出生数と中絶数 相関関係が考えられる。「でき婚」手当とか、「でき婚」を良い傾向として育てていく文化が日本には必要だ。「中絶」を選択するよりも、「でき婚」 を選択するには、育てやすい国にするしかない。2009年(平成21年)は、226,878人が中絶されている。2011年の出生数は、100万人を割っているので、1/4以上の日本の赤ちゃんが生まれる前に施術されている計算。各国の人口妊娠中絶比較グラフ2011年 人口動態統計の年間推計日本人女性の6人に1人は「人口妊娠中絶」の経験がある。厚生労働省厚生労働省によると 2008年(平成20年度)の出生数は1,091,156人で中絶件数は242,326人出生数と中絶件数をあわせると1,333,482人15.5%は、人口妊娠中絶をおこなっている。日本人女性の6人に1人は中絶経験者ということになる。■出生数と中絶数をだらだら並べてみたり。そしたら少妊娠化が見えてきた〔追記あり〕
柳原滋雄さんが都の青少年条例改定に対して賛成意見を自身のサイトの記事で述べている。で、その論拠の一部として人工妊娠中絶数とできちゃった結婚の増加を挙げている。これに刺激されて前々から取り上げておきたかったことを記事にしてみることにした。なお、今回の記事は東京都の青少年条例改定賛成・反対については(少なくとも直接は)全く検討しない。テーマを「少子化」と設定していることからもわかるように少子化について拙いながら検討してみただけである。
まずは次の表をご覧いただきたい。中絶数と15~49歳女子人口千人当たり中絶率、及び出生数を表した表である。20代中絶率はあとで使う。
中絶数、中絶率、出生数の年次推移 年次 中絶件数 中絶実施率 うち20代中絶件数 うち20代中絶率 出生数 1955年 1,170,143 50.2 490,717 60.5 1,730,692 1956年 1,159,288 48.7 496,909 60.9 1,665,278 1957年 1,122,316 46.2 486,738 58.8 1,566,713 1958年 1,128,231 45.6 488,975 58.6 1,653,469 1959年 1,098,853 43.6 482,928 57.9 1,626,088 1960年 1,063,256 42.0 472,726 56.4 1,606,041 1961年 1,035,329 40.6 467,269 55.4 1,589,372 1962年 985,351 37.8 443,601 51.7 1,618,616 1963年 955,092 35.7 428,892 49.4 1,659,521 1964年 878,748 32.1 392,858 44.5 1,716,761 1965年 843,248 30.2 377,496 42.7 1,823,697 1966年 808,378 28.5 362,206 42.0 1,360,974 1967年 747,490 26.0 324,251 36.5 1,935,647 1968年 757,389 26.0 336,210 36.3 1,871,839 1969年 744,451 25.3 339,175 35.0 1,889,815 1970年 732,033 24.8 334,221 33.5 1,934,239 1971年 739,674 24.9 337,160 33.8 2,000,973 1972年 732,653 24.5 330,234 32.9 2,038,682 1973年 700,532 23.2 311,801 31.2 2,091,983 1974年 679,837 22.4 297,231 30.2 2,029,989 1975年 671,597 22.1 295,749 29.9 1,901,440 1976年 664,106 21.8 299,063 30.1 1,832,617 1977年 641,242 21.1 274,926 28.8 1,755,100 1978年 618,044 20.3 254,542 27.9 1,708,643 1979年 613,676 20.1 239,074 27.5 1,642,580 1980年 598,084 19.5 222,163 26.5 1,576,889 1981年 596,569 19.5 214,350 26.3 1,529,455 1982年 590,299 19.3 204,202 25.6 1,515,392 1983年 568,363 18.5 192,832 24.5 1,508,687 1984年 568,916 18.5 191,597 24.4 1,489,780 1985年 550,127 17.8 183,928 23.3 1,431,577 1986年 527,900 17.1 175,410 22.4 1,382,946 1987年 497,756 16.0 167,811 21.0 1,346,658 1988年 486,146 15.6 166,319 20.6 1,314,006 1989年 466,876 14.9 163,510 19.9 1,246,802 1990年 456,797 14.5 165,572 19.9 1,221,585 1991年 436,299 13.9 163,663 19.1 1,223,245 1992年 413,032 13.2 159,439 18.2 1,208,989 1993年 386,807 12.4 155,397 17.3 1,188,282 1994年 364,350 11.8 150,976 16.5 1,238,328 1995年 343,024 11.1 145,439 15.8 1,187,064 1996年 338,867 10.9 147,576 15.7 1,206,555 1997年 337,799 11.0 149,215 15.9 1,191,665 1998年 333,220 11.0 149,164 16.0 1,203,147 1999年 337,288 11.3 152,388 16.6 1,177,669 2000年 341,146 11.7 155,224 17.7 1,190,547 2001年 341,588 11.8 155,161 18.1 1,170,662 2002年 329,326 11.4 147,990 17.7 1,153,855 2003年 319,831 11.2 143,766 17.8 1,123,610 2004年 301,673 10.6 136,592 17.4 1,110,721 2005年 289,127 10.3 132,128 17.7 1,062,530 2006年 276,352 9.9 126,261 17.3 1,092,674 2007年 256,672 9.3 117,176 16.5 1,089,818 2008年 242,326 8.8 108,145 15.6 1,091,156 2009年 223,405 8.2 98,579 14.5 1,070,035 出典
中絶件数及び中絶率…厚生労働省「平成21年度衛生行政報告例」
出生数…厚生労働省「人口動態統計」
20代中絶率…総務省統計局「国勢調査」及び「人口推計」より算出なお、出生・中絶数と中絶率をグラフにすると次のようになる。出生数・中絶数が左目盛、中絶率は右目盛である。
ご覧いただければわかるように、かつては出生数も多かったが中絶数もまた多かった。かつての出生数が多かったのは計画的に産むという意識が無かったためではないか。年を追うごとに中絶数・出生数ともに減ってきている。しかも「フリー○○○」「性の乱れ」は進んでいるというのに。これは即ち家族計画が普及し、妊娠・出産を計画的に行うようになってきたことを意味する。計画が立てられなければ出産はおろか妊娠すらしない。要は授かりものから計画的に作るものに変わってきたのだ。
産まれた子どもに占める「でき婚」の子どもの割合の増加も〔20代においては〕この観点から説明できる。次の表は母親の年齢が20代である「でき婚」(正確には結婚期間より妊娠期間のほうが長かった子ども)の数、20代日本人女性人口、及び20代母出生数、20代日本人女性人口1000人当たりの「でき婚」率である。なお、ここで20代に限ったのは、人口の年齢構成の影響を排除するためである。
20代母の「でき婚」出生数及び出生率の年次推移 年 「でき婚」
出生数(A)女子人口
(B)20代母出生数
(C)20代女子に対する
「でき婚」出生率
(A/B*1000)20代母出生数に占める
でき婚出生の割合
(A/C*100)1980年 71,108 8,315,500 1,107,058 8.6 6.4 1985年 85,781 7,839,418 930,226 10.9 9.2 1990年 90,355 8,224,630 742,853 11.0 12.2 1995年 102,827 9,030,074 686,228 11.4 15.0 2000年 118,731 8,777,259 632,194 13.5 18.8 2001年 119,667 8,592,000 607,090 13.9 19.7 2002年 119,143 8,345,000 578,310 14.3 20.6 2003年 107,897 8,087,000 538,043 13.3 20.1 2004年 103,967 7,830,000 506,706 13.3 20.5 2005年 97,000 7,459,404 467,463 13.0 20.8 2006年 101,000 7,284,000 466,001 13.9 21.7 2007年 97,000 7,116,000 450,221 13.6 21.5 2008年 95,000 6,946,000 442,444 13.7 21.5 2009年 89,000 6,792,000 424,573 13.1 21.0 出典
「でき婚」出生数及び人口
2004年までは厚生労働省「平成17年人口動態特殊報告」。なお、でき婚出生数は「平均的な結婚週数の場合」の数値である。
2005年以降…人口は総務省統計局「平成17年国勢調査」、及び同局「人口推計」、でき婚出生数は厚生労働省「平成22年度「出生に関する統計」の概況 人口動態特殊報告」によった。
20代母出生数
厚生労働省「人口動態統計」
20代の中絶率と20代女子人口当たりのでき婚出生率、20代の母親から産まれた子どもの数に対するでき婚出生率をグラフにすると次のようである。なお、中絶率と人口当たりのでき婚出生率は千分率、子どもの数に対するでき婚出生率は百分率である。それぞれ単位が違うのでグラフをご覧の際はよく注意していただきたい。
出生に占める「でき婚」の割合の増加ほどには人口当たりの「でき婚」の割合は増えていない。でき婚が増えたのではなく出生が減ったのだ。〔2010.12.21追記 今計算をした結果、この現象が見られるのは20代のみです。30代ではでき婚出生数の対出生数比と対人口比がパラレルに動いています。ここにお詫びし追記します。〕その分中絶が増えたかといえば先の表を見てもらえばわかるように増えていない。1992年ごろまで減少を続け、その後は若干の増減を繰り返しながら横ばいである。20代においても少妊娠化は確実に進んでいる。そんな中でき婚だけはほぼ一定の割合を保っていた。少妊娠化が進む中子を安定して産んでいたのはでき婚組であった。でき婚という決断を下せる集団でないと出生率を保てなかったということだ。
しかし、これってずいぶんひどい国のような気がする。でき婚という決断ができない集団は妊娠すら避けなければいけなかったのだ。そんな決断ができなくてももっと気軽に子どもを産み育てられる、そんな社会があるべき姿ではないだろうか。まとめ
・子どもは授かりものではなく計画的につくるものに変わりました。
・計画が立たなければ妊娠すら避けるようになりました。
・〔20代においては〕でき婚が増えたというのは出生が減ったからそう見えるだけです。でき婚ができるくらいでないとこの国で子育てすると言う決断を下すのは難しいようです。「性の乱れ」ではなく子育ての難しさが現れているということです。
〔2010.12.19追記〕
「性の乱れ」がないと言っているわけではありません。「でき婚の増加」が語るのは性の乱れではなく子育ての難しさということです。@syamashiro0531氏のツイートと意味するところは同じです。むしろそっちのほうがわかりやすくまとまっている。
〔追記2〕
追補 「出生数と中絶数をだらだら並べてみたり。そしたら少妊娠化が見えてきた」追補
数学にはきわめて弱いのであまり突っ込まないように。パッパラパーなのはわかっていますから。
〔追記3〕
凄まじい反応に改めて驚き。もともと2ちゃんあたりでやたら親を叩いたりする連中がいたりしたので立ててみた仮説だったりする。子育てのハードルが高くなってしまってハードルがあまり気にならない層しか産めなくなったのではないかと。やっぱりかと合点がいったのであった。皆さん、もう少し子育てする人に甘くなりません?足りないと思うなら自らも手を貸してあげればいいのだ。
〔追記4〕
グラフを追加。twitterを見てたらもうすごい反響に驚いている。普段なら二桁のアクセス数しかないブログにこれだけの反響があったのですから。皆さんありがとうございます。
〔追記5(2010.12.29)〕
さらにデータを出してあります。結構経っていますが一応リンク。こちらです。