朝日新聞に「TV2.0 番組検索時代」の連載がはじまりました。
はえある第一回目に、BarTubeやBlogTVを掲載いただきました。
ありがとうございます。
http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200612120222.html
〈TV2.0〉動画投稿で世界に「放送」(1)
2006年12月12日
「今週も皆さんの面白ネタを紹介します!」
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バーの一角をスタジオに、ユーチューブへの投稿番組が収録される=東京・渋谷で
東京・渋谷のはずれ。古いビルにひっそりと居を構える「BarTube(バーチューブ)」で、毎週土曜日の夜に番組収録が始まる。グラスを傾けにバーを訪れた一般客が、飛び入りで有名CMのパロディーやネットではやるネタを、テレビカメラの前で披露できるイベントだ。
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収録された映像は、直後に動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」へ投稿され、ネットで「放送」される。このイベントを利用すれば、パソコンやカメラを持たない人、1人ではうまく演技できない人でも、映像を投稿する機会を得られる。
電波が届く範囲を前提にした放送番組と違い、ネットの番組は瞬時に地球の隅々まで届く。「世界の人に見られているかと思うと、かなり緊張しますね」。こう話すのはバーチューブ経営者で、番組キャスターでもある神田敏晶さん(45)。
「これからのネットは利用者が作る映像やソフトが変える」と力説する神田さんは、テレビ局のTOKYO MXで毎週金曜日の夜、「BlogTV」という番組の司会も務める。人気のあるブログの作成者(ブロガー)などを招き、最新のネットの話題を紹介している。
この番組がそもそも、放送後にユーチューブや他のサイトにも投稿されている。動画が無断で投稿されることが多く、「著作権侵害」とテレビ局から訴えられている動画投稿サイトだが、TOKYO MXは、それを積極的に利用している。
「私たちは、視聴率も高くない最後発のテレビ局。それだけに、他のテレビ局がしていないことを試す価値はある」と、編成局長の本間雅之さん(51)は力説する。
今年7月には、新社屋で完全デジタル化に踏み切り、呼称を従来の「東京MXテレビ」から、「テレビ」の文字を外すなどして改めた。東京ローカル局であることに変わりはないが、ネットを積極的に活用して、テレビ離れする若者にもアピールしようと考える。
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番組に出演したブロガーがネットでそのことを紹介すると、それを読んだ人が動画投稿サイトを検索して番組映像を探し出し、雪だるま式に視聴者が
広がることもある。ほとんど手間や予算もかけずに番組が何度も活用されていく姿は、世界を相手に新たなビジネスを開拓できる可能性を秘めている。
この番組のスポンサーで、ネット配信を了承したのは、デジタルガレージというITベンチャー会社だ。
「これまでIT企業がテレビ局を買収しようとしてもうまくいかなかった。通信と放送の文化は違うが、まず一緒に番組を作ってみることで、互いの
可能性を確認し、前向きに共同作業できることを示したかった」と、取締役の小尾一介さん(53)。「これからのデジタル時代、放送と通信が融合する先駆け
になりたい」と抱負を語る。
米国では、4大ネットワークのひとつCBSが10月から300以上のネット用映像をユーチューブに流し、結果的に視聴率のアップにつながったと報じられている。日本の放送局は、まだネット利用に及び腰だが、テレビの姿を大きく変えるような動きがすでに始まっている。
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今年は、文字や写真を中心としたウェブの世界で、「ウェブ2.0」という次世代のトレンドが話題になった。その波はすでにテレビ放送にも及んでいる。ある人は、これを「TV2.0」と呼ぶ。
〈動画投稿サイト〉 ネット上の掲示板へ文章を載せるように、動画を投稿して誰もが見たり引用したりできるようにしたサイト。最大手は米国の
ユーチューブで、ヤフービデオ、グーグルビデオ、グルーパーなどが続く。違法性が指摘される一方で、企業が広告の開発や番組の素材集めに利用する例も増え
ている。日本では携帯電話向けのサイトも現れた。