ネタバレ注意です!
前作の「007/カシノロワイヤル」でのダニエル・クレイグで、アグレッシブな21世紀型ボンドの登場に、完全にノックアウトされている。今回は、前作の続編ということなので、期待度が、いやがおうにも高まってしまう。
特に前作での、冒頭のアクションは、ボンド映画の中でも、一番走ったシーンではなかっただろうか?
国家予算でカードゲームを展開するというのは、現在となっては、荒唐無稽なストーリーであるが、それなりに楽しめた。
そして、今回はあのラストシーンの1時間後からのストーリー展開だという。
新兵器だとか、プレイボーイだとかのマンネリなジェームズ・ボンドと決別した新シリーズの続編を少しでも早くみたいがために、先行ロードショーへと向かった…。
上映時間はシリーズ最短の1時間47分
前作、カシノ・ロワイヤルでは、ソニーエリクソンの携帯電話やVAIOが鼻につくほど登場していたが、今作では、おそらくコカコーラzeroなどのコラボレーションが、てんこ盛りでいやだなぁと思っていたら、そこは非常にスッキリと登場しないことが好感を持てた。
映画の世界観はコラボしていもいいが、作品中でのカット割りには参加してもらいたくないからだ。
「007/カシノ・ロワイヤル」のエンディングから1時間後、カーチェイスから始まる。
短いカットつなぎで車を認識する前に、左ドアが破壊された車、アストンマーチンがズタズタになる。追跡するアルファロメオもよくわからないようなカットでつないでいく。しかも、どのカットも寄りでつながれていく。さらにモーションブラー的にブレブレ画像が続く。
全景を見ても3秒と同じカットがない。
緊張感は伝わるが、もう少し、ロングの絵も欲しかった。
また、モンタージュ的に挿入される画面もさすがに2回は不要だ。
さらに、いつまで立っても、007映画のようで007のような気がしない。
その理由はあきらかだ。オープニングにジェームズ・ボンドのテーマがないからだ。予想外な使われ方をするのだが…。
カシノ・ロワイヤルでも感じていたが、クレイグ・ボンドに対して、適役やボンドガールの特徴のなさが今回も非常に目立つ。ロジャー・ムーア時代のジョーズとまでいかないまでも、せめて、ロシアより愛を込めてのロバート・ショウ、クラスの個性ある適役が欲しかった。
今作では、ボンドガールとはとても呼べない。
しかしながら、感情を押し殺した冷酷なクレイグ・ボンドはまさにパーフェクト。その演技を見るだけでも価値がある。CIAの盟友フィリックス・レイターとの関係なども、非常に現代的なエピソードになっている。
巨大基地や巨大兵器的な展開ではなく、実際に起きていそうな状況下での戦いが続く。それだけでなく、組織の中の命令系統の中での葛藤などもあり、複雑な戦いをボンドは強いられる。
ただ、時間を短くしすぎたせいなのか、戸田さんの翻訳のせいなのか、なんのために世界を飛び回るのかの説明はもう少し欲しいところだ。
ペンダントの件や、ヴェスパーとの会話、マティスとの人間関係
こんなシーンこそ、モンタージュで見せてほしい。
さらに、ゴールドフィンガーのオマージュで殺したのは誰? 砂漠の中でグリーンを殺したのは誰?いくつかの?も残る。
「007/カシノロワイヤル」を再度見直したいと思う。
今作品は、007/カシノロワイヤルを前日に見てから、行くべきである。
もしくは007映画の編集者自身にも慰めが必要かもしれない。