映画サイトのリッチ、映画館サイトのプア

Toshiaki Kanda 2004年06月12日 土曜日
0 people like this post

■KNNエンパワーメントコラム  by日刊デジクリ
 映画サイトのリッチ、映画館サイトのプア

「ドーン・オブ・ザ・デッド」と「デイ・アフター・トゥモロー」を見てきた。
「キャシャーン」と「キル・ビル2」と「パッション」は残念ながら見過ごし
てしまった…。

「トロイ」と「キューティーハニー」と「クリムゾンリバー2」「コールドマ
ウンテン」はなんとかしたいけど、一本2時間としても8時間もかかる。今年の
このソソる映画ラッシュは、なんとかしてもらいたいものだ。

ゴールデンウイークなどの休みや夏の作品として公開されるのだが、興行成績
をあげるには、公開タイミングだけではなく、日本の興行システムの仕組み全
体を変えたほうが早いかもしれない。金曜日の夜にオールナイト上映があるの
が六本木ヒルズだけというのも、このメトロポリスでは信じがたい事実だ…。

日本には2681の上映スクリーンがあり、2032億円の興行成績である(2003年社
団法人日本映画製作者連盟調べ)。つまり、1スクリーンあたりの年間売り上
げは、平均7579万円であり、平均入場料は1252円なので、1スクリーンあたり
年間60535人。1日あたり165人が映画を見ていると計算できる。のべ人数では、
1億6234万7000人が映画館で映画を見ていることとなる。

しかしだ。これを映画館以外で考えてみるとさらに市場は大きくなる。小売店
舗の映画ソフトの売上およびレンタル市場は5,010億円で、映画鑑賞人口は8億
1,900万人にまで増える。売り上げで2.46倍。動員では5倍にあたる(日本映像
ソフト協会)。

つまり、映画のビジネスは確実に家庭のビデオやDVD市場にシフトしていると
考えられる。さらに販売用のDVDは約6943万枚と毎年130%の伸び率で増え、レ
ンタル用DVDでは5342万枚で187%の伸び率になり(ビデオレンタルは7191万本
81%)で、レンタル市場のDVDシフトが続いている。

DVD専用機からDVDレコーダー、薄型の大型ディスプレイなどのホームシアター
化がさらに牽引していき、映画を所有する傾向が見られる。また、統計にはあ
らわれないが、DVDのオークションやブックオフなどで10%〜30%の価格で再
流通していることから映画の家庭内市場の大きさが増えていると考えられるだ
ろう。

しかし、家庭のリビングで映画を見始めると、シナジーの経済効果はなにも生
まれない。せいぜい、コンビニか宅配ピザ程度だろう。そこで、映画館へもっ
と人を集めやすいプロモーションが必要ではないかと思う。

1スクリーンあたりの興行成績をあげるためには、夜型へ移行せざるをえない。
平日の午前中の観客は非常に少なく、最終回の上映が18時台という劇場がほと
んどだ。これでは、平均的なビジネスマンやOL、学生では平日の鑑賞は無理だ
ろう。

まず、平日の営業を合理化し、終電に間に合うまでの興行を行うべきだろう。
最終回が21:00であれば、夕食を食べてからでも映画を見ることができる。し
かもレイトショウ価格があれば、平日の夜でも格安感がでてくる。またロード
ショウで映画を見るとDVD購入時に10%割引などのプレクーポン制度を導入し
てもいいだろう。

東急系の映画館では、映画の半券をもっていると提携レストランでサービスな
どが受けられるというキャンペーンもグループ会社でおこなっているが、これ
を映画を見る属性でタイアップできるキャンペーンもあるだろう。映画は配給
会社の宣伝は積極的であるが、映画客層の水平的なマーケティング展開は苦手
なようだ。

配給会社の映画サイトは非常に充実しているが、足を運んでお金を回収できる
劇場サイトとなると、とたんに貧相なサイトになってしまう。上映している各
映画館のスケジュールは電話で問いあわせしろという、ふざけたサイトも多い。
混雑具合の予想から、取り扱いフードメニュー、予約システムなど、いろいろ
とがんばれる劇場もあるが、一般の映画館では無理だ。

他の販売促進費をおさえても、情報化のためのASPサービスを提供し、いろん
なサイトにRSSで映画館の詳細データを提供し、映画館へ足を向けやすい努力
をしない限り、ホームシアターに映画館は勝てない。

1日の映画の日から、レイトショウ、22日のカップルデー、水曜日の女性1000
円デーなど、積極的なキャンペーンを告知していくためには、もっと映画の情
報やバナーなどで露出していかなければならない。何よりも、一か月の生活の
中に何度か映画館に足を向けたくなる習慣性を戻す必要があるだろう。

東京・飯田橋のギンレイホールでは、いつでも使える年間パスを、シングル
10,500円、ペア18,900円、法人・グループ(5人まで)31,500円、同伴者1名ま
で入場料が1000円になる特典などをつけている。
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/ginrei/cinema.htm

ここまでいかなくても、平日フリーパスのような映画の年間チケットなどがあ
ってもいいのかもしれない。ガラガラの映画館よりも、やや混雑の映画館のほ
うが、見に行った気になると思う。

また、フードコーナーは利益率が高いだけに、工夫をしてもらいたい。せっか
くの映画なんだから、プレミアムなエスプレッソやカラメル・ワッフル、シナ
ボンなど、家庭やコンビニでは買えない映画館用のメニューを開発すべきだ。
BARがあってもいいほどだ。六本木ヒルズのポップコーンは、香りだけで欲し
くなってしまう。また、女性客には、ひざ掛けの貸し出しなどもあるので、フ
ルマッサージ機つきの特別席を開発するなど、まだまだ映画館でできるプロモ
ーションはあるだろう。映画のパンフレットと袋ものだけを販売していても人
件費にもならないのだから…。

そのうち、地方の映画館のコーナーに、タリーズシネマとかスターバックスシ
アターが登場する日もあるだろう。十分タイアップできる可能性は秘めており、
地域のエンターテインメント商業アグリゲイターとしての復活を期待したい。

Category: コラム
  • 0
  • 224
Toshiaki Kanda