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真実と事実はちがうバグダッド Baghdad Iraq

KNNポール神田@ヨルダンです。

バグダッドのホテルは、24時間護衛付きのパレスティナホテルなどから、5分程度のところにあるDIWAN HOTELを宿にした

もちろん、24時間護衛どころか、夜の20時ともなると、カギをかけてフロントが機能しなくなる(笑)。バグダッドの夜は、とても早く、夜の19時にはあらゆる店が閉店状態となる。

22時をすぎて、外を歩いているのは現地で「スティーラー」と呼ばれる略奪集団のみといわれる。試しにホテルにすぐ逃げ込める距離だけを散策してみることに…。
とりあえず、所持金は命ごいのための50ドルと予備用のビデオカメラのみ。万一のためにメインのビデオではない。

完全米軍の24時間セキュリティ完備のパレスティナホテルを眺めながら…。
パレスティナホテルから発展途上国のメディアはレポートをくりかえす。そんな米軍の見せたいところだけをレポートしてどうなるんだ?
こちらは護衛なしの自己責任で自前のホテルからこちら側からの事実をレポートする。事実は人の数だけあるけれども、真実はひとつだ。しかし、誰にも事実は見えても真実は見えない。たとえ当事者であっても…。この戦争も数十年先の未来の人が膨大な資料にもとづいてはじめて真実に近いことを知り得るのだろう。

外を走るのは、一般の車と米国の警備用のジープ車のみで、歩行者はさすがにボク以外にはいないようだ。時折、人影があるようであるが、ゴミ箱をあさっているような人くらいだ。

さすがに、丸腰でしかも徒歩で、この街の夜を散策するつもりにはなれないが、車では比較的、自由に動けるようだ。しかし、まだ夜の22時である。BARの一軒でもと思うのだが、さすがにヨルダンのような隠れ酒場もなければ、本当に寝る
しかすることがない。

バグダッドの地理も直感的に、わかりはじめ、アラブ人のタクシーの交渉もボッたくられずにすむようになった。距離や目的地ではなく、1時間走っていくらという交渉が比較的うまくゆくようになった。

目的地を伝えても、うまくそこにたどりつける保障がなく、とんでもないところにおろされてしまって途方にくれる。

道を聞くと、親切に人が集まってくれるが、ドヤドヤと人が続々と集まり、「そっちではない」「いや、こっちだ」と路上でのヒゲオヤジたちの大激論が始まる。あまりにさわがしくなるので、その場を「thankyou」で立ち去ろうとすると、「あなたのために、我々は議論しているのに!」という。余計なお世話だ。勝手に集まっているのに…。ふと気がついた。

道をきいたのは、このボクだ。このボクの行動に彼らが反応しているだけだ。道さえ聞かなければ、この騒動(彼らにとっては日常なのかも?)もおきていない。

詳細な地図でタクシーに指示をして、ピンポイントで回ればこんなことにはならないだろう。そう、日本の論理で彼らと同じ土壌で話しをしてもラチがあかないことを学んだ。

日本のテレビや新聞の情報をまったく見ていないので、「情報浦島太郎」状態であるが、バグダッド以外でおきている自爆テロで、イラクはとても緊張状態にあると報じられているが、バグダッドはいたって日常状態であり、僕に
とっては平和すぎてつまらないくらいだ。以前のバグダッドを知らないので、比較できないが、ヨルダンのアンマンより、少し不便なだけにしか映らない。

取材モードの話しでは、現地のクルド人の情報筋らしき人の話によれば、興味ぶかいいくつかの仮説があるらしい。

・フセイン氏は、穴の中にいたのではなく、クルド人がとある家で捕まえた。
・ビンラディン氏は、持病でかなり前になくなっているが、アメリカはうまく生きているように利用している
・大量破壊兵器はもともとないので、米国が密かにイラク内にもちこんだ
・ブッシュの支持率が、大統領選までにさがる度に、ビンラディンの暗殺成功、
大量破壊兵器の発見をトピックとしていく。

などなど、まるで、トリビア並の「へ〜」を連発させてくれる(笑)。現地で知り合った外国人ジャーナリストからは、すでに自衛隊の派遣兵が殺害された時のマニュアルもすでにできているという。

自衛隊殺害の速報と共に、小泉首相が間髪いれずにイラク入りをおこない、日本のテレビはすべて緊急特番に切り替わり、小泉首相が、日の丸の国旗で覆われた棺おけをバックに涙ながらにいつもの論理よりも感情を表にだし「我々は断じてテロに屈すべきではない。この彼らの死をムダにしないために!」と、緊急特番で国民に訴えるそうだ。

野党が切り出す前に、緊急特番によるプロパカンダで国民は小泉涙節に情調させてしまい、支持率ダウンを食い止めるばかりか、アップさせるという。

普段、IT業界に身をおく、ボクとしては、この戦争業界の人たちのたくましいながらの想像力と思い込みに、自分のひざの「へぇ〜」ボタンを何度もおしてしまう。

しかし、人からやメディアの報道は、ますます、どこまでが本当で何をもって、真実とみればいいのだろうか?また、「真実」と「事実」は異なっているのかもしれない。

また、市内をタクシーで回ってみると、バグダッドの大量の攻撃は、市内のねらったビルだけをきわめて、正確に破壊していることがよくわかる。主要の駅などはすでに米軍が占拠しており、利用しようにも民間人レベルでは利用できない。

第二次世界大戦のような大量の民間を巻き込んだ大量攻撃はすでに終了し、狙った建物だけを狙い、外れたものだけが民間人を被害に巻き込んでしまうという攻撃に変わったかのように思える。街の崩壊状態だけで判断し、「阪神大震災から比べるとバグダッドなんて…」と現地入りしてすぐに思った感想は、「戦争技術は進化しているんだ」に変わった。

ボクが米軍なら、もっと「安全な戦争」を映像でアピールするだろう。人が歩いている横30メートルでビルを爆破しても、埃などはあれど人を殺傷する率は1割以下であるというようなCGつきのプランをもっと見せて、だから民間人は安心してくださいというようなイメージを提供したい。

しかし、そんなことをすると戦争の意味がない。民間人かどうか、民間か国家かがわからないような建物になると攻撃目標が見えなくなるからだ。

黒コゲになって鉄筋だけがむき出しになっているビルを眺めながら「劣化ウラン弾」のことを考えた。

このバグダッドでも「劣化ウラン弾」
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/UMRC/du_human_effect.htm
http://www.chugoku-np.co.jp/abom/uran/tokushu/index2.html
のことで被爆する恐れがあるというが、それを気にしていては取材にならない。

むしろ、その環境汚染に、攻めた米軍兵士や現地の民間人の遺伝子に影響を与え
ていることのほうが問題なのかもしれない。

鉄の約二・五倍、鉛の約一・七倍重い、劣化ウランは、湾岸戦争時から弾頭に利用されるようになった。戦車や地下組織にまで到達できる破壊力を持たらすのである。

日本の原子力発電などに利用された劣化ウランが米国に販売もしくは、廃棄物利用のために利用されているというのもある意味、「派兵」以上の大きな責任があるのかもしれない。

この話題は、あまりテレビや新聞でも書かれず知らない人も多い。ボクもイラクに行くということで初めて忠告された。メディアが取り上げるのは、常に旬の料理であり、本当に体にとっていい料理とは限らない。

「バグダッドは平和だった」とボクは感じる。信じる信じないは人の自由だ。少なくとも、メディアだけでしか知らなかったイラクをボクは自分の五体で感じてきた。インドからタイ経由で8万円でヨルダンにまで行けた。

ヨルダンからバグダッドの砂漠を、行きは一台80ディナール(24000円)。しかし帰りは、アラブの論理と戦いながらの苦闘のアンマンまでの旅となった…。

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