TikTok

 
安全保障上の国家の危機であるという論点ひとつで、1億7,000万人の米国向けユーザーのサービスが、9ヶ月から1年以内に米国企業に売却しなければ利用禁止という無理難題が見事に成立してしまったのだ。
□米国のジョー・バイデン大統領は(2024年)4月24日(米国時間)、早ければ2025年にも米国でのTikTokの運営を禁止する法案に署名した。 □親会社である中国のバイトダンスが事業を売却しなければ、2025年にも米国での運営が禁止されることになる。 https://wired.jp/article/biden-sign-tiktok-ban/
 
まるで、80年代のジャパン・バッシング時代を彷彿させるような、中国たたきと、人気アプリの米国企業への強制売却措置である。
もちろん、TikTokの親会社である『バイトダンス』側は徹底的な抗戦に挑むと声明している。
■TikTok使用禁止法案にサインしながらTikTokを使うという米国大統領
 
出典:TikTok

https://www.tiktok.com/@bidenhq/ アメリカ政府が、『安全保障上』の理由で『利用禁止』を法案化する一方、バイデン大統領陣営は、TikTokで選挙用の動画をアップしつづけているというダブルスタンダードな姿勢である。
出典:TikTok

しかも、露骨なトランプ批判の舌戦をくりかえしている。髪の毛のことを揶揄するなど現職大統領のTikTokが利用禁止の法案にサインしながらだ。 …といっても たかだか30万人フォロワーだから米国大統領としての影響力はTikTok界隈ではしれていると判断しているからか?
 
出典:X.com

 
X.com だと、3802万人のフォロワーだ。 https://twitter.com/joebiden
出典:X.com

そして、米国大統領の @potus アカウントだと、3,475万人のフォロワーだ。 https://twitter.com/POTUS

バイデン大統領にとって、x.comほどの影響力は、TikTokにないとしても、禁止しながら、自分は利用しているというのは、説得力に欠ける。

 

■バイトダンスの時価評価額は、2,680億ドル(41兆5,400億円)

 

1,400億ドルから2,500億ドルへと評価(2021年度)されていたが、2023年12月、既存の株主に対して1株あたり160ドル(約2万4000円)、最大50億ドル(約7400億円)相当の自社株買いを提案した。これに基づくと、同社の評価額は2680億ドル(39兆4000億円)となる。@155円ならば41.5兆円だ。

2023年度の売上は1,100億ドル(約15兆7800億円)である。年間の利益率も60%増となり、テンセントやアリババを超える増益率だ。利益だけでも400億ドル

年間売上は1200億ドル近く。 バイトダンス社は一貫して収益の大部分を中国本土市場から得ており、動画投稿プラットフォーム「抖音(Douyin)」のデイリーアクティブユーザー数(DAU)は6億人を超える。

TikTokの世界ユーザー数に占める米国人の割合はわずか10%だが、米国人ユーザーの動画が総視聴数に占める割合は25%となっている。

さらに、ニュースアプリの『Tontiao(今日頭条)』もあるので、バイトダンスの売上に占めるTikTokの米国のみの算出は難しい。バイトダンスのTikTokの米国1億7000万人の顧客ごと売却するとしても、
バイトダンスの評価額 2,680億ドル(41兆5,400億円)、その1/4(25%)の価値としても、670億ドル(10兆3850億円)となる。

Microsoftがアクティビジョン・ブリザードを買収した690億ドル相当だ。しかし、Microsoft、Apple,Googleは、過去の歴史上、SNSとの親和性が悪い…。

x.comにもTikTokは、シナジーがありそうだが、そもそもtwitterが買収されたのが440億ドルなので、とても買えそうな金額ではない。

また、SNS専業であるmetaの時価総額は、現在は、9,671億ドル(149.9兆円)となるので、バイトダンスの25%で売却されると、1/14の規模となる。一番、購入して、その後の運用も実現性が高いのはmeta社だろう。

しかし、TikTok CEOの周受資(ショウ・ジ・チュウ)CEOは、裁判に持ち込んでも応戦する様子なので、その間は、TikTokの利用禁止も売却にもなりそうにない。

(1) XユーザーのTikTokCommsさん: 「Our response to the TikTok Ban Bill in the US: https://t.co/LpoE67sxHo」 / X (twitter.com)

シンガポール生まれの中国とは、距離をおいたCEOである周受資(ショウ・ジ・チュウ)CEOの采配にも注目したい。
シンガポールで生まれ、米国ハーバード大学のビジネススクールを経て、Facebookでインターンし、中国シャオミでCFOとなり、上場へと導き、現在TikTok CEOと親会社のバイトダンス社のCFOも兼任しているというツワモノだ。

公聴会での受け答えも、SNSでの見せ方も上手だ。TikTok CEOが 米国大統領選を挟みながらの対応方法に注目したい。

 

TikTok(ティックトック)の周受資(ショウ・ジ・チュウ)CEO

米テック企業Oracle(オラクル)と提携した取り組み「プロジェクト・テキサス」の一環として、米ユーザーデータと国家安全保障上の利益を保護する計画も紹介。米ユーザーデータとTikTokの親会社である中国ByteDance(バイトダンス)との間のファイアウォール構築にすでに15億ドル(約200億円)以上を費やしており、

米国のユーザーデータをOracleのサーバーに保管し、同社や独立監視機関がTikTokのデータ取り扱い、アルゴリズム、コンテンツモデレーションを監査できるようにしている。
TikTok禁止は米経済に「打撃」 周CEOが議会証言へ | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

周受資(Shou Zi Chew)氏はTikTokの最高経営責任者(CEO)で、親会社であるバイトダンスの最高財務責任者(CFO)

現在、TikTokのCEOと親会社バイトダンスのCFOを兼任している。

  • 周氏は39歳で、ハーバード大学のビジネススクールに通い、まだスタートアップだった頃のフェイスブックでインターンをしていた。シャオミでCFOとなり上場へ導いた。ディズニーからのケビン・メイヤー氏が米議会からの圧力で3ヶ月の辞任後、TikTokのCEOとバイトダンスのCFOを兼ねている。バイトダンスの創業者でCEOの張一鳴(Zhang Yiming)
    2021年3月、周氏はまずバイトダンスに経営幹部として加わった。同社初のCFOに起用されたのだ。5月には、ヴァネッサ・パパス(Vanessa Pappas)氏が最高執行責任者(COO)に指名されたのと同時に、TikTokのCEOに就任した

https://www.businessinsider.jp/post-240460

TikTok CEO独占インタビュー:中国発の人気アプリという逆境、でも「いずれ信頼は得られる」 | WIRED.jp

Our CEO, Shou Chew, shares a special message on behalf of the entire T… | ceo of tiktok | TikTok