「ソフトバンクアカデミア」孫社長の後継候補に帝王学、ソフトバンク「最大の危機」に先手自分からは何も言えないけれども、書かれている記事をメモ!

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NK7DO86K50XU01.html

 

(ブルームバーグ):ソフトバンク社長室のシニアマネジャー、水谷伸政氏(36)は、水曜日午後6時に本社25階のカフェテリアに向かう。孫正義社長の後継者育成を目的とした「ソフトバンクアカデミア」に参加するためだ。

「閉じられた空間の中で、孫さんも自分が考えていることをおっしゃってくれる。それがアカデミアに入っていることの醍醐味」と水谷氏は言う。「アカデミアで見せる孫さんは全く違う孫さん。より近い存在になる」

水谷氏は、みずほ信託銀行のファンドマネジャーなどを経て、2014年9月にソフトバンクに入社した。転職のきっかけも、入社前から参加していたアカデミアだ。もともと、投資対象として興味を持っていたソフトバンクだが、アカデミアで孫社長の魅力に触れたことが転職の決め手となった。ソフトバンク社内のアカデミア参加者が公式に取材に応じるのは初めて。

ソフトバンクアカデミアは、孫社長の後継者候補を社内外から募集し、10年7月から開講している私塾。現在、57歳の孫社長は60歳代で事業を引き継ぐと公言しており、後継者育成は、創業者の孫社長が経営判断の多くを担うソフトバンクの中長期的な課題だ。

エース経済研究所の安田秀樹アナリストは、日本には経営者を育てる仕組みが存在しないと指摘、そのため孫社長は直接、後継者を育てることにしたと分析した。また孫社長の在任中に子会社の社長などで適性を試す必要があり、「このタイミングで始めなくては間に合わない」と述べた。

下位20%が入れ替え

アカデミア事務局長を務める執行役員の青野史寛氏によれば、アカデミアの参加者は約300人。うち半数が社外からの参加者だ。月1-2回、水曜日に行なわれ、プレゼンテーションや経営シミュレーションゲームの成績によって毎年下位20%を新規参加者と入れ替える。

参加者には経営者が最も多く、医者や大学教授、コンサルタントもいる。年齢は20-50歳代。

社外からの参加者が孫社長の後継者になるには、ソフトバンクに転職するか、自分の会社がソフトバンクから出資を受けるという道がある。これまでに約10人がアカデミアを経てソフトバンクに転職し、アカデミアの参加者が経営する2-3社がソフトバンクから出資を受けた。

青野氏によれば、グループのいくつかの重要なポジションにはすでにアカデミア生が就いている。青野氏はアカデミアで頭角を現した社員が社内で「実績を挙げて後継者候補になっていく」と話した。今後はアカデミアの上位陣が社内でより多くのチャンスを得られるようにしていく方針だ。

器の大きさ

アカデミアのプレゼンテーションの課題は、ソフトバンクが直面している問題に関するものもある。

秘密保持契約を結んでいるため、匿名で取材に応じた社外参加の男性によると、13年のスプリント買収直後に出された課題は、スプリントの経営戦略に関するものだった。孫社長は、よい案があれば採用すると参加者を激励したという。

男性によれば、孫社長は精力的に講義に参加している。午後8時までの予定が午後10時に延びたり、3時間立ちっぱなしで講義をしたりすることもある。また参加者たちをよく褒め、やる気を出させようとするという。

男性は、器の大きさを見せようとしている、と分析。震災の話をすると泣きだす社員がいるぐらい、トップダウンの経営をやっているのが分かる、と語った。

100億円

1957年8月11日生まれの孫社長は今年で58歳。早ければ60歳となる2年後には、事業を譲り渡す可能性がある。

ただ、孫社長の後継者がアカデミア生であるとは必ずしも決まっていない。事務局長の青野氏によれば「アカデミアにいることによってチャンスをつかみやすいということであって、アカデミア生からしか選ばないということではない」という。買収を繰り返すソフトバンクには毎年のように新たな経営者が加わっている。

青野氏は、2年後にアカデミアから後継者を出すのは難しいとしつつ、「10年後ならば面白い」と述べた。孫社長の退任時に世界で実績を積んだ経営者から選ぶのがいいのか、アカデミア生を選ぶのがいいのかは「そのときの勝負」になるという。孫社長は後継者には、自ら保有する株式のうち100億円相当を譲ると話している。

転職後に社長室に配属された水谷氏は、今年度のアカデミアのランキングでは首位を走っている。それでも後継者に「近づいたという意識はまったくないというのが正直な感じ」と話した。水谷氏は、孫社長を著名投資家のウォーレン・バフェット氏やジョージ・ソロス氏らと同じ「稀代の天才」とし、後継者は「ソフトバンクの世界観を後継していくという意味なのかと思っている」と述べた。

次へのバトン

「バトンを渡し損なったら、これはソフトバンクにとっての最大の危機になる」。ホームページで公開されている2010年7月のアカデミアの講義の動画で孫社長は話している。

20代で名乗りを上げ、30代で軍資金を貯め、40代でひと勝負、50代で事業を完成させ、60代で次の世代に事業を継承する-。孫社長が19歳のときに作った人生50カ年計画のうち、孫社長は「一番こける可能性のあるのは、この5つ目のステージ、継承だ」という。

高千穂大学経営学部起業・事業承継コースの川名和美教授は「次の人がいくら優秀でも孫さんの代わりはできない」と指摘した。一方、「経営者は周りにいい参謀がどれだけいるかが大事」とし、アカデミアは参謀を「集団として育てるという意味ではすごくいい取り組みだ」と述べた。

著名な経営者からの継承を課題とするのはソフトバンクに限らない。ソフトバンクの取締役を務めるファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は05年、売上高目標を達成できなかった玉塚元一氏の退任を受け、自ら社長に復帰した。玉塚氏は同社を去り、現在、ローソンの社長を務める。軽自動車を強化してスズキを国内主要メーカーに育てた鈴木修会長兼社長は、85歳となる今も現役だ。

「ある日、突然、準備もなくやってきて、簡単に渡せるほど甘いもんじゃない。だから、これから十数年かけて、皆さんの中から選ぶ」。孫社長はアカデミア生に訴えている。

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記事に関する記者への問い合わせ先:東京 天野高志tamano6@bloomberg.net;東京 Pavel Alpeyevpalpeyev@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net; Teo Chian Weicwteo@bloomberg.net 中川寛之, 上野英治郎

更新日時: 2015/03/10 06:51 JST

 

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