティーを知る部分で常に念頭においておきたい。インターネットベンチャーは西部開拓へのオマージュとも思えるほどだ。

カリフォルニア州知事にもなるリーランド・スタンフォードは、大陸横断鉄道敷設において、投資銀行や格付け会社の設立によって、投資段階から莫大な利益を得た。

この事業モデルこそ、鉄道事業における先行者利益を生み出すビジネスモデルとなった。

合衆国はアメリカ人にとって何代か前の先祖が作った国。法律も自分たちで作ってきた自負を全国民が持っている。大統領選挙は一番視聴率を稼げる番組でもある。日本の国は、天照大御神が作ったほどの昔々であり、国を作ってきた意識はもはや誰にもない。求めることがナンセンスだ。また、法律的なこともかえられるとは誰も思っていない。このモチベーションだけでもビジネスに対する姿勢にかなりの差が出てくるのは仕方がない。

 

■レジェンド・オブ・インキュベーター、シリコンバレーの父と母。

・母としてのスタンフォード大学
東海岸のエスタブリッシュな大学と対抗するかのように、鉄道王リーランド・スタンフォードが私財を投じて、カリフォルニア・パロアルト市の巨大な敷地に私立大学を1891年に創設した。それがスタンフォード大学だ。

1938年、シリコンバレー最初のガレージ・カンパニー、ヒューレット・パッカード(HP)が計測機器で誕生した。自宅でビジネスをスタートアップするには、ガレージは最高のオフィスペースとなる。さしずめ日本のSOHOでは、押し入れを改造して、パソコンスペースをつくるという。押し入れカンパニーが日本のスタートアップなのか?

HPのインキュベーターでありインベスター(投資家)は、スタンフォード大学のフレデリック・ターマン教授であった。投資額はたったの538ドルであったが起業には十分だったそうだ。ターマン教授が学生に起業をすすめたから今日のHPがあったともいわれる。大学の教授が学生に起業をすすめ、自らポケットマネーを貸し付けるという話しも日本では聞いた事がない。学生に教授が投資する事はとてもいいことだという気風はターマン教授がつくったスタンフォードのスタンダード・マインドなのだ。

1950年、広大なスタンフォード大学が保有する敷地内にインダストリアルパークが作られ、ハイテク企業の誘致が進めれれた。大学との産学研究がさかんに育まれていく。ハイテクパーク用の土地への工場誘致でなはく、大学の敷地内に企業がはいってきたのである。
ここではすべてがスタンフォードの広大なキャンパスの仲間という意識や連体感が生まれる。シリコンバレーでは人の流動が激しい。

しかし、彼等は会社が変わっても職種は変わらない。エンジニアはエンジニアとしてのキャリアをどんどん積み重ねていき、さらにいいポジションを獲得していく。つまり彼等のメンタリティーには、シリコンバレー株式会社の中の事業部をわたり歩いている程度の感覚か、もしくは大学の授業の単位を取得していくような感覚に近いのかもしれない。

・父親としてのショックレー研究所

1956年、東海岸のベル研究所でトランジスタを発明したウィリアム・ショックレーが故郷であるサンフランシスコの東の果樹園に戻り、ショックレー研究所を設立した。

実際にはふつうの家を改造しただけのここもガレージカンパニーだ。しかし、ショックレーを訪ねて、世界中から優秀な人材が果樹園に集まった。そこから孵化した頭脳が、ICを発明したロバート・ノイス&ゴードン・ムーア(後のインテルの創業者)、ジェリー・サンダース(AMD創業者)ユージン・クライナー(クライナー・パーキンス)、ドン・バレンタイン&ピエール・ラモンド(セコイア・キャピタル)らであった。

彼等は意見の対立から、ショックレー研究所をスピンアウトし、フェアチャイルド・セミコンダクター社を設立する。フェアチャイルド社は軍需ニーズの波に乗り、順調に伸びていくが、ニッチビジネスを見つけてスピンアウトしていくことを奨励した。その結果、アウトソーシング先となるカンパニーが無数に誕生した。それらは、フェアチャイルド社の子供として「フェアチルドレン」と呼ばれた。フェアチャイルド社は、半導体事業におけるビジネスインキュベータの機能を果たしていたのだ。

1970年代に入り、軍需需要とハイテク機器需要で、MPUメーカー、ハードディスクメーカー、研究所、PR会社、会計経理会社、ヘッドハンティング会社、そしてベンチャーキャピタルらがバレーで隆盛を誇る。シリコンバレーのビジネスのインキュベーターは、スタンフォード大学の大地に巻かれたショックレーの種子が見事に開花した結果と言えよう。1968年、フェアチルドレンの中からインテル社というMPUのベンチャーが誕生した。ノイスとムーアが自ら作った理想の会社だ。ムーアの法則と共に半導体業界の中で不動の地位を獲得していくのだ。

シリコンバレーの第一黄金期は半導体の時代として動いた。そして第二期はパーソナルコンピュータとネットワーキングの時代背景が起業を生んでいく。

■企業からのスピンアウトそして大学からのスピンアウト

ダウンサイジングとパーソナルコンピュータの第二期黄金期。

1976年、インテルのストックオプション制度で私財をなしたマイク・マークラがアップルで最初の投資家となった。シリコンバレーの特徴は技術をわかる投資家やキャピタルが多いことにある。また、IPO(店頭公開)を果たした時のストックオプションの売却益でベンチャーキャピタルに転身するビリオネイヤーも多い。米国のベンチャーキャピタルも広義でいうビジネスのインキュベーターである。

50%以上の株をキャピタルが持ち、経営権にも口を出す。役員も選ぶ。CEOも連れてくる。日本のベンチャーキャピタルが経理面の相談をするのと違い、IPOへ向けてまっしぐらというパートナーシップである。有力なキャピタルがつけば、それだけで資金調達は次ぎから次へと集まる。サンドヒルというキャピタルリストの集まる坂道では、スーツ姿のキャピタルとベンチャーとのミーティングが連日行われている。

日本のベンチャーキャピタルとの大きな違いが、自らもスタートアップであったキャピタルが多いことだ。また、投資する分野のビジネス経験が豊富であることも違いとして考えられる。日本の大半が銀行か証券会社からベンチャーファンドが形成されているためか、ペーパーの業績にばかり目がいってしまい、事業的な可能性に対しての評価が低い部分が気になる。また、ネット系のキャピタリストがインターネットの進化や動向をキャッチアップできていないケースなどもよく見かける。

バレーのキャピタリストがベンチャーを見るポイントが3つあるといった。1に人。2に人。3に人だという。優れた起業家は並の事業計画でも成功させる。しかし、並の起業家は、優れた事業計画も成功させる事ができないからだ。起業家とベンチャーキャピタルはバレーでは一心同体のパートナーシップで成り立っている。

1982年に、スタンフォード・ユニバーシティー・ネットワークという名を持つワークステーション・ベンチャーが誕生する。サン・マイクロシステムズである。スコット・マクネリーというカリスマ性を持った経営者と天才的なエンジニアのビル・ジョイらのスタートアップだ。サンのパートナーは、ウェストコースト・ベンチャー・キャピタル、USベンチャー・パートナーズ、クライナー・パーキンスらが並ぶ。

ゼロックスのパロアルト研究所のジョン・ワーノック博士らは、マウンテンビューにアドビ・システムズ社を設立する。アドビのパートナーは、ハンブレヒト・クイスト。さらに、スタンフォード大学教授のジム・クラークが、学生と一緒にマウンテンビューでシリコングラフィックス社を設立する。パートナーはメイフィールド・ファンドだ。

1984年には、スタンフォード大学コンピュータサイエンス研究所のマネージャーのレオナルド・ボーサック夫婦は自宅のリビングルームからネットワーク機器会社、シスコ・システムズ社を起こす。シスコのパートナーは、セコイア・キャピタルである。

このように、IPOを果たして大企業になった企業の後ろ盾には必ずやベンチャーキャピタルがインキュベートしていることがわかる。資金調達のメインが銀行でないところが日本のベンチャーとの違いだろう。銀行からの融資のみでの起業ではなく、投資する側もリスクを負っている点が特徴だ。



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