idea lab ビル・グロスのビジネス・インキュベート錬金術

ビル・グロスのアイデアラボ Googleの金脈ビジネスを発明した男 idealab

 

http://www.idealab.com/

スタートアップの成功要因は、すべて『タイミング』だった!
ビル・グロス Uber Airbnbを語る

■インターネットビジネス界のエジソンとなるのか?――ビル・グロスのビジネス・インキュベート錬金術

hot wired 神田敏晶
1999年 hot wired寄稿より 今から[my-age birthday=”19990101″]年前の原稿だ…。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/05/10/15652.html

インターネットの世界で、もしもの話は多い。

もしも、ビル・グロスがGoto.comで、広告優先型検索を考えていなかったら…。

Overture.com(現Yahoo! Search Marketing)のビジネスモデルもなく、そして、それを猿マネしたGoogleのビジネスも登場しなかった。

今やネット広告の50%を牛耳るGoogleも成長していなかったのだ。

http://en.wikipedia.org/wiki/Bill_Gross_(entrepreneur)
http://en.wikipedia.org/wiki/Idealab

 

■インターネットビジネス界のエジソンとなるのか?――ビル・グロスのビジネス・インキュベート錬金術

ロサンゼルスから車で20分の郊外にあるパサデナ市。カリフォルニア工科大学(CALTEC)のある学生街でもある。ビル・グロスのベンチャーデビューはかなり早かった。若干12才であり、ポピュラーサイエンス誌に掲載された太陽光を電気に変換するキットが始めての商品であり、これがまた大ヒット商品となる。CALTECを卒業し、1984年にロータス123のプログラム支援ソフト会社GNP社を起こした。そして2年後にはそれをロータス社に売却。 1994年には教育用CD-ROMソフト会社ナレッッジ・アドベンチャー社を起こし、1996年には1億ドルでCUC ・インターナショナルに売却したという。起こしては売りというまさにベンチャーのアイデア商人であった。そして今度はその才能を一番生かせる会社をはじめた。
それが「アイデア・ラボ(http://www.idealab.com/)」だ。


http://www.idealab.com/

「アイデアラボ」は、インターネットにだけフォーカスを絞りこんだアイデアを具現化するための会社である。設立は1996年3月だ。
1998年にはアイデアラボ・キャピタル・パートナーズ(http://www.icp.com/)を設立し、第1ラウンドでの調達資金は総額で1億5百万ドル以上にも及び、その結果、25もの新規インターネット・ビジネスに投資した実績をもつ。この投資先には、GoTo.com (GOTO),eToys (ETYS), MP3.com (MPPP), などのIPO組みがいる。そして第2ラウンドは今年の8月に、3億5000万ドル以上を調達してしまった。

たったの3年である。パサデナ本社は、隣の韓国料理屋よりも狭いたたずまいのオフィスであるが、続々とIPO(店頭公開)する企業が後を絶たない。ビル・グロスの比類まれなネット・ビジネスのアイデアにはベンチャーキャピタルの資金も次ぎから次ぎへと吸い寄せられてくる。まさにインキュベート錬金術ともいえるほどだ。

アイデア・ラボの強さの秘けつは、「スーパープログラマーにある」という。「15名ものスタープログラマーが日夜、思いもよらないインターネットのプログラムを書いてくれる。また、アイデアをより具現化するために、見事にフィットしたプログラムを書いてくれるからだ」とグロスは言う。さらにネットビジネスが、コンテンツでのビジネスとテクノロジーのツールを提供するビジネスとにうまく分散されているのも特徴だ。どちらの分野も系列会社がしっかりと押さえているのだ。

また、インキュベート企業もすべて物理的に軒をつらねている訳ではないが、可能な限り、オフィスの経費から経理関連の書類は一括で管理できるポートフォリオ会社をもマネージメントしているところも注目したい。求人に関しても、ポジションをきめれば、同時にアイデアラボのサイトで常に募集をかけている。アイデアラボのベンチャー企業は、そういった余計な雑用を気にせずに短期でのIPOを目指し、一気にかけぬけるのである。資金は潤沢にあり、公開のタイミングもすべて熟知している。またストックオプションによって、公開後にはキャピタルゲインという特別な魅力もついており、彼らのモチベーションを高めている。

PRやマーケティングも一括でアイデアラボが管理できる点も、短距離走にはとても好都合な条件だ。今や一挙一動が注目されている人物であるだけに、好条件がそろう。今月、アイデア・ラボはシリコンバレーの心臓部のサニーベールにも進出するということを発表した。

ヤフーとマイクロソフトの合弁会社、「カーポイント」に数億円で「ネットディーラーズ」を売却したネットエイジ社の西川氏も、アイデア・ラボのビジネスモデルを絶賛し、アイデアラボに続けと後続のポジションを狙っている。

アイデアラボは、今までにないソフトコンテンツ型のインキュベーション事業を成立させた最初のネットベンチャーだ。続々とIPOをさせるという明確な形でビジネスを推進している。アイデアのあるベンチャーと、それを支援するインキュベーターが、株式公開まで付き合うという、従来のベンチャーキャピタルに多いパターンとは違う形体が生まれ出してきているのも事実だ。

ハード設備を重視してきた日本のインキュベート施設とは意味がまったく違う。ハード重視の姿勢には、不景気時代の空きビル対策といった、本末転倒ともいえる思惑なのかもしれない。アイデア先行の時代には、広々としたフロアも豪華なキューブもまったく不要だ。ましてや高価なハード機器は、インターネットベンチャーには無用の長物となりつつあるであろう。

最後にアイデアラボの事業を簡単に紹介しておこう。

■アイデアラボがインキュベートする企業郡。

CarsDirect.com
http://www.carsdirect.com/
CEO スコット・ぺインター
消費者がイニシアティブをとりながら、Webで新車を購入できるサイト。
Cooking.com
http://www.cooking.com/
CEO デビッド・フーデス
料理をする人々のためのクッキングポータルサイト
eToys
http://www.etoys.com/
CEO トビー・レンク
おもちゃ、ソフトウェア、ビデオゲーム、音楽、ビデオとベビープロダクトのポータルサイト。
1999年5月 IPO 。NASDAQ:ETYSS
eve.com
http://www.eve.com/
CEO マリアム・ナフィシー&バーシャ・ロー
女性向きの総合コスメティクス販売のポータルサイト。
MyHome.com
http://www.myhome.com/
CEO スティーブ・ジェニングス
デザイン重視の家庭用小物の専門ショップ。
PETsMART.com
http://www.petsmart.com/
CEO トム・マクガヴァン
総合ペット用品のポータルサイト。
Tickets.com
http://www.tickets.com/
CEO トム・ギンプル
ありとあらゆるチケットが入手できるポータルサイト。チケットオークションなどもある。
utility.com
http://www.utility.com/
CEO クリス・キング
登録することによって電気代が10%から25%まで安くなるというインターネットならではのディスカウントプライス適用の代行サイト。
WeddingChannel.com
http://www.weddingchannel.com/
CEO ティム・グレイ
「結婚」をテーマに旅行から引き出物までドレスまで何でもそろうポータルサイト
HomePage.com
http://www.homepage.com/
CEO ビル・グロス
10メガまでのディスクスペースを使える。あなたの名前+homepage.comのサイト。
iExchange.com
http://www.iexchange.com/
CEO デイビッド・アイズナー
この10月より新しく登場する投資家のための金融ニュースサイト。今は1万ドルが当たるキャンペーンをおこなっている。チャットルームとメッセージボードなどがある。
KidsOnLine
http://www.kidsonline.com/
CEO スティーヴ・ダムロン
親が安心して遊ばせることのできる子供のためのサイト。ネットワーク対応のクロスワードパズルなどが用意されている。
firstlook.com
http://www.firstlook.com/
CEO ランド・ブライマイスター
Realplyaerで音楽を視聴でき、広告を付加することができる音楽サイト。チャートによって広告料金が変わるところがユニーク。
SmartGames
http://www.smartgames.com/
CEOゲーリー・ウォード
インターネットとCD-ROMを使用するゲームサイト。パズルなどが豊富。
Ticketmaster Online-CitySearch
http://www.citysearch.com/
CEO チャールズ・コン
ローカルなエンターテインメント情報を掲載。全米の各都市のバージョンが追加されていく。1998年12月のIPO 、NASDAQ:TMCS
Centra
http://www.centra.com/
CEO レオン・ナビッカス
ライブビジネスソリューションソフトウェア「Centra 99」のサイト。
eCall
http://www.ecall.net/
CEO ハーブ・ズィドニー
インターネットを活用した音声コミュニケーションサービスサイト。
EntryPoint
http://www.entrypoint.com/
CEO ラリー・グロス
総合アクセスツールバナーソフト。PointCast を買収したことによって、バナーにニュースが搭載された。eWalletなどの電子通貨機能をもそろえる。
Free-PC
http://www.free-pc.com/
CEO ドン・ラ・ヴァン
idea-labの中でも最も著明な企業。個人情報とひきかえに無料でPCをプレゼントをはじめた世界で最初のサービス。
GoTo.com
http://www.goto.com/
CEO ジェフリー・ブリュワー
検索結果の表示に対価を求めるサイト。市場原理によって、検索結果にはより広告代金を支払ったサイトから優先に表示される。
1996年6月IPO NASDAQ:GOTO
Intranets.com
http://www.intranets.com/
CEOスティーブ・クラメイ
フリーで提供されるイントラネット用ツール。カスタマイズなどが可能。
jobs.com
http://www.jobs.com/
CEOティム・アームズ
求人する会社と求職者を履歴書銀行が仲介するというビジネスモデル。
NetZero
http://www.netzero.com/
CEO マーク・ゴールドスタン
広告付き専用ブラウザによってインターネットが無料になるシステムを提供。
OpenSales
http://www.opensales.com/
CEOミカエル・クラウス
Linuxベースで利用できるEコマースツールを提供し、エンドユーザーと小売り業にとってのビジネスをより刺激するツールを開発している。シリコンバレーに進出した。
PayMyBills.com
http://www.paymybills.com/
CEOジョン・テデスコ
支払いと支払いのために要する確認作業をすべてWebから可能にしたサービス。
PeopleLink
http://www.peoplelink.com/
CEOスティーブ・グレン
テーマごとに別れたコミュニティサイトに総合コミュニケーションツールを提供する。
Shipper.com
http://www.shipper.com/
CEO アレックス・ネズビット
即日配達を可能にする日本では当たり前のサービスだが、アメリカでは珍しい。提携する電子通販の付加価値をあげている。

1999年hot wired寄稿より