【寄稿】「小渕経産大臣辞任、なぜ?なくならないのか政治とカネ」ヤフー個人ニュース

【寄稿】「小渕経産大臣辞任、なぜ?なくならないのか政治とカネ」ヤフー個人ニュース
2014年10月20日 10時42分


KNNポール神田です!
小渕経済産業大臣は、安倍総理大臣と総理大臣官邸で会談し、みずからの政治資金を巡る問題で、国民の理解を得るのは難しいとして、辞表を提出しました。

この問題は、小渕経済産業大臣の後援会など2つの政治団体が開催した「観劇会」で、参加者から集めた会費と、劇場に支払った金額の収支が大きく食い違っていたもので、平成24年に開催された「観劇会」は、これらの政治団体の政治資金収支報告書に、収入・支出のいずれも記載されていなかったことも明らかになりました。

出典:小渕経済産業相 安倍首相に辞表を提出
ついに、小渕経済産業大臣が辞任となる。第一次安倍内閣は、ばんそうこうの赤城大臣をはじめとして、辞任閣僚の大量送出でもあった。今回の第二次安倍内閣でも初の大臣辞任が起きてしまった。

大臣に起用される段階で資金面でのクリーニングというのは必須の条件、いや最大のリスクヘッジでもある。それを安部総理は一番理解しているはずだった。それでも、政治とカネの世界は延々となくならない。

そもそもの問題は、政治資金収支報告書のクラウド公開だろう。以前は、報告書の閲覧は閲覧申請をし、わざわざ出向いて管理された時間のもとで閲覧しなければならなかったが、現在は、総務省の 政治資金収支報告書及び政党交付金使途等報告書によって、誰もが許可無く、無尽蔵に閲覧できるようになった。
だから週刊誌のスクープですっぱ抜きやすくなっている。スクープ一発で大臣さえも、ものの一週間で吹き飛んでしまう。

見ていただければわかるように、政治資金収支報告書は、定められた書式に、数字も手書きで報告されている。
総務省は、議員の政治資金収支報告書を受けとるという最低限の仕事しかしていないと思う。それは議員の提出義務と受け取り義務という最低限の法律を粛々と作業しているにすぎないからだ。

なぜ、入金と出金の単純なことを徹底させない?
たとえば、これがデジタル政府の小国エストニアだったらどうなるだろうか?
衆議院、参議院の定数合わせても、国会議員数は800名弱。それぞれ、3人の公設秘書がいたとして、2400名。
合計3200名分の、政府クレジットカードを作る。それと入金用の議員専用口座を国庫管轄で作る。
入りと出の口座を国会議員は国が最初から管理するべきだろう。

それの使用徹底を閣議決定で決め、支払いにはすべてe政府クレジット、そして入金はe政府の口座からとする。それだけで、収支報告書は雑費の補正の申請程度で終了してしまう。使途不明金は一切、介在することができなくなる。

日本政府は、エストニアのe政府を見習うべきだ
東欧の小国、エストニアは130万人のすべてが、ID管理されたクラウド政府を実現している。1991年、ソビエト支配からスタートアップしたばかりのベンチャー国家だ。
エストニアは、身分の証明、そして、EU諸国内の移動に際して、従来型のID カードを給付していた。このカードのチップは、法的効力のある署名、そして、あらゆる信頼するウェブサイトやサービスへの本人確認(政府のサービスから、インターネット銀行に至るまで、幅広く利用されている)の2つの証明書を運ぶ。15歳以上の市民は、全員このカードを持つ義務があり、現在、120万枚のカードが利用されている。この枚数は、同国市民のほぼ100%に行き渡っていることを意味する。
IDカードと携帯電話を用いて、エストニア人は、2億3000万回認証を行い、1億4000万回法的に有効な署名を行っている。営利の契約と銀行での取引に加え、現在、選挙でも、このシステムが大活躍している

出典:世界最先端のクラウド国家=エストニアの驚くべきデジタル戦略
日本的にいえば、政府が導入を考えている「マイナンバー制度」の何万倍も先を歩んでいる。
つまり、この発想を日本国民ではなく、たった1,000人弱の秘書まで入れた国会議員関係者で構築すべきなのである。
国民一人あたり250円搾取している政党助成金320億円は国会関係者全体で割ってみると(共産党はもらっていないというだろうが…)、年間320万円となる。一国会議員あたりの文書交通滞在費は月額100万円で年間1200万円にも及ぶ。
それにさらに税金で給与が出ているのだ。
地方議員の政務活動費も同様だ。都議会議員では、給与以外に月額60万円の費用が認められている。ほとんどの議員が完全に使い切る。本当に調査費や書籍購入だけなのだろうか?使途不明金も多い。報告だけで使い先に言及する人がいなかったからだ。
…何でそんなに政治にカネがかかるのか? それは票を獲得し続けるという議員DNAが働いているからだ。

国会議員にかぎらず、議員を生業としている者にとっては、盤石な基盤を作るためには、悪く言えば、そのためにならば、なんでもする。それは議員のDNAでもある。議員は、選ばれなければ、死んでしまうからだ。落選すれば、その日から単なるフリーターだ。学歴も議員歴も職歴もあてにはできない。一度、国会議員職となり「先生」となった人は、ツブシが効きにくい。選んでもらうためには、駅での朝立ちから、結婚式から葬式、お祭り、運動会、24時間選ばれるために、働き続けている。そして、そのためにはもちろんカネがかかる。
入ったカネのほとんどが、その生命維持装置のメンテナンスに投入される。しかし、その費用は国民の税の負担だからまったく無意味だ。
本当は、そんな時間があれば、政策の勉強や、法律の矛盾など日本の舵取りに向けるべきなのだ。であれば、議員のDNA活動を制約させるのもひとつの方法だ。

議員の三親等以上の冠婚葬祭参加の禁止
例えばの一例で、議員と名がつく人の、三親等以上の冠婚葬祭参加を禁止してみるだけで、かなりの出費は抑えられるだろう。冠婚葬祭参加が票獲得に結びつきすぎているからだ。しかし、それに参加したから票を入れるという有権者も考えなおすべきだろう。それと政治はまったく無関係だ。
政治家が政治と関係のない集票活動となる行動そのものを、政局と分離させることが一番政治とカネの問題を遠ざける手法だとボクは思う。

政治とカネにまつわる問題で辞職をしたり、それが問題で国会に時間が費やされるのが一番の時間=税の無駄使いだ。
国会1時間あたりのコストは最低でも720万円かかっているのだ。税金は企業の予算ではない。使いきらない人が、議員として評価される側面も公開すべきだろう。