【電子書籍】HMV渋谷店閉店 2010年08月22日 CDショップと同じ末路を本屋さんは歩むのか?

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2010年08月23日筆者撮影

ネット配信とネット通販の拡大で、CDの生産と販売は苦境に立っている。日本レコード協会によると、CDの生産量、生産額は共に

98年をピークに減少し、09年まで11年連続で前年割れ。

2009年の生産額(2460億円)は、ピーク時の約4割に落ち込んでいる。

一方、ネット音楽配信の09年売上高は909億円と、配信が本格化した05年から
3倍近い伸び
となっている。

日本レコード商業組合によると、09年のCD店数も約830店と、ピークの92年の
約4分の1に激減
した。英国系の「ヴァージン・メガストア」は、
「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)傘下に入り、09年にブランドが消滅。国内勢も、かつてセゾングループのCD
店だった「WAVE」が都心部店舗を縮小。「新星堂」も、債務超過で金融機関に支援を仰ぎリストラに踏み切るなど、軒並み苦境に立たされている。

HMVジャパンは、07年8月に経営権が国内投資会社に移転。今年3月からCCCが買収交渉をしていたが、6月末に条件が合わず交渉を打ち切った。こうし
た中、HMVは渋谷店に先立ち、6月下旬に東京・銀座の店舗などを閉店。業界関係者によると、HMVはネット通販比率が高いといい、家賃の高い都心部店舗
を閉鎖しネット通販へのシフトを加速させるとみられる。

毎日新聞  2010年8月18日

日本レコード協会
http://www.riaj.or.jp/data/quantity/index.html

HMV 渋谷のフラッグシップ店舗の撤退は、CDショップ時代のひとつの終焉を物語る出来事のように感じた。

レコードショップから、CDショップへ… しかし、「ダウンロードショップ」というカテゴリーは存在しなかった。

ネット配信から約5年。 2009年の売上は909億円と3倍大きくなった。

かつてLPレコードの場合、ジャケットは、パッケージメディアとしてとても重要であった。しかし、CDメディアとなり、ジャケットはプラスティックにおさまった単なる印刷物でしかなくなってしまった。

しかも、CDウオークマンでCDを持ち歩くには大きすぎる。テープから、MDへ、そして、iTunes経由で、iPodやiPhoneで聞かれる音楽には、パッケージ・メディアである意味はすでに皆無である。

CD音源は、つまり、リッピングのための音源でしかなくなってしまったのではないだろうか?

CDのパッケージの美的価値は、ブックオフで下取りされる際の査定のためのものとなり、再販され、リッピングされ、また下取りするという無限のリサイクルを歩みだす。いや、それでも聞いてもらえるアーティストは価値がある。

ここでも、ユーザーは増えても、雇用人口はシュリンクするのである。

音楽アーティストも、事務所、音楽レーベルというカテゴリーで、JASRAC許諾からの印税というビジネスモデルは、大きく影響を受けるであろう。

むしろ、インディペンデントで、自分レーベルでアーティストが自ら配信をはじめたほうがいいのかもしれない。

プリンスやマドンナの、有料会員はそんな、ファンクラブの枠を超えたサービスを受けられるようになっている。

電子書籍元年(2010年)から約5年後の未来、2015年、はたして「本屋」はどうなっているのだろうか?

本屋さんは、レコード屋さんと、同じ運命を2015年に歩むのか?

ボクはそうは思わない…。

なぜなら、本に最適なデバイスが実は、まだまだ登場していないからだ。

kindle や iPadの登場は、本のブラウザとしての機能として、注目されるが、まだまだ黎明期のものだ。

いわば、T型フォードの登場する前の、ダイムラー車という、従来の馬車の補完メディアなのだ。

それは、CD音楽にとってのテープやMDにしかすぎない。 iTunesやiPhoneで聞くレベルには到達していない。

kindleの反応は、本とは雲泥の差である。iPadは、ブックリーダーにも使えるけれども、読書には、集中できない。いろんなことができすぎるからだ。しかも、アウトドアの太陽光の下では文字がまったく読めない…。お風呂でも読書できない…。

本は、本を読むこと以外に、何もできないところがいいのだ。

紙の本と、電子本、PDF本は、共存しながら、紙の本のメタファーをひきづっている。

そのメタファーが解決しない間に、電子書籍の文明開化は訪れないだろう。

なぜ、電子本なのに、本の猿マネをして、ページをいちいち、めくらなければならないのだろうか?

なぜ、書籍なのに、裏側の文字が透けて喜んでいるんだろう。 コピー用紙ではあるまいし…。

なぜ、書籍なのに、片ページだけで、両開きで本を読めないのだろう。

しかし、そんな課題は、あと2〜3年もすれば、あっという間に解決されてしまう。

むしろ、読んでしまったけど、捨てられてない本のために、本を断裁して、スキャニングして、検索して本を使えるようにしたいという願望も多い。なぜか「自炊」と呼ばれているが、それはむしろ「内職」のほうが近いだろう…。


自分の書籍を断裁するのは、気分のいいものではなかった…。

重要なのは、断裁しなくても、最初から書籍にデータを添付しておくことだろう。

紙とデータのハイブリッドな時代を、ボクたちは過ごしながら、本当に必要な「本」の未来の形態を社会と共に、模索していく期間へと変わってきているのではないだろうか?

そこで、重要なのは、本を売るための「本屋さん」の変革だ。

2015年、本屋さんがHMVのように閉店に追い込まれるようなことがあるのだろうか?

いや、今の本屋さんの店頭を日々、眺めていると、もはやかつての本屋さんではないようだ…。

女性誌のコーナーの大半は、本の間に、たくさんの「トートバッグ」や「財布」や「香水」がはさまれて販売されている。

料理本コーナーには、「レンジで焼けるパウンドケーキの型」。


 

さらに、スターバックスのクーポンつきの本まで販売されている。 美顔器ローラーまでが本にはさまって店頭に並んでいる…。

そのうち、フライパンや、ルクエのスチームケースが本にはさまっていてもちっとも不思議ではない。

「雑誌」というパッケージに包まれた、新たな流通網が「本屋さん」に構築されつつある。

本屋というメディア、いやプラットフォームで、これから何が販売でき、何が販売されるのか? CDショップの二の舞にはならないと思う。

むしろ、2015年、「本屋」というカテゴリーはなくなり、「パッケージメディア屋」という新たなカテゴリーになっているような気がしてしかたがない。


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