テレビを見ていると、ネットで「○○○で検索」で終わるコマーシャルが日本でも急増している。15秒や30秒で伝達できることは限られている。かつては、テレビコマーシャルでも、URLの告知が大半であったが、最近は 画面で「http://wwww」という広告を見るのはデルのような社名が短く覚えやすいような企業だけになってしまった。
もはや誰もが、うろ覚えのURLを一から打つという行為はなくなり、検索したほうが早い時代へと移行している。
テレビ局もかつては、コマーシャルでURLを表示することへの抵抗感(テレビを消してネットへ接続するという行為への抵抗)はあったが、視聴率への影響は少なかった。考えてみれば、トイレに行くためやネットに接続するために、毎度、テレビを消す人類をボクは見たことがない。よって、当然、視聴率に影響がでるわけでもなかった。
テレビのコマーシャルによるネットへの誘引行動は、TVコマーシャルの効果のAIDMAを、「アテンション(注意)」だけに絞り始めた結果なのかもしれない。
また、ペットを飼っていない人にもペットフードのコマーシャル、生理のない男性までも生理用品、ヒゲの生えない女性にもヒゲそりの新製品、テレビコマーシャルはマス媒体という特性を活かして企業メッセージをブラウン管を通じて大量投下していた。それが効率的であったからだ。
いまや、ネット広告、検索連動型広告の効率のほうが注目されはじめているのかもしれない。その影響を受けて、テレビコマーシャルでも、「○○○で検索」を連呼するようになった。
2005年度の米国検索連動型広告市場は、前年比34%増の51億4000万ドル強でネット広告全体の4割を占める。
2006年7月、米AOLは顧客10万人の2000万件による検索履歴を公開。
検索ワードは、人類の欲望の具現化したキーワードでもある。
米国だけで、月30億回も検索される。全米3億人の人口が月に1回は検索しているという構造である。
その検索ワードで、上位に表示されるためには、「ユニークでかつ記憶しやすいキーワード」を考えなければならない。
キヤノンのHDVビデオカメラのHV10は「ivis」でネット検索とコマーシャルされた。ヤフー!ではSEOでトップに広告として表示されるが、グーグルでは、ソフト開発のアイヴィス株式会社、ボランティアのIVISなどが検索され、キヤノンのivisは5位にランクされている。
ライフカードのオダギリジョー版は、ネットで続きを見せる「カードの切り方が人生だ」編はすでに第7弾を迎えている。長編のショートフィルムにもつながっている。CMの世界観を継続っせ、また、関連するブログも検索にひっかかる。ネガティブなブログもあるが、他のカード会社から比較すると良好な検索結果がでている。
検索型広告1.0時代は、企業の提供するサービスや製品がトップに出ればいいだけであったが、検索型広告2.0時代では、その検索ワードにどれだけ、グッドウィルを感じるブログが記事を書いているのかが話題となる。
現在、TVのコマーシャルで偶然みたものを検索するという消費行動も、検索シェア6割を誇るグーグルにおいては、メール、ブログ、ワープロ、などのツールを広告媒体とした新たな「露出機会」を創造しはじめている。コマーシャルがテレビを離れてネットでも提供されるのはほぼ時間の問題だろう。
コマーシャルの中に、タグの埋め込みや、購買機能、知人に紹介、アフリエイトなどの高機能を埋め込むのもネットであれば可能だ。
また、アップルの提唱するような「iTV」が登場すると、コンピュータの中身の情報を、薄型大型テレビでリビングで視聴するような動向になりかねない。再生ブラウザに適度にコマーシャルが適切に、ユーザーにフィットした状態で提供されることも考えられるだろう。
TVは本当に今後のビジネスモデルを検討する時期にはいってきている。
作成日: 2006年10月19日(木) 13時12分