「広告マンの8割はいらなくなる」とあります。
実際、先行してデジタル化とグローバル化が進んだ金融業界では、この15年で証券会社の営業マンが半減しているといいます。
そんな状況をみて、以下のような広告マンは必要なくなるというのです。
「広告主の前でお天気と株価の話しかできない幹部」
「メディアの事情通というだけのメディア担当」
「広告主が素人だったので通用していた御用聞き営業マン」
「15秒と30秒の広告しか作れないCM職人」
「自ら分析できないプランナー」
ややあおっているようにも聞こえますが、大きくは間違っていないでしょう。
では、なぜこうなってしまうのでしょうか?
それは広告主が必要としているものが「マーケティング」だからです。
そしてマーケティングとは「広告販促」ではなく、「経営の根幹」だからです。
経営の根幹であるマーケティングは、デジタル化とグローバル化によって、開発、生産、物流、労務などなど、どんどん広告販促以外の領域に浸透するようになるからなのです。
ならば、広告会社と広告マンは、仕事を再定義しなければなりませんよね。
『広告ビジネス次の10年』(横山隆治・榮枝洋文著、翔泳社)
広告マンに必要なスキルセット
・ データマーケティングと向き合う「インサイト&プランニング」スキル。これまでのマーケティングプランナーや戦略プランナーが「仮説言い切り型」だとしたら、これからは生活者の行動分析に基づくカスタマージャーニーデータからの「文脈発見型」のプランニングのスキルが必要。
・ ターゲットとのコンタクトポイントを設計する「メディア/コネクション」スキル。これまでの広告会社のメディアプランナーとは意味が違うため、セールスプロモーションやメディア開発の経験が欲しい。これからのコンタクトポイントは、同時にデータ収集ポイントになるため、様々な接点でのコミュニケーションと同時にデータを収集し、それを他の接点に生かして企画するスキルが必要。
・ 「ビジュアルデザイン/コピーライティング/インタラクションデザイン」というこれまでとは全く別物のクリエーティブスキル。これまでのクリエーティブの概念をリセットして、デジタルを中心にすべてのスキルに関わりながら考えることができること。コミュニケーションプランニングの領域まで拡張して捉え(本書では「コミュニケーションプランニング」は「広告」よりもはるかに広い概念と定義されている)、ペイドメディアからの発想ではなく、オウンドメディアからアーンドメディアへ発想し、それを補足するペイドメディアという考え方ができること。また、戦略PRにおける情報クリエーティブや、広告を超えたブランデッドコンテンツ、さらにはサービス開発や新たなビジネス開発への発想も求められる。
・ 「テクノロジー」「アナリティクス」スキル。「テクノロジー」は、広告配信からCRM、ウェブ最適化からソーシャルまで多様なテクノロジーの導入と運用のコンサルティングができるスキルだが、今の広告会社には全く欠けているという。社内育成はかなり難しいので外部からの獲得になるが、マーケティングの本質を理解しているテクノロジーの専門家も希少。また「アナリティクス」については、単独の職種というより、すべての広告マンに求められるスキル。たとえばクリエイターでも各ユーザー接点での反応データを分析し相乗効果を最大化する発想が求められる。