なでしこの南アフリカとのゲームを見て愕然としている。
これがW杯王者の戦い方なのか…。特に、後半のポールパス回しは、まさに「遅延行為」と取られてもおかしくはない。
2位狙いの試合というのが、オリンピックのフェアプレーに反することは確かだ。
しかし、考え方によると、バスで1日もかけてグラスゴーのスタジアムにまで、選手が移動しなくてはならないということも異常だ。
このゲームは、ワールドカップではなく、ロンドンオリンピックである。
オリンピックは、そもそも国の開催ではなく、都市開催なのだ。
それが、ロンドンをはなれ、アイルランドやスコットランドまで行くとならば、それはオリンピックではないと思う。
もちろん、ロンドンに、それなりの規模の会場が、特にサッカーなどの場合はないというのはよくわかる。
しかし、都市の集中開催であることのオリンピックの経済的意味や政治的意味が、こうなってしまっては意味をなさない。
施設のために選手やチームたちが、移動のために、姑息なことを考えるのもすべて、金というメダルのためだから仕方がない。それがすべての目標だからだ。
しかし、1試合づつ応援しているサポーター、いや日本国民が、後半のパス回しを見れば、見るほど、サッカーという競技のつまらなさを露見してしまった。サッカーを普段見ない人たちがあの試合を見たら、情けなく思うだろう。
勝つために手を抜く。
最後のロスタイムは、ずっとディフェンダーのパス回しを見せ続けられた…。これはボクが観てきたサッカーゲームの中でもワースト1に入る。
これは「なでしこのリスク」でもある。
結局、これで「金」をとってもらっても当然の結果と言われかねない。
なでしこの金は、前回のW杯でアメリカから、かろうじてもぎ取った金だ。その金を大事にするばかりで、手ぬるい試合をしてしまった。
「金」が取れなければ、監督の采配にまで問われることだろう。
スポーツに駆け引きは重要だ。
しかし、晴れの舞台に立った、控えの選手たちが、勝つために全力を出せない試合をおこなっている。何かの機会で世界からスカウトがくるかもわからない試合だ。
抜け駆けしてでも、シュートを狙おうとする選手はいなかったのだろうか?ボールを持ったら本能的に得点を取ろうとするのがサッカー選手だ。
もしかして、何本ものシュートチャンスをはずしたのも…と憶測したくなるが、そこまでは疑いたくはない。
この試合で、なでしこのゲームを一気につまらなくしてしまったことは事実だ。
『オリンピック精神は友情、連携そしてフェアプレーに基づく相互理解が必須である』~オリンピック憲章「オリンピズムの根本原則」より
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO44407890R00C12A8000000/?dg=1