PILOTの20億本販売の『フリクション』は売れなかった色の変わるボールペンから〜気づきの扉〜

PILOTの20億本販売の『フリクション』は売れなかった色の変わるボールペンから〜気づきの扉〜

温度変化でインクの色が変わるというアイデアが、温度変化を80度まで拡大し、色を透明に変えたことによって、20億本ものヒットにつながった。
オリンピックの入場券 ニセモノ防止のインク、魔法のコップや玩具にいたるまで、発明やヒットのシーズがあっても、それがいかに人に、使えるイメージとしてのニーズに展開できないと難しかったことを物語る。

色が変わるだけのボールペンでは、使用イメージがわかない…。しかし、色が「透明に変化し」消えてくれると潜在ニーズは無限にある。
今では、消せるという安心感で、実際に消すことはほとんどなくても、フリクションを選んでいる毎日だ。

こすると消える『フリクション』のアイデア

透明にインクの色を変えること…それはすなわち「消せる」とういうこと。
摩擦熱を加えると、透明色に色を変えるインク。それが、消せるボールペンの『フリクションインク』となった。
しかし、その特性のアイデアを、消えるボールペンにするまでには、30年もの時を必要とした。

2005年、温度変化の幅を80度前後(-20℃~65℃)まで拡大することに成功。進化した筆記具用メタモインキ「フリクションインキ」が誕生する。 ヨーロッパでフリクションボールを先行発売し、爆発的なヒットを記録。

1975年のメタモインキの発明

その歴史は、はるか昔の1975年にさかのぼる…。今から[my-age birthday=”19750401″]年も前だ。
1975年『メタモインキ』の開発に成功。特許を取得
1976年『魔法のコップ』メタモインキを使った世界初の商品、紙コップ「魔法のコップ」発売。
※冷水を入れると花咲か爺さんが桜の花を咲かせます。
1985年玩具『メルちゃんまほうのフライDEこんがり』
※温度の変化にエビフライがキツネ色になる

2001年 メタモインキを使った筆記具の研究開発
2002年 こすると色が変わる不思議なボールペン「イリュージョン」を発売


外観はごく普通のボールペンで、取り立てて特徴もない。キャップを取って文字を書くと、黒い筆跡で普通に書ける。インクが乾燥してから、キャップの先端に取り付けられているラバー部分の突起で軽くこすると、あら不思議! 黒で書いたはずの文字の色が変わるのだ。ボールペンの外観が赤のペンで書いた黒い文字は、こすると瞬間に赤くなり、青いペンで書いた黒い文字はあっという間に青く変化する。
https://k-tai.watch.impress.co.jp/cda/article/todays_goods/13735.html

レビューが、さらに涙ぐましい…。

学生なら、歴史の年表暗記や化学式の暗記などに活用できるだろう。主婦なら忘れ物なしの最強の買い物メモにも簡単に応用できる。システムノートのToDoリストなどを愛用しているサラリーマンなら、グリーンのペンを使えば、全ての項目がグリーンの文字で埋まるよう、予定の消化に励むのに効果があるかもしれない。そんな達成感一杯の不思議ボールペンだ。
しかし、メタモカラー・インクは、周囲の温度による化学変化を取り込んだインクなので、40度以上になると本来のカラー表示になり、逆にその10分の1である4度以下になると黒い色に自然に変化してしまう。ラバー状のキャップで擦るのは、ラバーと紙の間で摩擦熱を起こして温度を40度以上に上げるためなのだ。キャップを使用せずに指先などで、文字を擦っても、少し時間はかかるが同様の結果になる。またいったん色が変わりカラー表示になったメモをしばらく冷凍庫にいれておくと、全ての文字が元通りのブラックカラーに戻る。11月中旬以降の札幌などで、暖房の効いた部屋と戸外を行き来するなどすると使えない確率が高いので注意が必要だ。
https://k-tai.watch.impress.co.jp/cda/article/todays_goods/13735.html

このレビューに、「むしろ、透明になれば…」のコメントがあれば世界的ヒットはもっと早かったのかもしれない。しかし、フリクションの可能性を引き出すこととなる秀逸なレビューだろう。

2005年 「フリクションインキ」誕生
温度変化の幅を80度前後(-20℃~65℃)まで拡大することに成功。進化した筆記具用メタモインキ「フリクションインキ」が誕生する。 ヨーロッパでフリクションボールを先行発売し、爆発的なヒットを記録。

2006年 ヨーロッパでフリクションボールを先行販売

2007年 フリクションボールを日本で発売

おかげさまで「フリクション」シリーズは、世界累計販売本数20億本を突破!
※フリクション全シリーズ 当社出荷ベースによる(2017年4月末時点)
http://www.frixion.jp/story/

株式会社パイロットコーポレーション
(PILOT CORPORATION)
http://www.pilot.co.jp/

『気づきの扉』 毎週金曜日 23:10〜23:15 テレビ朝日
http://www.tv-asahi.co.jp/kizuki/

http://www.tv-asahi.co.jp/douga/kizuki_cu/1923/?official=1
https://tver.jp/search/catchup?keyword=%E6%B0%97%E3%81%A5%E3%81%8D%E3%81%AE%E6%89%89