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【映画】キューティー&ボクサー 心にやさしさが宿るドキュメンタリー 

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【試写会】

現代芸術家・篠原有司男と妻・乃り子のアーティストとしての赤裸々なドキュメンタリー。
サンダンスフィルムフェスティバル ドキュメンタリー部門 監督賞 受賞

ニューヨーク在住40年。81歳の現代芸術家、有司男(うしお)ことギュウちゃん、破天荒なアーティスト。日本を飛び出してニューヨークへ。若き日のアンディ・ウォーホールなどとの交流も見られる。

芸術で食べていくことは、これほどまでに大変であり、かつ、楽しいものかと思わせるドキュメンタリー映画だ。華々しい展示会などの表舞台と、極めて日常的な裏舞台。この落差が本当に激しい。

きっとどんな著名なアーティストでも一歩、部屋の中にカメラがはいると、かっこ良くないところも一杯なんだろう。 

ドキュメンタリーで重要なのは、カメラ側がどれだけ被写体に自然に近づけるかでもある。この映画は、カメラが、まるで空気のような存在でアーティスト夫婦の生活に浸透している。いや、それを通り越し、家族の一員化している。

家賃が払えない困った…。そんな時に、ギュウちゃんは、作品を創りだす。トランクに無理やり入れて、日本に営業にいく。帰ってきたギュウちゃんは、妻である乃り子ことキューティーに、30万円で売れたと報告する。「そんな値段で?」と乃り子さん。「いいんだよ」とギュウちゃん。

確かに往復の旅費を考えると30万円だと…。

他にもバイク作品をいくらで売るかなど、値段があってないような価値の作られ方が面白い。

自分の好きなことで生きると決めたアーティストの道は、決して楽ではない。しかし、無から作品を作り出すそのエネルギーとたくましさを、この映画は垣間見させてくれる。

息子は酒浸りの生活。思い返せば、日々、友人を招いての酒席の劣悪な環境で育ててしまったと悔いいいる二人。

それでも、日々、作品づくりに没頭し、夫婦ふたりで助けあって生きていく二人のたくましさの源泉は、NYで外国人が生きていく”性(さが)”にあると感じた。NYは、生半可なパワーでは生きていけない。しかも外国人といっても、容赦はない。みんなここでは外国人だ。しかし、意外に日本人は少ない。

このキューティー&ボクサーは、なんだか日本人が忘れ去ってしまった。心情を思い出させてくれる。日本から遠くはなれて、NYに長ければ長いほど、本来の日本人の魂が宿るのかもしれない。

そう、ギュウちゃんが日本を離れた40年間、日本は変わりすぎてしまった。きっと古き良きあの頃の日本人像を日本を飛び出していったモノが継承してくれている。

しかも、御年81歳、年金問題や老人介護など、モノともしないパワーに満ちあふれている。うん、とてもウチの父親とは似ても似つかないくらい元気だ。

完璧ではない、どこか抜けている、しかし、そこがなお愛おしい。

ぶっきらぼうだけど、そこには愛で満ちている。

見終わった時、心にやさしさが宿る映画だった。

映画『キューティー&ボクサー』公式サイト
 http://cutieandboxer.com

 

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