Orkutからのお誘い by 日刊デジクリ

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1466   2004/02/16.Mon.発行
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■KNNエンパワーメントコラム
 Orkutからのお誘い
 神田敏晶

ボクにとって、先週は大変な一週間だったが、50年前の古臭い法律にこだわられているSegwayよりも、むしろ先週は日本のネット業界に異変があった!

それはソーシャルネットワーキングという新しい潮流だ。「orkut – Invitation to join from」というサブジェクトで知り合いの人からのメールが来た場合は、ちょっと注意が必要だ。このメールは無視するにはもったいなさすぎる。SPAMを放り込んで消し去る前に一度、サブジェクトを検索してみてほしい。

もしも、まだ届いていないようであれば、今しばらく待ってみるとよいだろう。知り合いの誰かから必ず、いつか招待状がやってくることだろう。

このOrkutのような友達紹介系のネットサービスは以前にもあった。しかし、誰もが参加できたのが、普及の妨げだったようだ。今回のOrkutは知り合いが呼びかけない限り参加できないというところが重要なポイントである。また、すでに参加している人たちが、業界での有名人が多かったのも参加しやすいポイントである。IT業界の世界の重鎮たちがひしめきあっている。

さらに、SPAMメールで電子メールがうんざりしている時に、知り合いからしかメールが来ない、またSPAMを送る人は削除ができる点などは、新しいメールの文化を生みかねない可能性まで秘めている。

また、Blogのコメントをつける要素もScrapbookによって実現されていたり、何人を経由すると、すべての人に到達するのかという「ベーコン数」など細部にいろんな仕掛けが施されている点が憎い。
インターネットのビジネスは、yahooにしかり、Googleにしかり、金が儲かるからはじめられたわけではない。今回のこの「Orkut」だが、GoogleのエンジニアのOrkut Buyukkoktenさんが遊び半分で初めたサービスだ。
http://www.stanford.edu/~orkut/

「Google初の出会い系サービス」などと紹介されるが、ボクからいわせると「友達の友達の可視化サイト」と紹介したいところだ。

まず、知人の顔が見え、その知人のネットワークが見える。さらにその先のネットワークまで計り知れることがわかる。以前、ケビン・ベーコン数のことを紹介したが、http://knn.typepad.com/knn/2004/02/post_4.htmlまさにそれが自分をケビン・ベーコンとして見立てることができる構図がすばらしい。

爆発的な勢いで、日本のネット上の知人が参加してくるのが手に取るようにわかる。また、コミュニティのキーパーソンが参加すると、一気に増えるという可能性を秘めている。先週はFlash系の人たちが大量に増加。きっとこれはマクロメディア社の田中さんが、キーになっていたかと推定できる。

Flashのコミュニティは、世界で現在154名が参加しているが、日本人はまだまだ少ない。しかし、このコミュニティ機能に気がつくと一気に増えそうな予感がする。今月末になるとこのコミュニティは日本人に占拠されているのかもしれない(笑)
このOrkutのサービスは現在、すべて英語である。しかし、顔写真を見ているだけでどんな人たちがこのコミュニティに存在しているのかがわかるから、それをブラウズしているだけでも楽しい。また、メッセージを送ることもできるので、英作文の練習がてらチャレンジしてみると面白い。

まだ、このサービスを体験していない人には、何のことかがまったく理解できないかもしれないが、メルマガにしても、blogにしても、これらは、常に情報発信を常に行う人たちにとってのツールであった。

しかし、このOrkutの場合は情報を発信する側に立つのではなく、自分の友達が属するコミュニティや知人の興味のあることなどを追跡していくことができるネットワークなのである。だからこそ「ソーシャル・ネットワーキング」なる新しいカテゴリーとして分類されている。ボクのOrkutには今月が誕生月の人がずらずらと表示されている。さらにバレンタインデーメッセージ(バレンタインの温度差も見事に表現できる)にいたるまで。

もしも、これに自分の欲しいものを登録するようなウイッシュリスト(amazonなどであるような)機能がそなわっていると、友達からプレゼントをもらうことが可能であろう。

知人の誕生日やバレンタインデー、これからはホワイトデーに暑中見舞い、年賀状などもこの分野で広がりそうだ。問題はいつの段階で、ユーザーのクレジット番号を聞きだすかだろう。しかし、amazonや楽天、さらにオークションなどと友達の関係だからこその新しいアフリエイトも可能なので、Orkutそのものがビジネスをめざさなくても、ユーザーの満足度を上げる努力さえ続ければ開花することだろう。

日本の文化との違いもあるが、なんでもローカライズしてしまって、日本を日本語というファイヤーウオールの中に封じ込めてしまうのではなく、下手な英語を駆使してでも世界の社会と対等につきあうことができるネットサービスもあるべきだと思う。しかし、日本語くらいはとおるようにしてほしいけど…。

やはり日本では、会社名や所属している団体、肩書きがないとわかりにくいというのも日本の文化の特性のようだ。国ごとによる若干の追加機能を付加する必要性はありそうだ。近い将来、中学校の英語の最初の授業で、Orkutを使って自己紹介するような授業を行うと、日本人の世界観は本当にグローバルになると思うのだが…。

昨年のちょうど今ごろ、Blogが話題になったように、2004年、ソーシャル・ネットワーキングはどのように進化していくのか今から楽しみである。

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