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Allaboutハイブリッド書店「書籍変動の時代」に掲載いただきました!
http://allabout.co.jp/gm/gc/409016/
佐藤康雄さんからのインタビューです
http://allabout.co.jp/gm/gp/1038/
- 電子書籍では表紙や帯を見ての「ジャケット買い」が少なくなって、ネット書店の書評や中身チェックを活用した「ゼロ章買い」「序章買い」が増えています。
- 両手を使って開いて、片手で支えてもう一方の手でページをめくるという、紙の書籍が持つ読書スタイルは数百年変わらなかった。それが片手で持ち、ワンクリックでページをめくり、ジャンプまでできるようになったということは非常に大きな変化です。
- 紙に比べて3倍くらいは速く読める気がします。このスピードに慣れてしまうと気持ちいいですね。片手で読めることと、ページをめくる動作がないことも影響しているのでしょうが、自分の思考スピードと同期して本の世界に没入していけるスピード感が心地いいです。
「残り何%」という表示が画面にでることもスピードアップに役立っている気がします。 - 紙の書籍の場合はハードカバーとソフトカバー、単行本と文庫本といったパッケージの違いによる価格の差、ある種の相場観というものがありましたよね。まず単行本として発行されて、時間を置いて文庫本化されて値段も下がるという流れがありました。ですが、電子化されるとハードカバーもソフトカバーもないわけで、価格に見合った価値があると判断されれば売れていく
- 紙の書籍では「みんなが読んでいる本を読まないと不安」という心理を背景にしたランキング至上主義に陥りがちでしたが、電子書籍マーケットでは様々な基準で価値が判断されることになり、個人出版された作品も含めてロングテール化が一層進んでいく
- 電子書籍が普及したといえるのは、「電子」という文字が消える時だと思います。
当初は「Eメール」「電子メール」と呼ばれていたものが「メール」になりました。「エレクトリックギター」が「ギター」と呼ばれるように変わってきました。技術やサービスが普及すれば、同じように「電子書籍」から「電子」がとれる時がくるはずです。 - 例えば、携帯電話の料金プランのような月額課金制度があっても面白いでしょう。デバイス(ハードウエア)はゼロ円、毎月定額料金を支払えば読み放題、継続すれば常に2年ごとに新しいデバイスに更新、とか。家族割引、友達割引、アフェリエイト割引など、プランも色々考えられそうです。読み終わった電子書籍の中古マーケットもできればいいかもしれません。
- 僕にとって「原稿を書く」という仕事は非常に孤独な作業でした。暗闇の中を手探りで黙々と書き続けて、面白いのかどうか反応を返してくれるのは担当編集者だけという世界でした。でも今では、自分の発想や興味のあるテーマ、取材ノートをブログに綴っておいて、その反響を見ながら原稿を書き進めたり、ブログを再編集して出版につなげることが簡単にできるようになりました。
こうした手法を使うことで、極端にいえば誰でも発信者に、作家になることができます。すでにブログやSNSなどのオウンドメディアと電子書籍パッケージとの親和性は高くなっていますし、セルフパブリッシングを実現するためのセミナーといったサービスも存在しています。ただし、売れるかどうか、読者に感銘を与えられるかどうかは別の問題
- 出版することを目的にするのではなく、どんなコンテンツなら読者の役に立ち、感銘を与えられかを見極めて発信してくことが大切ですね。そのためには自分で実際に体験してみることが重要です。こっぴどくふられた体験をもとに書かれた恋愛小説とか、ホームレス体験をつづった私小説とかは面白いですよね。「こんなひどい人生ないな」と思ったときや、「二度と恋愛したくない」と思ったときに「よし、この経験を書いてやろう!」と思えたらしめたものでしょう(笑)。
- 誰もが作家になれるからこそ「編集出版ベンチャー」というような存在が重要になってくるのかもしれません。電子書籍プラットフォームが出版者の役割を担って、編集出版ベンチャーが優秀なエディターやキュレーター、表紙デザイナー、プロモーターといった役割を果たしてくれるエージェント機能を担うわけです。
- 「ソーシャルメディアにはプロは存在しない」と考えています。お金をもらうことでスタンスが変わったりブレたりすることがあれば、「評価型社会」ではすぐに見透かされてしまうでしょう。僕自身も、どんな場であっても自分の思うことを発言すること、自分自身に対して真摯であることを大切にしています。電子書籍とソーシャルメディアの関わり方の中にも、重要になってくるスタンスだと思います