blogは当然のことながら、ソーシャルネットワーキングも、かなり新聞メディアを中心に取り上げられるようになってきた。いろんなインタビューなどにも答えてきたが、blogもソーシャルネットワーキングもひとつの大きなビジネスの方向性が見えてきたと思う。
blogの定義づけも進み、単なる日記更新ツールというよりも、新しいコミュニケーションツールとしての位置づけがようやく理解されてきたようだ。
【1】「RSSによる情報のリアル伝達機能」。
興味のあるblogのRSSを受けとるように設定すれば更新された時にその情報を受信できる。またテキストで送られるため、携帯電話などへ転送すれば情報をほぼリアルタイムに知る事ができる。
【2】「TrackBackによる引用通知機能」。
今までは、リンクをしたければメールで許可を経て、リンクをするのが、マナーとされていたHTML時代を、Movabletypeの登場以来、TrackBackという機能を搭載したことによって、「引用の自由」という新しいコミュニケ−ション手法が誕生した。
マスメディアでは考えられなかった、引用による新しい情報伝達が生まれる。評価も批判もあり、ある意味、純粋なジャーナリズムに回帰する流れまでが、個人ベースで形成されている。
【3】「SEO(サーチエンジンオプティマイズド)の効率化」。
SEO対策にお金を払ったことのある企業は、一度でいいから無料のblogサービスに登録し、製品名やサービスのエントリーを打ち込んで相互にTrackBackしてみるといい。お金をどれだけ、ドブに捨てていたことがよくわかることだろう。それくらい検索エンジン(特にGoogle)はblogが好きだ。
この1年で、blogは日本のISPにとって救世主のような存在となったことも考えられる。年々、訪れる顧客の解約周期をblogサービスによって食い止めることができるようになった。ようやくISPがダイヤルアップ以外の「生きる道」をblogによって見いだすことができたはずだ。
blogのメリットは僕は、
【4】「blogフォーマットの理解しやすさ」だとも思う。
自由に記述できるHTMLのデザインでは、どこに何があるのかが非常にわかりにくかった。敵対的なユーザーインタフェースの温床でもあった。意味もなくFlashが突然、動き出したり、どこに何があるのかわからないフォーマット。見る人と見せる人の間には大きな溝があった。
しかし、blogでは、追記されるコンテントを【時系列】および【ジャンル別】によって別けるという大きくしかも緩やかなルールが世界的に浸透している。これはとても便利だ。スタティックなデータやバックナンバーは、右カラム(もしくは左のカラム)にまとめられている特徴を持っている。
ほとんど全世界のblogはこのような時系列フォーマットの特徴を持っているので、ブラウズするのに知識や経験は不要となった。
これは今後、ECのサイトで、どのサイトでも自由に購入できるようなEC用のblogなどが登場すると、ジャンルを登録すれば商品の購買を比較検討しながら、「くし刺し購入」できるようなサービス化につながるだろう。ショップのサイトを選んでから、商品を比較検討する事から、商品を選んで条件のあうサイトを検索するようになる。すると、今までの広告ビジネスのスキームや、「楽天」などのECモールのスキームにも変化が訪ずれることであろう。
【5】「モブログという飛び道具」はカメラ付きケータイが定額パケットになることによってさらにブレイクしていくことだろう。画像をケータイから送信しても定額であれば、モバイルblog=モブログは新たなケータイ絵日記化していく。モブログによる購入リストなどがRSSされると個人の消費動向のマーケティングツールとなることだろう。また、ケータイによって、いつでもどこでも更新が可能なblogの可能性が広がる。
【6】「進化するblogサービス」
http://blog.threetree.jp/
では、新規エントリーから関連するキーワードを抽出し、blog内を検索し、コメント欄に検索結果のURLをフィードバックするサービスを提供している。
http://blog.livedoor.com/
では、住所を打つだけで地図リンクが挿入できるなどの”WebService”や、アマゾンWebサービスを利用できるblogを提供している。
今後、blogは、公開することだけが目的ではなく、個人的にデータを関連づけてローカルのディスク以外の場所にバックアップするための方法としても利用されるのかもしれない。
【7】一番のblogの特徴は、「会ったことはないけれど、自分にとても近い他人」を発見できるツールであろう。
TrackBackなどを追いかけることによって、自分の興味あるblogを発見することができ、今までの社会では遭遇することがなかったが、興味が自分に近い他人を見つけることがblogの魅力のひとつでもある。
逆に、土地的要素や学校、職場などのバイアスがないので、本当に知り合いになるべき他人と出会うことが可能なツールでもある。
反対に、ソーシャルネットワーキングは、「いつも会っているけれど、自分の知らなかった知人」を発見できるツールである。
blogが「エントリー」という「記事単位」でコミュニケーションが成り立つのに対し、ソーシャルネットワーキングは、「知り合い」が何をやって何を感じ、何をしているのかという「人単位」でコミュニケーションが成り立つところが特徴である。