ソニーが持っている映画『スパイダーマン』の権利が、マーベルから独立しなければならない理由
『スパイダーマン』の権利の版権はもちろん『ディズニー』傘下の『マーベル』が持っている。
『マーベル』は2009年に『ディズニー』に40億ドル(4,000億円)で買収され、ディズニー傘下である。
https://knnkanda.hateblo.jp/entry/2019/01/11/135911
一方、ディズニーは、『アイアンマン(2008年)』のヒットから『アヴェンジャーズ』のシリーズ化を図り、もはや世界で一番ヒットした映画会社となっている。
一方、ソニーは、『スパイダーマン(2002年)』の映画化の権利を、『マーベル』からライセンスを受けレベニューシェアで運用している。ソニーの映画事業の営業利益は2020年3月期で650億円と前期比19%増
ソニーとディズニー、映画スパイダーマン巡り対立
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48832470R20C19A8916M00/
1998年、なぜ?ソニーはマーベルを買わなかったのか?
1997年、マーベルコミックスは倒産し、1998年は新たに『マーベル・エンターテインメント』を再生したばかりで収益を求めていた。
マーベルの責任者『アイザック・パルムッター』は、スパイダーマンに続く他のキャラクターを含めた映画化権をソニーに打診していた。その中には、アイアンマン、ソー、アントマン、ブラックパンサーなどだ。それらを含めても映画化権は、2500万ドル(25億円)だった。
しかし、ソニーピクチャーズの返事は『スパイダーマン』の映画化権のみで、1000万ドル(10億円)のみで他のキャラクターは受け付けなかったと言われる。
マーベルは1,000万ドル(10億円)と、ソニー映画の興行収入の5%と関連グッズの売上からのレベニューシェアという条件でおさまった。
ソニーは『スパイダーマン』シリーズで映画のヒットを当てた。サム・ライミ監督、トビー・マグワイア主演の『スパイダーマン』三部作を2002年、2004年、2007年に公開しヒットを作った。
しかし、マーベルエンターテインメントは、『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』の世界観を構築し、ディズニーの配給のもと、2008年のアイアンマンからブラックパンサーまでの17作品で興行収入は総額135億ドル(1兆3500億円)を達成する。
「他のキャラはどうでもいい、スパイダーマンだけ獲って来い」 ─ 米ソニー、かつてマーベル・ヒーローの映画化権を蹴っていた
https://theriver.jp/sony-pass-mcu/
今や、ディズニーにとって、『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』はドル箱の商品である。さらに、スター・ウォーズのルーカススタジオに、『Xメン』シリーズを持つ『21世紀フォックス』買収にいたるまで、ありとあらゆる秀逸なコンテンツを次々と手にしている。
一方、ソニーピクチャーズは、2016年のマーベルのMCU作品『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でスパイダーマンが、アベンジャーズとして参加するという、MCU戦略の一員となった。レベニューシェアモデルである。
また、ソニーのスパイダーマンの最新作のヒットで、ディズニー側がどうやら難色を示したことをソニー側があきらかにした。
ソニーの米映画子会社、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)が20日、マーベルのケビン・ファイギ社長がスパイダーマンの次回作に関わらないことを認めた。ツイッターに「ディズニーが彼(ファイギ氏)に与えた新たな責任により、自社のIP(知的財産)以外に投じる時間はなくなるのだろう」と投稿した。
ファイギ氏はスパイダーマンシリーズや「アベンジャーズ」などのヒット映画を生み出してきた敏腕プロデューサー。米映画情報サイトのボックス・オフィス・モジョによれば、ファイギ氏が手掛けた作品の興行収入は累計250億ドルを超える。ファイギ氏の離脱はソニーの次回作に影響を及ぼす可能性がある。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48832470R20C19A8916M00/
Disney+
2019年8月23日、ディズニーは、3年契約という新たな手法のサブスクリプションも公開した。
年に一度のファンイベントで、2019年11月から予定している『Disney+』に3年間の契約をすれば一ヶ月あたり4ドル弱に割り引くそうだ。通常は7ドルだ。
また、AppleもTV+を月額10ドルで展開を予定している。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20190327-00119795/
ディズニーの決算2018年、594億ドル(5.94兆円)を見ると映画部門は99億ドル(16.6% 9,900億円)にすぎない
2018年 ウォルト・ディズニー売上
ディズニーの売上は、CATVやABCなどのメディア関連が41% そして、ディズニーランドなどが34% これだけで、75%を占めている。映画はなんと16.6%と意外に低い。
しかし、すべてがコンテンツが還流するビジネスモデルなので相互に影響を与えあっているといえる。
ソニーの決算2018年、8兆6657億円、映画の売上は11.3%9869億円
2018年ソニー 売上 今や、ソニーはゲームが主体の会社といって過言ではないだろう。
ゲーム(26.6%)、金融(14.7%)、ホームエンタ(13.3%)、映画(11.3%)となっている。ソニーの場合は各事業部門のシナジーは、若干あるが、もはやメディアが分断し、金融やメーカーとしての位置づけで多様化しすぎているイメージだ。
映画の興行収入ランキングはディズニーばかり…。
ゲーム市場は1,379億ドル(13兆円)映画関連968億ドル(9.6兆円)の1.4倍
ソニーとしては、映画、音楽、ゲーム 分野のサブスクリプションを金融とふくめてやればよいのに…。これらをすべて、まとめられる人材がいないんだろうなぁ…。