1000円カットのQBハウスが1000円になったホントの理由
その理由は、自動販売機がNTTのテレフォンカード販売機を流用していたから…。
サービスの売価は、原価から積み上げるのではなく、値頃感から発想したほうがよいのかもしれない。
また、帝国ホテルの理髪店で2万円。髪を切る、髭を剃る、マッサージをしてもらう。自分でできないのは髪を切るところだけ、そこだけを切り出し、1000円で提供した。
女性とちがって、サラリーマンは月に一度の散髪で休日の時間をとられることが一番苦痛だったのだ。
かかって当たり前の時間を省略し、一番ニーズのある部分だけを安く提供する。
儀式化されているものをすべて、ゼロベースで疑ってかかるとよいビジネスチャンスにあたりそうだ。
❏「サービスとは何かを付け加えること」と考えるのはサプライサイドのエゴに過ぎない。
❏私は創業者2人からそのことを学んだ。もっとも1000円というプライスは最初から決めていたわけではない。
❏安い券売機を探していたら、たまたまNTTがテレホンカード販売機を多券種対応機に入れ替えていた時期だった。従来の1000円券しか食べない券売機が在庫でいくつか残っていたので原価同然で譲ってもらった結果、じゃあ1000円で出来るサービスにしようと決めただけの話である。
❏だから創業期に券売機から出てきたのはQBのマークが入ったテレホンカードであり、実は公衆電話がかけられる。しかしその偶然が、俺のことはほっといてくれというニーズに見事にマッチし、理美容業界にイノベーションを起こしてしまった。❏QBハウスのビジネスモデルついてはかなり分析されており、事実そうなんだろうと思う。競合はたくさん出てきたけれども、未だ本家を脅かすまでには至っていない。結局あの高稼働率モデルを維持出来る場所は限られており、そこを真っ先に押さえてしまったからである。
❏今ではQBハウスは年間ユーザーが1500万人となり、売上高100億円超、営業利益は10億円を超え、上場理美容企業の利益額を大きく上回っている。
❏各社がいろいろなサービス付加に苦労する中、QBハウスはほぼ創業以来変わっていないシングルモデルを淡々と進めているだけだ。もちろんリスク要因もあり、今後消費税が上がった場合、対応をどうしようとか考えられるわけだが、少なくともここまではかなり完成度の高いビジネスモデルだったと思う。
❏QBハウスが提供する価値とは何か?1000円でカット出来ますというのはもちろんそうなのだろうが、実はホームページのどこにも「安い」とは書かれていない。 ここがこの会社のすごいところだ。
❏私はQBハウスが提供する価値とは「日曜日の午後の拷問からの解放」だと思っている。自分が望まない2時間を10分で終わらせ、残りの1時間50分を自分にとって興味のあることに充てることが出来る。
❏月曜からまた自分の時間を切り売りしなくてはいけない人間にとって、ここは極めて重要だ。「俺のことはほっといてくれ」まだまだここに大きな事業機会があるような気がするが、どうか?
情報源: 田中博文オフィシャルブログ – 「俺のことはほっといてくれ」 QBハウスで思うこと – Powered by LINE