東芝の企業理念が幼稚園レベル…。東芝の不正会計ではなく粉飾の原因は企業理念に問題あり

東芝を「殺した」歴代社長の罪 元凶・西田氏の「子飼い」新社長、再建に疑問広まる

正会計事件に揺れる東芝は7月29日、執行役8人の7~9月の月額報酬を40%返上すると発表した。
その中のひとりである執行役上席常務の徳光重則氏は、2013年6月からパソコン事業会社の社長を務め、第三者委員会の調査報告書では「不正を認識し、関わっていた」と名指しで指摘された。一方、テレビ事業を統括する大角正明・執行役上席常務は7月29日に一連の事件の責任を取り退任したが、両氏の対応になぜ大きな差が出たのか。その理由として、「パソコンは西田厚聰・前相談役の天領。テレビの責任者だけが不正の主役として退任が決まった」(業界筋)ともいわれている。
http://biz-journal.jp/2015/08/post_11034.html

内容はどうあれ、水増し利益確保の体質で乗り切ればなんとかなっていたわけだ。
そもそも、なぜ、そんなことが起きてしまうのか?

それは明快だ。企業理念の問題だと少なくともボクは考えている。

東芝の企業理念は幼稚園なみ

日本の名だたる大企業の企業理念を見てもらうと、ひとつの統一した概念がよくわかる。
それは日本の「幼稚園」レベルの企業理念が仰々しく掲げられているだけだからだ。

粉飾(不正ではない!)で喘いでいる東芝さんを例にして申し訳ないが、企業理念がまるで典型的な幼稚園レベルなのだ…。

東芝の社会に対する存在意義とは…。


https://www.toshiba.co.jp/about/com_j.htm

日本を代表する大企業のグループ全体が目標とする経営理念だ。

何かに似ていないか?

東芝、社員全員が一眼となって、この経営理念を社会に実現するために、集結していたとすると恐ろしいことだ。情けない。これは理念ではなく、幼稚園児の社会とのお約束だ(笑)

さらにズレている東芝の経営ビジョン

東芝グループ経営ビジョン

東芝が築き上げてきた技術、品質、そして信頼は、いつも個人の熱い情熱から始まった。
飽くなき探究心を忘れず、視野を広げ、一人ひとりが目的達成への強い意志と実行力を持ったプロとして今、行動する。
時代の先を読み、組織の力を高め、機動力を持った経営で、適正な利潤と持続的な成長を実現する。
人々の夢をかなえ、社会を変える商品・サービスを通して、お客様に安心と笑顔を届け続ける。
今ある事業を、そしてこれから創り上げる新しい事業を、もっと大きな、世界に誇れる事業に育て、躍動感あふれる東芝グループを次の世代に引き継いで行く。
イノベーションへの新たなる挑戦「実行」
https://www.toshiba.co.jp/about/vision_j.htm

本当にこれが、骨の髄にまで浸透していれば、このような粉飾や不正を要求された社員は、この経営ビジョンを盾に拒否できたはずだ。問題は、抽象的で具体的ですぐに行動におこしたくなる、アジェンダにまで落とされていないことだ。やる気を鼓舞するでもなく、抽象的な目標のままである。

何のためのステートメント[宣言]なのか?

東芝グループのウェブサイトの中で、企業理念について言及されていることは以上だ。

https://www.toshiba.co.jp/about/brand_j.htm

残念ながら、この幼稚園レベルの企業理念をグループ社員が一眼となってそれを目標とする、理念にもとづいた「具現化」計画がないことが問題だ。

日本の大企業のほとんどが、「企業理念」を30年前のCIブームのときに立ち上げただけであり、「理念化」されていない。CSRも、仕方なしにやっている感が満載だ。

クレド」に値いするものであったり、その夢の実現を求めて組織で活動する「具体的」なアクションの方向性がないと、何のためにこの企業や組織で働いているのかということさえも見失われてしまう。

企業理念は、企業宗教だ

企業の理念にもとづいて、グループ各社、社員がチカラを合わせて実現させるという姿は、一種の宗教活動とも似ているかも知れない。それほど、自分たちの営みの礎となる行動基準にブレがないことが必要なのだ。

企業や組織には、その理念に盲目的にでも邁進してしまうほどの、強烈な理念が必要だ!たとえ、それが宗教的であってもかまわない。組織がひとつのゴールに向かって邁進し、それが個の為だけでなく、社会の為になることであれば、それを未来の歴史観では「正義」として認識してくれるだろう。

社会や世界や人類の為というのは簡単だ。

しかし、それを実現するために、今期、今月、今週、今日、明日、何をすべきか?にブレイクダウンできている企業は稀有だろう。

だから、モチベーションが金銭的なもの、生活の安定のつながりと低レベルのレイヤーでの、組織としてしか機能しなくなってしまう。

「白熱舎」、藤岡市助が理念を掲げるとすると「人々にゆたかな暮らしをもたらすために」×◯◯◯だっただろう

エジソン研究所で学び、白熱社を起こした藤岡市助の情熱が東芝の礎となった。
明治44年(1911年)には、タングステン電球「マツダランプ」を発売。これが東芝の起業の源だ。

http://toshiba-mirai-kagakukan.jp/learn/history/toshiba_history/roots/ichisuke/index_j.htm

https://www.toshiba.co.jp/about/histo_j.htm

藤岡市助とCSR「Leading Innovation」

http://www.toshiba.co.jp/csr/roots/#/top/introduction

「Leading Innovation」という意味を東芝社員、役員がどう、今日一日の意味に落としこむことができているのか自問自答すべきであろう。