米大手出版社、電子ブックの発売を紙の書籍から一月以上遅らせる

News Corp傘下の大手出版社 HarperCollinsが来年早々から毎月5~10冊程度、電子ブックの発売日を紙の書籍の発売日から遅らせる計画を明らかにました。発売日の遅れは本によって異なり、4週間から6週間程度の予定。つまりKindleユーザたちは一部の(≒人気の)電子ブックに対し、文庫落ちならぬデジタル落ちを一月以上待たなければいけません。

同社のチーフ・エクゼクティブである Brian Murray氏は、電子ブックには潜在的な市場があると認めつつ、一冊9.99ドルという価格が今後も続けば出版社は新しい書き手に機会を与えられなくなり、結果的には読者の選択肢が狭まることになると主張しています。収益拡大を狙って電子ブックの発売を遅らせるという「デジタルディレイ」作戦はすでに実施されており、例えば今年のベストセラーのひとつであるサラ・ペイリン(元副大統領候補)著 “Going Rogue”もまだ電子ブック版は発売されていません。ちなみにハードカバーでは28.99ドル、Amazonで予約受付中のKindle版は7.99ドル。

こうした動きはHarperCollins社に限ったものではありません。例えばCBS傘下のCimon & Schuster社は来年4月までに出版する35冊について、電子ブックを4ヶ月遅らせて発売する予定です。Hachette Book Groupも多数の電子ブックの発売を3ヶ月から4ヶ月遅らせる計画。なんだか昔iTunesをめぐってアップルとレコード業界がやりあっていたことを思い出さずにはいられない話です。

via japanese.engadget.com

この 「デジタルディレイ」戦略は、そう長くは続かないだろう。

なぜならば…。
電子ブックが、印刷費用、流通コストを差し引いた適切な価格であれば、こんな理不尽なことをする必要はないからだ。

むしろ、既存の書店に対しての、心遣いとしか考えられない。 書店側もかつてのレコードCD店と同じ道を辿るのではなく、パッケージメディアならではの販売手法をリメイクしていく必要性がある。

特に日本では、再販制度や古本市場など、業界全体が再編される可能性が出てくることだろう。

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