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テレビで健康や医学に関する話題のバラエティ番組は数多い。
それも当然であり、65歳以上人口は3000万人を超え、高齢者の総人口に占める割合は24.1%。つまり4人に1人は高齢者(2012年総務省統計局調べ)という状況ならば、健康番組は重要なコンテンツとなりえる。足腰が悪くなり、外出できなくなればテレビが趣味というお年寄りも増えるから健康医療番組はこれからも増えてくることだろう。
その中でも、NHKの「ドクターG」は、異色な医療バラエティ番組だろう。
この番組を見始めてから、ボクの病院に対しての意識は大きく変わった。
担当医師によって、これほどまでに、病名は大きく変化するということだ…。
医療での問診は、大きな病気群の中から、それぞれの病気の可能性を消去していきながら、可能性の残る病気の症状を質問し、最終的に病名を推測するというプロセスを踏むまさに推理ゲームに近いロジックで展開されている。このロジックをテレビ番組化したのがこの総合診療医ドクターGだ。
http://www4.nhk.or.jp/doctorg/
総合診療医ドクターG NHK総合
毎週金曜 22:00-22:50 16:05−16:55(再放送)
番組の構成は、
【1】再現ドラマで病気の進捗状況 問診風景など
【2】第1回カンファレンス(症例検討会) 研修医が病名を推定する。その病名ごとに解説
【3】さらなるドラマ展開で 問診風景 病気のヒントが登場する
【4】第2回カンファレンス(症例検討会)研修医が病名を決定する
【5】ドクターGが、病名の正解を披露する
で構成される。
注目なのは、3人の研修医が回答者として登壇し、病名を当てる。もちろん、研修医は6年間の専門大学を卒業し、医師国家試験に合格し、2年間の研修期間中という人たちだ。研修が終われば医師として各地で診療に当たる人たちだ。
それぞれが、医師の卵ながら、知識を総動員して、病名を突き止める。
しかし、ほとんどが最初の病名の推定がバラバラなのだ。いかに、最初の問診での病名の推定が難しいということを物語っている。
そこで、「ドクターG(ジェネラル=総合診療医)」と呼ばれるゲストの主治医が、いろいろとさらなる設問を投げかけていく。
その「カンファレンス」には、医療専門用語がバンバンと飛び交う。フリップやCGで説明されれば、されるほど、難しい解説が続く…。普通、テレビは専門用語を使わず、わかりやすい言葉で…が常識だが、この番組は専門用語のオンパレードだ。
しかし、実際には、世間では病名として飛び交う用語ばかりなので、なんとなく、聞いたことがあるのでわかるようでわからない微妙なところが解説され、知識は毎回視聴するたびに深まっていくのがこの番組の良さだ。自分が毎回、賢くなるのがわかるテレビなのだ。
もしも、小さなお子様がいたら、一緒に医者という職業について見るべきだろう。医者の知識の広さに感銘を受けるはずだ。
そして、このカンファレンスでは、若き医者たちの専門職としての知識の深さに毎回驚愕するばかりなのだ。研修医も現在務めている医院の名も紹介されているので、メンツにかかっている。それでも、病名を誤診することが多々ある。
芸能人のゲストも、司会の浅草キッドも、病名についてのコメントを素直に展開する。笑いを取るためではなく、視聴者の代表というスタンスがとても好感が持てる。
NHKの「ためしてガッテン(水 20:00)」でも同様な病気に関する回があるけれども、ガッテンの回答者のコメントはいつも余計で時間の無駄だ(笑)
ドクターG役のドクターも、研修医に対して、上から目線ではなく、1人の医者として見守っている姿が好感が持てる。医者としてリスペクトしながら、病気の特徴を示唆しながら研修医に気づきを与えていく。どのドクターも、研修医に勇気を与える助言をあたえてくれる。
はやり人気のドクターに患者が群がる理由がわかる。
ドクターGを見終わっていつも感じるのが、実際に診療に当たる時に、何分の時間、問診されているのだろうかという事だ?こんなに丁寧に問診を受けることはほぼ不可能だ。
検査を受けて結果を待つ。病名を判断される。おそらく、別の病院に行けば、同じ問診されて、別の病名を宣言される場合が多いのではないか?最初のカンファレンスで、研修医がバラバラの病名を解答するように。
これらは、すべて医師の問診のチカラによって判断が変わってくる。
5分程度の問診に頼るだけではなく、セカンドオピニオンやサードオピニオンも求めることも時には重要だろう。自分の命に係る事を、たった1人のドクターの問診ですべてを預けてしまって良いのだろうか?
また、このような番組を見ることによって自分自身の体の中で起きている変化を、医者に丸投げで預けるだけでなく、自らも推測し、病気にならない生活を心がけることも重要だと感じた。
たかだか50分の番組で、これだけ考えさせられる番組は非常に珍しいと思う。
NHKの中でも秀逸な番組の一つだと思う。
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