1960年9月26日
米国大統領選初テレビ討論(ケネディvsニクソン)が行われた。
テレビというメディアが政治的に初めて威力をみせた日であった。
オリバーストーン監督の映画「ニクソン」では、実際のJFケネディと
ニクソン役のアンソニー・ホプキンスとの、フォレスト・ガンプ的競演で
テレビ討論会が繰り広げられる。
大統領を国民が選出する国ならではの、アピール方法にテレビはとても
有益であったことは今でも変わらない。
「ニクソンがケネディに敗れたのは、TVという視聴者参加型の新しいメディアが、登場しまさにそれが普及されようとしていた時代において、自らの主張或いはイメージをシャープに前面に押し出し聴衆のイマジネーションを注ぎ込む余地がほとんど残されていないニクソンよりも、そういう点がむしろ曖昧であったケネディの方がこの新しいメディアにうまくフィットしていたからだ」マーシャル・マクルーハン「メディア論Understanding Media」
ディベートが重視されるのは、有権者が候補者の人間性を確かめることのできる数少ないチャンスだからだ。候補者について知る方法としては、各地で開かれる政治集会やテレビコマーシャル、マスコミの記事などもあるが、いずれも候補者の人間性は、選挙用に作られたものでしかない。ディベートなら、事前に展開を予測できないだけに、素顔の候補者を見ることができる。
ディベートで決まる米大統領選挙 by田中宇 氏
男も化粧するテレビ選挙戦時代
先ずケネディ氏だが、かれは不用意にも真っ白なシャツを着てスタジオに来てしまった。ご存じのように、真っ白な色は、テレビではギラギラ光って大いに見苦しいのである。幸いにも、彼のばあい時間の余裕があったので、付きそいの一人が大あわてでホテルまで戻り、青いシャツを持ち帰ってことなきを得た。 ニクソン氏のミスは、くらべものにならないほど重大である。かれは、スタジオ入りのまえに、E・ハートというニクソン氏専用のメイク・アップ係から念入りなメイク・アップをほどこしてもらって来た。ニクソン氏はヒゲが濃いうえに、金ツボマナコである。それをどうにかもっと美男子に見せようというわけだ。照明効果も念入りに調整された…
by 加藤秀俊 氏