http://asa10.eiga.com/2016/cinema/611.html
学生時代に見た、『七人の侍』のVHSビデオは、音声を聞き取るのが大変なほどだった。
ジミ・ヘンドリックスのレコードも酷い状態をカセットテープで聞いていた。
ある程度のメディアのクオリティがないと、『七人の侍』もジミ・ヘンドリックスも見聞きに耐えない…。
ジミ・ヘンドリックスのデジタル・リマスターはもう最高の音質で聞こえるようになった。
黒澤映画もついに、そんな時代になるという。
さらにセリフも聞き取りやすくなるという。
これは楽しみだ。いま、ハードディスクに残っているのを観るよりも、映画館で、黒のしまったモノクロ映画で早く観たくなった。
レストア作業について
黒澤明監督の名作「七人の侍」(1954年)と「生きる」(1952年)。いずれも60年以上前の作品で、これまでもニュープリントやレストアなどが試みられてきたが、“これまでで最高の画質”を目指した4K修復が実施。高画質化したものが、劇場で上映される事が決定した。修復を担当したのは、調布にある東宝系の東京現像所。
機械にかけられるようになったフィルムを、スキャンし、デジタル化していく。6K解像度まで対応した機械で1コマ1コマスキャンしていくのだが、その様子を観察していると、RGBの光がパパッと順序良く発光しているのが見える。単純に白い光を当てて撮影しているのではなく、R、G、Bの光を個別に当て、合成して1枚のデータにしているそうだ。さらに、R、G、Bの光は各2回発光している。強めの露光、弱めの露光……つまり、R、G、Bで2回ずつ、合計6回光を当てて撮影するわけだ。これは、ディスプレイのトレンドであるハイダイナミックレンジ(HDR)と同様の考え方で、強めの露光をした際の絵と、弱めの露光の絵を組み合わせる事で、ノイズが少なく、最も高画質な絵が得られるという。
今回の「七人の侍」と「生きる」のレストアでは、音声のデジタル化の手法に大きな特徴がある。日本に一台しかないという、光学サウンドトラック・デジタル再生装置「SONDOR・RESONANCES」を導入し、使っている事だ。
通常は、フィルムを再生し、再生された音を録音する。しかし、SONDORのRESONANCESという装置は、プリントフィルムやネガフィルムの光学トラックを、画像として撮影。その波形から、デジタル音声を得るもの。高音質なデジタル化ができるだけでなく、再生のためのプリントを焼かずにサウンドのスキャンできるため、作業時間の短縮にも寄与しているという。
得られた波形データは、映像をレストアするように、ノイズを除去したり、薄くなっている波形のコントラストをクッキリつけて音をクリアにしたり、フィルムがよれていてもレンズを調整する事で揺れのない綺麗な音をデジタル化できるといった利点がある。デジタル化は96kHzで行なったそうだ。
デジタル化した音声は、ProToolsで整音。izotopeの音声修復ツール「RXシリーズ」をメインに使い、細かなノイズなどを除去していく。RESONANCESでデジタル化する事で、音も解像感や音の細かさは大幅に向上したとのことで、セリフが聞き取りづらいと言われる事が多い「七人の侍」も、聞き取りやすくなっているそうだ。一方で、故意にセリフを際立たせるような処理はしておらず、「あくまで原音に忠実に、あとから付加されたものを取り除く事を念頭に作業をした」という。
http://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/20160222_744265.html
これを読むと、4Kの映像よりも、音声のほうの出来上がりが聞きたくなった…。