2022年、『Microsoft』が過去の歴史上、最大の買収へと動いた…。
687億ドル(※6.87兆円)を投じて、大手ゲーム会社『Activision Blizzard』の買収へと動いた…。
※1ドル100円換算=過去の買収額と比較するため
現在のMicrosoftの時価総額は、2兆2,644億ドル(226兆円)
現在のActivision Blizzardの時価総額は、636億ドル(6.36兆円)
Microsoftのゲーム事業部門は…、
『コール オブ デューティ』『オーバーウォッチ』『ディアブロ』『ワールドオブウォークラフト』『キャンディクラッシュ』『スタークラフト』などのコンテンツ群が、Microsoftゲーム陣営の所有ゲームとなる予定だ。
出典:Microsoft News Center
出典:Microsoft News Center
□本日(2022年1月18日)、Microsoft Corp. (Nasdaq: MSFT) は、ゲーム開発とインタラクティブなエンターテイメント コンテンツのパブリッシャーにおいてリーダーである、Activision Blizzard Inc. (Nasdaq: ATVI) を買収する意向を発表しました。この買収によって、モバイル、PC、コンソール機、そしてクラウドにおけるマイクロソフトのゲーム事業の成長が加速し、将来のメタバースの構成要素を提供することになると考えられます。
□マイクロソフトは、Activision Blizzard を 1 株当たり 95 ドルで買収する予定です。その際、Activision Blizzard が所有するネットキャッシュを含む、総額 687 億ドルに相当する取引が現金で行われます。
□また、この買収が完了することで、マイクロソフトは、Tencent、ソニーに次ぐ世界第 3 位のゲーム企業となります。買収対象には、『Warcraft』、『Diablo』、『Overwatch』、『Call of Duty』、『Candy Crush』といった、Activision、Blizzard、King の代表的なフランチャイズに加え、Major League Gaming を通じたグローバルな e スポーツ関連事業も含まれる予定です。同社は、世界各地にスタジオを所有し、およそ 1 万人の従業員を擁しています。
□買収完了後、Activision Blizzard の事業は、Microsoft Gaming CEO であるフィル スペンサー (Phil Spencer) の直属になります。
□Activision Blizzard のゲームは Game Pass にも導入される予定であり、加入者数が 2,500 万人を超えた Game Pass のポートフォリオはさらに強化されます。また、Activision Blizzard の 190 か国における約 4 億人の月間アクティブ プレイヤー、および 30 億ドル規模のフランチャイズを伴う今回の買収によって、Game Pass は業界でも最も魅力的で多様なゲーム コンテンツのラインアップを揃えることとなります。取引完了後、マイクロソフトは、30 の社内ゲーム開発スタジオ、そしてパブリッシングと e スポーツのプロダクションの事業を所有することになります。
https://news.microsoft.com/ja-jp/2022/01/19/220119-microsoft-to-acquire-activision-blizzard-to-bring-the-joy-and-community-of-gaming-to-everyone-across-every-device/
巨額の買収に驚くだけでなく、1株あたり95ドル(現在の株価は81.76ドル)の現金で買収するということだ。総額にして、『687億ドル』の投資キャッシュ・フローを賭ける事業となった。
アクティビジョン・ブリザードは、米国のゲームソフト会社。オンライン、コンピュータ、モバイル、タブレット向けのゲームソフトの開発・配信・販売に従事。また、マイクロソフト「Xbox one」と「Xbox 360」、任天堂「wii u」と「wii」、ソニー「PS3」と「PS4」向けのゲームソフトを提供する。本社はカリフォルニア州サンタモニカ。
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/detail/ATVI
任天堂やソニーへの今後のライセンスも気になるところだ…。
■巨額のゲーム事業への投資はMS歴代最高買収額の687億ドル
2022年『アクティビジョン・ブリザード』687億ドルの買収額は、2016年の最高額の『リンクトイン』262億ドルの約2.6倍の投資となる。
出典:KandaNewsNetwork,Inc.
出典:KandaNewsNetwork,Inc.
2022年『アクティビジョン・ブリザード』687億ドル、
2016年『リンクトイン』262億ドル、
2021年『ニュアンス・コミュニケーションズ』197億ドル、
2011年『スカイプ』85億ドル、
2021年『ゼニマックス・メディア(ベゼスダ・ソフトワークス親会社)(フォールアウト)』81億ドル、
2018年『GitHub』75億ドル、
2013年『Nokia』54億ユーロ、 ※61億ドル ユーロ1.1換算
2007年『aQuantive』60億ドル(2012年全額損失計上、2013年にfacebookに1億ドルで売却)、
2014年『モヤン(マインクラフト開発会社)』25億ドル、
2000年『Visio』 15億ドル。
このように比較してみるとMicrosoftの『アクティビジョン』に賭ける期待値の大きさがよくわかる。それと共にゲーム事業部門への投資が最大化している。
■ゲーム事業部門への投資は累計793億ドル以上、
任天堂の時価総額レベル
Microsoftのゲーム事業では、
『アクティビジョン・ブリザード』687億ドル
+『ゼニマックス・メディア』81億ドル
+『モヤン』25億ドルの3社で、
累計793億ドル以上の投資となった。
現在、『任天堂<7974>』の時価総額は7兆1,100億円だ。793億ドルは、1ドル100円換算でも7兆9,300億円となり、任天堂レベルの企業でも買収できる投資額となった…。
ちなみにMicrosoftの2022年度第1四半期の売上高は453億ドル、営業利益は202億ドル、GAAPベースの純利益は205億ドルだった。単純に今年度の売上は第1四半期を単純に4倍すると1,812億ドル規模となる。793億ドルのゲーム事業投資は、2022年度の連結売上予測の43%を占めるほどの巨額投資である。
出典:Microsoft 2022Q1
出典:Microsoft 2022Q1
第1四半期の『マイクロソフトクラウド』などのクラウド事業が207億ドル。
現在のMicrosoftの売上の50%は『クラウド事業』が占めるようになっているが、その第1四半期のクラウド事業を単純に4倍すると、828億ドルだ。793億ドルのゲーム事業投資は、クラウド事業の年間売上の95.7%に値するほどの投資額なのだ。
さらにXbox部門の売上はわずか前年比率の2%微増にしかすぎない…。『Xbox GamePass』が加入者数1800万人を達成(2021年1月)」しているが、その後の発表はないままだ…。
出典:Microsoft 2022Q1
出典:Microsoft 2022Q1
それは、
1位 テンセント2.5兆円、
2位 ソニー2兆円、
3位 Microsoft 1.9兆円(MS1.2兆円+アクティビジョン7,000億円)、
4位 任天堂1.3兆円、
というゲーム業界内でのポートフォリオを重要視しているだけではなさそうだ…。
■ゲーム産業だけではない、AI業界、クラウド業界、エンタメ業界の複合産業時代への覇権争いへ!
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Xboxのサブスクリプションの『ゲームパス』の利用者は1,800万人(2021年1月)。
SONY陣営のSIEの「PSNow」の利用者は320万人(2021年3月)、『PS Plus』は4,780万人(2021年10月)とサブスクリプションモデルが標準となりつつある。
ゲーム業界では、サブスクが本命と言われるが、それはあくまでもゲーム産業の20兆円の市場の中でのはなしだ。
■テンセントという名のコングロマリット
テンセント:WeChatユーザーが11億人を突破
中国最大のSNS『Wechat』を運営する「テンセント・ホールディングス
「Tencent Music Entertainment」(ティッカーシンボル:TME)、
Bilibili:全体MAUが1億人を突破 テンセントが出資
モバイルゲームやライブ動画サービスを展開する中国企業「Bilibili」(ティッカーシンボル:BILI)
テンセントは、『ナスパーズ』という南アフリカのメディアカンパニーの子会社だった。テンセント31%の最大株主。現在では、アムステルダムの子会社『プロサス』の傘下。
まるで、『アリババ』を保有する『ソフトバンクグループ』のようだ。子会社の『ソフトバンクKK』が保有する『Zホールディングス』の関係とも似ている。
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テンセント(騰訊控股)(中国)は、KADOKAWA<9468>(出資比率は6.86%第3位の株主)への出資やマーベラス<7844>(約20%を持つ筆頭株主)、楽天<4755>(3.65%の株式を保有する主要株主)などの出資で日本企業とも関係を深めている。
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■『さようならエレキ』ソニーはポートフォリオを変え続けてきた…
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ゲームに限らず、エンタメに積極投資
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時価総額の違いが期待値のちがい。コングロマリットプレミアム化したソニー
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ソニーは売上の3割をゲームで生み出すコングロマリット企業となった。
■Microsoftが、ゲーム市場へ全集中する理由
GAFAの中に『M』の文字が復帰して『GAFAM』と呼ばれて久しいが、その間にFがMetaへと変更。『GAMAM』となるのだろうか?
むしろ、MicrosoftのOSというよりも、クラウド企業といったほうが良いだろう。Officeもクラウドで収益をはじきだし、Linkedinもうりあげがではじめた。当然、長年のコンソールデバイスのゲームから、ウェアラブルとプロダクトも作るが、基本はソフトウェアとサービスの会社だ。
テンセント、ソニーの背中をみながら、リビングルームの専用コンソールだけではなく、ゲーム産業のプラットフォーマーとして、サービスを提供するために、人気コンテンツの買収へとかじきりをとった。
リビングルームではなく、PCゲームから、タブレット、スマートフォンにいたるまで、可処分時間をいかにMicrosoftで過ごさせるかが、クラウド市場を大きくする。
ゲームが世界が広がれば広がるほど、toB同様、toCの市場でもクラウドの売上が増える。つまり、マイクロソフトのゲーム市場は、クラウド市場最大のプロモーションとなるのだ。