「違法残業」がなくならない最大の理由は最高罰則がたかだか30万円以下 。酒酔い運転100万円以下より安いからだ

話題になったエービーシー・マートとドン・キホーテの事件でも、労務担当役員らは「事実を認め反省している」などとして全員不起訴処分だった。法人としての両社はいずれも罰金50万円。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG11H6C_R10C17A1EA1000/

労働基準法32条に違反した場合の罰則は「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」と労働基準法に定められている。
支社、支店等がある場合は、その数に応じてそれぞれ30万円以下の罰金が科される。
エービーシー・マートへの罰則は、違反があった店舗と本社に対する罰金として合計50万円となった。
今後の捜査で明らかによる電通の労務管理の状況によるが、エービーシー・マートと同様の違反であれば電通への罰則も同程度となることが予想される。
http://sharoushimuryousoudan.com/archives/333

酒酔い運転でも100万円なのに、ブラック企業の残業代が減らない要因はこの安価な罰則制度にある。
是正勧告や改善指導などの違法残業のブラック企業にとっては痛くも痒くもない制度が問題だ。ただ、上場企業ともなると「書類送検」された途端に一斉に報道されるが、それも法人企業は約170万社のうちの上場企業は、約3500社なので、上場企業の割合は0.2%にしかすぎない。
つまり、書類送検されても報道されないような企業がワンサカなのだ。

さらに行政指導はあくまでもイエローカード。
限りある労働基準監督署の職員でどこまで、立ち入り検査し、改善指導ができるのかそれも限度がある。

まずは、労使関係において「残業」が違法であること。
その「残業」を「36協定」を結んでいないと違法となる。
しかもそれを過少申告させるのは法律違反。
月間残業が60時間を超過すると基本給の50%アップ

労使関係の法律を知っていれば、「サービス残業」などという「安易」な法律違反はなくなるはずだ。

また、この「違法残業」がとりあげられる社会背景の裏には、雇用促進として、まわらなく仕事の部分を人によって補うという雇用政策があるのではないだろうか?しかし、「残業代」もGDPを底上げしているこのご時世で果たして、残業代を減らすことによって、雇用が増えていく方向に向かうのか?
週40時間で、残業代がなくなる、そして、副業が認められば、誰もがそちらを選択するのでは?

どうやらこちらの方向へ、労働シフトがおきているのかもしれない。

上司から残業時間の過少申告を指示は法律違反

三菱電機の違法な長時間労働 塩崎厚労相「電通と共通」「言語道断」 – ライブドアニュース
http://news.livedoor.com/article/detail/12535976/

三菱電機のウェブサイト 2017年1月11日の書類送検の件には一切触れられていない ※2017年1月13日現在 

三菱電機のCSRのコンプライアンスには法令遵守

http://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/csr/society/fair_compliance/index.html

労働時間とは…仮眠も含まれる

「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」
仮眠時間でも業務対応が要求されている場合は労働時間にあたる
https://zangyou.org/roudouteigi

違法残業認定の流れ

【1】労働者本人などからの申告 労働基準監督署  http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/kantoku/list.html

【2】企業を立ち入り調査

【3】是正勧告や改善指導 是正勧告書 罰則「6ヶ月以下の懲役」とか「30万円以下の罰金」 だがあくまでも警告

【4】改善がなければ再び指導

【5】改善しない場合や社員が過労死するなど重大・悪質な場合は強制捜査、送検する 司法処分となる

【6】罰金が現在では、最大でも50万円 通常 罰則「6ヶ月以下の懲役」とか「30万円以下の罰金」

長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します |報道発表資料|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000098487.html

36(サブロク)協定

「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。 労働基準法第36条

労働基準法に定める労働時間の原則は、1日8時間、1週40時間。しかし、労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出た場合は、協定で定める範囲内で1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて、労働させることも可能です。
http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/koyou_roudou/2r9852000001auw2.html


http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101104-1.pdf

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000123090.pdf

一週間で40時間、月間、160時間以上の残業時間は、25%アップ。

月間60時間以上は 50%アップ。

むしろ、ここが守られていないことが一番の問題

基本的にブラック企業は、基本給を低く設定し、手当をたくさんつけている。すると残業代は50%アップしても残業代はあがらない。

全員を役員にして残業代を支払わない

店長や上級管理職であっても残業は発生する。
しかし、経営者は別だ。企業役員は雇用者側なので、残業代の発生はない。そこで全員を役員にしてしまうというアクロバティックな発想をする会社があった。しかし、役員には登記義務があるので、全員登記簿変更はありえないはずだった。

社員全員を取締役にしたら残業代は払わなくてもよいのか?~「類塾」を営む株式会社類設計室のやり方(佐々木亮) – 個人 – Yahoo!ニュース
http://bylines.news.yahoo.co.jp/sasakiryo/20160330-00056024/

 

長時間労働、どこから違法(Q&A)  :日本経済新聞
❏残業は労基法で原則禁止だが「36(サブロク)協定」と呼ばれる協定を労使が結べば可能。協定の上限を超える残業は、厳密に言えば全て違法になる。

❏労災の認定基準では、脳・心臓疾患は時間外労働が発症前1カ月に100時間超、または発症前2~6カ月にわたり月80時間超だと発症との関連性が高いと定義。うつ病などの精神障害では、直前1カ月間で160時間以上などの時間外労働があれば発症と関連性があるとしている。

❏労働局の対応
労働者本人からの申告などに基づいて企業を立ち入り調査し、法律違反を認定すれば、是正勧告や改善指導をする。

❏改善がなければ再び指導などをするが、なお改善しない場合や社員が過労死するなど重大・悪質な場合は強制捜査、送検することがある。

❏電通は、女性社員の自殺前に別の案件で本支社が繰り返し是正勧告を受けていた。
2015年に全国の労働局は違法な長時間労働だけで79件を送検した。

❏多くは法人だけが略式起訴され、罰金などの略式命令で終結する。個人が起訴され処罰される例は多くないとみられる。話題になったエービーシー・マートとドン・キホーテの事件でも、労務担当役員らは「事実を認め反省している」などとして全員不起訴処分だった。法人としての両社はいずれも罰金50万円。

❏検察幹部は「違法労働は会社全体で行われるケースが多く、個人の刑事責任を問うのは難しい」としている。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG11H6C_R10C17A1EA1000/