公取委、JASRACに排除命令へ 私的独占で
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0902/07/news008.html
テレビ局は、「包括利用許諾契約」という契約を交わし、番組のバックで効果的に使う楽曲を、一曲ごと申請しないで、JASRACに委託されている大半の楽曲を自由に使える。
しかし、この度、JASRACのこの契約が、他の著作権管理団体の参入を拒む要因として、事前にJASRACに通知したという。
さて、これによって、包括利用許諾契約が、無効となるとどうなるのか?
最悪の場合は、テレビ局は一曲づつ使用した著作権楽曲の利用料金を支払いなければならなくなる。
すると、コスト高になることを嫌うテレビ局がBGMをつけない、もしくは、著作権フリー楽曲ばかりで番組制作をおこなうこととなる。
うーん、それは音楽業界にとっても、テレビ業界にとっても、マイナスである。
さらに、番組制作者は、アーティスト、楽曲、などを何年何月何日、何時何分に放送したなどの情報も提出する必要がでてくるだろう。これは、テレビ局の予算管理と、番組制作者の手間が増える一方だ。
もっと、広義で、「包括利用許諾契約」で考えると、場末のスナックでも、一曲づつ使用楽曲を提出という可能性がでてくる。
そう、JASRACは、場末のスナックでも、キチンと著作権料を、広さと席数と営業時間で算出して徴収しているからだ。ちなみに、NHKの受信料は、福山通運の子会社より、JASRACにまかせたほうがいいと思うほど徴収能力はおそろしく高い。また、支払拒否に対してJASCRACは訴訟で対抗している。
もっともっと最悪の場合は、包括利用許諾契約を交わしている、YouTubeやニコニコ動画にまで、自分で演奏した楽曲ですら、アップロードできなくなるなど影響が及ぶのかもしれない。
一方、公正取引委員会は、JASRACの独占的な立場を指摘しているので、その状況が、なくなればいいのであるから、他の著作権管理団体にも「包括利用許諾契約」を結びなさいというような条件だしも、できるのではないだろうか?
公正取引委員会を動かせたのは誰というのも気になる。
公取が自ら動くことはない。第三者から不公平な取引条件が申請されてはじめて調査となるはずだ。
記事にある「同業者の新規参入を阻んだ」とすると、他の著作権管理団体の本当の狙いはどこにあるのだろうか?
本来であれば、委託された楽曲一曲ごとに、分配料をヒモづけることが理想であり、使われた楽曲の権利者に分配するのが話の本筋である。
iTunes経由でジャケット写真や歌詞にまでヒモづけが可能な今、使った楽曲の管理は、番組制作者の手作業でなく、Googleで音声検索するような時代になるのかもしれない。
ビデオリサーチの新しい音声による視聴率調査技術が登場しているので、そろそろ放送局もすべてのコンテンツに対して、メタデータ化として提供することが必要がありそうだ。
手間とコストがかかるので、いっそのこと、クラウドソーシングというのも、一つの方法だろう。
どちらにしても、マスメディアにおける音楽著作権の考え方を、大きく変化する可能性と問題が浮上してきた。
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