国際リメーリングシステムが崩壊したのは国内郵便料金が高かったため。イノベーターの出現に突然の進化を余儀なくされる

Toshiaki Kanda 2014年10月17日 金曜日
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1990年代の頃のお話です。

現在のビジネスは国内のドメスティックな料金だけを考えている場合ではないことを、あらためて痛感させられます。

日本で郵便を出すよりも、一度、香港に送ってそれをまた日本へ送ったほうが安かった時代の話だ。内外価格差は、その国の制度や雇用料金、物価などが反映されているためこのような差が起きる。 
ユニークなのは、香港で印刷し、シーリングして日本へ発送するという発想から、日本の印刷業者が打撃を受けたという話。まさにビジネスチャンスだ。それを既得権益の当時者は、民営化される前の日本郵便公社。ダイレクトメールの割引制度が適応される。

そういえば、「三公社五現業」を知らない人も多い。

何も、異変がなければ、変わらないのが、ビジネス。イノベーターが出現することによって、突然の進化が余儀なくされる。

通信の世界も同じで、電話の音声会話代金が、100数年かかかってようやく無料に近くなったのも、ネットとモバイルの普及の賜物。

これから、ますます、進化が余儀なくされる業種はあることだろう。

郵便料の減少(しかし、配達量は減っていない)に困った郵政省 は、万国郵便連合に抗議し、他にも同調する国もあったため、リメーリング は、万国郵便条約で禁止されました。

香港 から日本宛てに国際郵便を送ると、日本国内で送るのに比べて、半額以下で 送れたそうです。大量に発送するダイレクト・メールや、定期刊行物などは、 香港まで郵便物の中身を送る事を考えても、はるかに安く上がるのです。一 時は、香港にリメーリング専用業者が沢山できたものです。

日本で印刷したものを外国に持っていって、投かんするからリメーリング であって、外国で印刷したものであれば、単なる国際郵便であり、リメーリ ングに該当しません。これを「広義のリメーリング」と呼びましょうか。

 という訳で、広義のリメーリングが急増しましたが、これによって、皮肉 な状況が生まれました。郵便局が助かるために、日本国内の印刷業者が印刷 物減少で困ることになったからです。日本全体としては、経済損失が大きく なってしまったのです。一部では、「リメーリングを認めろ」という意見さ えあったくらいです。

 やむなく、以下の二つの手法が取られました。

(1)郵政省は、ダイレクトメールなど、大口の郵便物の料金を大幅に割り引く。
(2)外国郵便料は、「相手国の国内郵便料金」を反映させて設定する。

 (2)は、どういう意味かというと、「香港から日本に送る郵便物の料金は、 日本国内の高い料金に合わせて、値上げする」というものです。

 このふたつの施策により、外国からの郵便料と国内郵便料の差は、縮まり (まだ外国から送る方が安いですが)、広義のリメーリングは大幅に減りまし た。

この事件の教訓は、「国際化する企業活動に、郵便や電話制度が追いつい ていない」、「郵便事業も国際競争にさらされている」という事ですね。例 えば、香港等が「いや、絶対に値上げはしない」とつっぱっていたら、今で も広義のリメーリングは盛んに行われたでしょう。最後は、万国郵便連合と いう「国際カルテル」に助けられましたが、さて、今後もこの手法が通用す るとは限りません。

また、ダイレクト・メール(正確にはカタログ誌。信書を郵便以外で送ると 郵便法違反になる。)の送達は、第三種郵便を使わずに、ポスティング業者 (『荷物』を個別配達するもののうち、受取の印鑑を必要としない—ポスト にほうり込む—ものを『ポスティング』という。)を使う事が最近では一般 化しています。

郵便を取り巻く状況は、日々厳しさを増しています。アメリカのように、 個人で小切手を書き、個人あてに請求書が山のように送られてくる社会と違 って、日本では、郵便物の中心は、ダイレクトメールです。ダイレクト・メ ールなしには、郵便事業が成り立たない、といっても過言ではないでしょう。 そして、そこは、大企業のシビアなコスト意識に常にさらされる世界でもあ ります。

現在の郵政省が、かなりの努力をしているのは認めますが、このままで、 はたして本当にやっていけるのでしょうか。今後、「法律や国際カルテルを 盾に、既得権益を守り抜く」のが良いのか「民営化して、国の規制から自由 になり、機動的な企業活動を行う」のが良いのか。郵政省自身も、そして国 民も良く考えてみる必要があると思います。

引用元: リメーリングは、郵便料金が高いため.

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Toshiaki Kanda