いよいよ明日、アメリカは、2009年02月17日を迎えることなる。
本来であれば、明日からアメリカは、アナログ放送が停波となるところだった。
しかし、アナログ放送の停波は、2009年6月12日までと、4ヶ月間だけ延期されることとなった。
これは、地上波でアナログ放送を視聴している低所得者と言われる人や、高齢者、地方の世帯の多くが配布された40ドル相当のクーポンを行使して、デジアナ変換コンバーターを購入していないことが原因による。
そのデジタル未対応世帯は、2000万世帯といわれている。
これで、テレビは2000万世帯の視聴者を失うことになってしまうからだ。
ビールのCMを見て、すぐにCOSTOCOで大量に安売りビールを買いに走ってくれる貴重な層だ。
この世帯があと4ヶ月でどれだけデジタルに対応できるのかが勝負となっている。
当然、B-CASカードなど刺さってなくて、これだから日本の場合もこの状況を注意しておく必要がある。
しかも、アメリカの場合は85%相当がCATVによる視聴だから、アナログ停波はもっと簡単と思われていたはずだ。また、40ドルのクーポンを送付してもこの現状は打開できていないことが事の重大さを物語っている。
CATVのデコーダーの先は、S端子だろうが、コンポジットだろうが、配線さえしてあれば、アナログテレビに映るので問題なかった。
それでも、「DTV Delay Act(デジタル・テレビ放送への完全移行を延期する法案)」を必要とするほど、40ドルのクーポンをまいたところで、テレビが見られなくなってから動きだす人たちだ。
テレビが映らなくなるのは困るけど、映っている間に考えるほどヒマではないようだ。
DTV Delay Act(デジタル・テレビ放送への完全移行を延期する法案)は、2009年01月28日、米下院で賛成258、反対168で廃案となったが、米上院で2009年01月29日に、再び再可決し,2009年02月04日に米下院を今度は、賛成264票、反対158票で通過し、2009年02月11日オバマ大統領がサインしたことにより、ようやく正式に延期が決定された。ドタバタでなんとか通過した法案だ。ハワイではアナログ放送は、すでに試験的に停波している。
米国では、延期法案の決定が遅れたこともあり、法的には停波は、2009年6月12日となるが、すでにアナログ停波のスケジュールで動いていた放送局で
は、2009年2月17日でアナログ停波せざるをえないところが登場すると予測される。下院と上院を法案が、いったりきたりしている間にも、着々と停波の
スケジュールは進行していたからだ。
3年前の2006年、米下院を、216票対214票と僅差で通った「DTV Act」は、まさに薄氷の上で決めた期限の法律だったわけだ。これが延期となることで問題は深刻化する。
FCC(連邦通信委員会)が、アナログ停波で空いたところを、700MHz帯商用スペクトラムとして、オークションをかけて販売していたからだ。
オークションで競り落とした企業が、4ヶ月間そのスペクトラムが使えない状況は、誰がどうやって責任を持つのだろう。
今回の米国の地デジ対策で、空いた700MHz帯をオークションの落札形式で募った。
オークションで権利を得た民間企業は莫大な費用で取得している。
・700MHz帯からEまで5つのブロックに分けて実施
・落札総額は過去最高の195億9242万ドル(1兆1959億円)
・Cブロックは、無線ネットワークの開放を義務づけるオープンアクセス制度
・Cブロック全10ライセンスのうち主要な6つを米Verizon Wirelessが獲得
Verizon Wirelessは今回のオークションに96億3000万ドル(9630億円)を費やした
・米Googleは、今回はどのブロックのライセンスも獲得できなかった。
・全1090ライセンスのうち、約69%にあたる754ライセンスが既存事業者以外の99社によって落札
・AT&TはBブロックを中心に細かい周波数ライセンスを買い集め、投資金額は66億4000万ドル(6640億円)
・米Qualcommの投資は10億ドル(1000億円)
明日、以降のアナログ停波になってしまった地域、それからの地デジ乗り換え組の動き、日本の2年先をかいま見ることができるようだ。