韓国の音楽チャートは、日本人がイメージする「CDの売り上げ枚数」のランキングとは少し異なる。人々が注目するのは複数の人気音楽番組が発表するランキングであり、それらはデジタル音源サイトでのダウンロード(購入)やストリーミングの回数、CDの売り上げ、テレビでの放映回数、視聴者投票などといった要素を総合して算出されている。
EXIDが2014年8月に発売した楽曲『Up&Down』は、当初はあまり注目されなかったが、2015年1月には『M COUNTDOWN』(Mnet)、『ミュージックバンク』(KBS 2TV)、『人気歌謡』(SBS)の3番組で1位に輝くという時間差の大ブレイクをみせた。そのきっかけとなったのは、YouTubeで2014年10月に公開された1本の動画だ。
動画は、EXIDが出演するイベントを訪れたファンが客席からスマートフォンと思われる機器で撮影したもので、メンバーのハニが『Up&Down』に合わせて妖艶に踊る姿がただただ撮られている。
ユーザーの撮影した動画からブレイクしていくとは…SNS時代ならではの現象。
ネットの拡散から興味・関心が集められる。
プロモーションビデオよりもライブのビデオのほうが、オーラに満ちている。
昔のように、カバンの中身までチェックをして、録音機やカメラを取り上げられる時代でもない。スマホを取り上げることなどできなくなったからだ。あとはマナーとしての撮影しないという取り決めだ。
実際に警備員が撮影を阻止できる状況ではなくなってきている。
また、マドンナやレディーガガ、中川翔子、パリスヒルトンなど、かつてのグレートフルデッドの時代のように、拡散されることの影響を知っているアーティストは、ライブでのユーザーの撮影と拡散を歓迎しはじめた。なかには、ハッシュタグまで教えてくれる場合もある。
コンサートの手持ち映像を見れば見るほど、ライブ感も上がることだろう。もちろん、それだけで満足しないので、結局はライブへの参加のモチベーションを上げてくれるからだ。
CDなどの音源パッケージの売上は、伸び悩みだが、ライブ売上やグッズ売り上げのほうがアーティストにとっては美味しい時代だ。
そのうち、コンサート会場では、数台のドローンが激突する事故なども発生してきそうだ。
ドローン撮影以外OKの時代のほうが、音楽産業に貢献するのではないだろうか?