百貨店化する家電量販店

編集会議の「編集・ライター養成講座」大阪校の講義のあと、久し振りに大阪・梅田のヨドバシカメラに立ち寄った。

なんとなく、秋葉原のヨドバシカメラの立地にどことなく似ている大型巨艦量販家電店舗だ。きっと大阪・梅田での成功が秋葉の出店へとつながったのだろう。

とにかく、大阪のJR北口は大規模開発の真っただ中で、JR大阪駅構内部分を活用したGARE大阪の北部分はほとんどその影響で工事中であり、北へ向かう道路のほとんどはヨドバシカメラへと向かっているといっても過言ではないほどだ。

またそのヨドバシカメラのビルの1/3層は、「コムサ・デ・モード」ブランドのファイブフォックスグループが出店している。確かに、ヨドバシカメラとレストラン街だけだと、物欲客層だけしか来店しないが、衣料品店が入居することにより、ファッションビルとしての見え方が行える。特徴は、平面で展開するのではなく、垂直に階を別けることによって、ヨドバシカメラの家電ビルが、衣料品をともなった百貨店としての効果を生み出しているところだ。

さまざまな、特徴のあるレストラン街も、「デパ地下」とまではいかないまでも、ユニークな店舗が入っている。 特筆すべきは、7Fのスイートコーナー階である 「スイーツミュージアム」 http://www.yodobashi-umeda.com/cafe/cafe_comm.html である。 デザートだけでも、和あり、洋あり、オリジナルで個性的である。中でも、佐世保バーガーの「ビッグマン」なる出店は、80年代のモスバーガーを彷彿させてくれる。行列が続いている店もとても多い。デザートのセットも1000円前後。簡単な昼食よりも高価になっている。ようやく消費もデフレ脱却という要素がみえはじめてきている。とてもいいことだ。さらにこのフードコートでは、ヨドバシカメラの男性客やファミリー客と違い、若いカップルのデート客が大半を占めている。

百貨店が統合化をすすめ、百貨店がどこも同一化するなかで、独立系家電店舗と、異業種ファッションブランドのコラボレーションによる共同出店は、一日中、暇を消費するには絶好の機会なのかもしれない。

すでに誕生してから、数年も経過している家電テナントビルにしては、客足の多さに驚く。確かに、PCや携帯、家電はもちろんのこと、旅行用品からフィギアまで、ありとあらゆる新製品を手にして、その場で持ち帰られるところがネットショップとの違いだろう。 口コミやネットコミ、ブログコミなどで調べられても、最終的には自分の目で見て、手で触って確かめたい。

ネットが発達すればするほど、「タッチ&フィール」の感覚はますます重要になることだろう。残念だったのが、AV機器の担当はすさまじい知識を持っているが、家電品の店員はいまひとつ。スペックと値段以外は何も知らないようだった。 単身なのか?家族なのか?部屋の広さ?休日の過ごし方、帰宅時間、職業によって、家電の使い方は大きく変わる。 ダイソンの掃除機やデロンギの全自動エスプレッソマシンを求める客はそれなりにこだわりをもった質問をするのは当然だろう。

ある意味、従業員の製品スペックの暗記だけではなく、この客は「何を求めて」「何を期待して」この製品について質問しているのかという教育をしっかりと行うべきだろう。 ネットではできない「対面販売」という価値にもまだまだ進化の余地は残されている。

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