twitterでの爆破予告も偽計業務妨害(233条)というマイノリティーレポート的法律適用

マイノリティーレポート フィリップ・K・ディックの短編小説『少数報告』

予知能力者の予言による殺人予知システムで、犯罪予防するシステムを描いたSF
スピルバーグ監督とトム・クルーズで2002年映画化

何かをネット上に書き込むだけで、すべて書き込まれた側の防犯などの業務が増えると、「偽計業務妨害」が適用される世の中になってしまった。

https://youtube.com/watch?v=lNABtutzjz0

ツイッターに羽田空港と渋谷駅のハチ公前広場での爆破を予告する書き込みがされ、警視庁が偽計業務妨害の疑いで捜査していることが分かりました。

捜査関係者への取材で、2月上旬、ツイッターに「明日の午後、羽田空港に爆弾をしかける」などと爆破を予告する書き込みがされていたことが分かりました。これを受けて、警視庁は、羽田空港の警備を強化しましたが、爆発物などは見つかっていないということです。空港への爆破予告の数日後には、渋谷駅のハチ公前広場にも「爆弾をしかける」との書き込みがされていました。ツイッターには「大量に人が死ぬので血を見たい者は集まること」などと書かれていました。いずれも同じIPアドレスが使用されていて、警視庁は同一犯の可能性があるとみて、書き込んだ人物の特定を進めています。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000051341.html

佳子様への脅迫も偽計業務妨害

佳子さま脅迫、2chに投稿した男逮捕

秋篠宮家の次女佳子さまに危害を加える内容を掲示板サイト「2ちゃんねる」(2ch)に書き込み、皇宮警察の業務を妨害したとして、警視庁は5月21日、偽計業務妨害の疑いで東京都新宿区の無職の男(43)を逮捕した。報道によると、男は「警察の業務を妨害するとは思わなかった」と一部否認しているという。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1505/21/news085.html

ドローンを飛ばすというだけで偽計業務妨害

東京・浅草で5月中旬に行われた三社祭の直前、小型の無人飛行機「ドローン」を飛ばすとほのめかす動画をインターネット上で配信し、祭りの運営を妨害したとして、横浜市の無職少年(15)が5月21日、威力業務妨害罪の疑いで逮捕された。

「『何が犯罪にあたるのか?』という犯罪の成立要件を詰めると難しい問題で、法律家の間でも見解が分かれると思いますが、私は少年の逮捕は不当だと思います」
高島弁護士はこのように述べる。どうして、そういえるのだろうか。
「現行法上では、ドローンを飛ばすこと自体を規制する法律はなく、適法とされています。
もし仮に、『三社祭でドローンを落とす』という予告があったなら、威力業務妨害にあたりますが、単に『飛ばす』というだけなら、違法行為とはいえません。
つまり、少年は『適法行為をするぞ』と予告したのであり、それが『威力』にあたり犯罪を構成する、というのは問題があります」
http://www.bengo4.com/topics/3169/

迷惑行為はすべて偽計業務妨害で良いのか?

そもそも、
❏偽計業務妨害とは、刑法233条 および 第234条の2に規程されている犯罪
 信用毀損罪・業務妨害罪(しんようきそんざい・ぎょうむぼうがいざい)

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の業務を妨害すること(偽計業務妨害罪)。または威力を用いて人の業務を妨害すること(威力業務妨害罪)を内容とする犯罪である。
(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)

234条 威力を用いて,人の業務を妨害した者は 威力業務妨害罪(234条)

234条 威力を用いて,人の業務を妨害した者
→ 前条の例による(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)

「業務」とは,前述のとおり,職業その他社会生活上の地位にもとづいて継続して行う事務

威力業務妨害罪も偽計業務妨害罪も前述した通り刑は同じ3年以下の懲役または50万円以下の罰金になります。

「威力業務妨害」と「偽計業務妨害」の相違点は妨害の手段が異なることで、威力業務妨害の妨害手段は「他人の自由な意思決定を制圧するような威勢を示すこと」あるいは「不法に有形力を行使すること」。一方、偽計業務妨害の妨害手段は「偽計」で、他人を騙したり、誘惑したり、他人の勘違いや不注意、知識不足などに乗じる行為です。

電車でスマホでゲームに夢中になっているオッサンたちも実に迷惑だ。電車の移動時間に原稿ネタを考えているボクにとってはそれが業務で「威力業務妨害」で訴求したくなることもある。

やたらクラクションを鳴らすクルマには、道交法54条で2万円の罰金があるのでクレームしやすい。

しかし、ネット予告だけで、すぐに罰金50万円の「偽計業務妨害」が適用されてしまうのは、まるでマイノリティーレポート的な世界ではないだろうか?

イエローカード的な抑止力ということも考えられるはずだ。