警察庁は2015年2月12日、2014年のインターネットバンキング不正送金事件の発生状況などについて発表した。
確認された被害件数は1876件で被害額は約29億1000万円に上り、2013年の被害額(約14億600万円)の約2倍となったことが分かった。
被害は全国102の金融機関で確認され、
内訳は地方銀行が64行と最も多く、以下は信用金庫の18金庫、都市銀行・ネット専業銀行・信託銀行・その他銀行の16行、信用組合の4組合だった。
口座の種類別の被害状況は個人名義が約18億2200万円(62.6%)、
法人名義が約10億8800万円(37.4%)。
個人名義口座の被害は、都市銀行などでは56.8%と高いが、地方銀行などでは5.8%と低い。
一方で法人名義口座の被害は、都市銀行などでは8.6%だったが、地方銀行などでは28.8%を占めていた。
被害の内訳(警察庁より)
また上記の被害額のうち、金融機関が不正送金を阻止した額を差し引いた実質的な被害額は約24億3600万円だった。
金融機関による阻止率は、2013年上期の4.6%(阻止額では約1000万)から2014年下期は31.4%(同約3億3200万円)に向上している。
警察庁によれば、2014年の事案では不正送金処理を自動的に行うウイルスを使った手口の悪質化、巧妙化が目立つ。資金移動業者を介して不法に国外送金する事犯は2012年より減少した。2014年は海外当局などとの国際的なボットネットのテイクダウン作戦を実施し、国内で確認された約15万5000件のウイルス感染端末の利用者に対する注意喚起などを行ったという。
今後の対策では関係機関との連携による被害防止対策の継続的な実施や、日本サイバー犯罪対策センター(JC3)との連携を通じた官民での情報共有、外国捜査機関など連携強化を図るとしている。