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【映画】「宇宙戦争」(2005)スティーヴン・スピルバーグ トム・クルーズ ダコタ・ファニング H.G.ウェルズ

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宇宙人との戦争を描いてはいるが、家族との戦争も描いているダブルテーマの作品だ。トム・クルーズ扮(ふん)するレイは、別れた妻との間に出 来た息子のロビー(ジャスティン・チャットウィン)と娘レイチェル(ダコタ・ファニング)を預かっている間に、不気味な嵐と落雷に遭遇する。

  この時、脳裏によぎったのが、1995年の阪神大震災だ。震災直後、ラジオをつけたが、「兵庫県で大きな地震があった模様です。詳しい情報が入り次第お伝 えします」だけが、繰り返された。ラジオからは、限られた情報しか得ることはできなかった。当然、断電していたのでテレビは視聴ができなかった。

 道路が地割れし、建物が崩壊する。電気が途絶え、電子機器が動かず、何が起きたのかを推測できるのは、目の前で起きている事実だけである。

  ラジオで得られる情報はすべて「結果」である。目の前でリアルタイムに発生する異常事態に「対応」しているわけではない。しかし、事故や震災の規模を憶測 するには、非常に役にたつが、現場ではもっとリアルタイムの「対応」に関しての情報が必要であったことを記憶している。

 映画の中でも、 「ヨーロッパが大変なことになっている」とか、「日本の大阪で敵をやっつけたらしい」という情報は伝播されるが、大惨事に直面している人間にとっては、そ んなニュースは、どうでもいい情報である。目の前の惨事からなんとか抜け出したい。どうすれば、いいのかをスグに教えてほしい。ニュースは現場から外へ送 り出すだけではなく、現場に有効な知恵やノウハウを伝達するニュースメディアが必要だろう。

 目の前にいる2人の息子と娘。この2人を守 るということが、レイのすべてである。しかし、その父親の思いは素直には伝わらない。しかも息子は反抗期のまっさかり。離婚した父親とは確執がある。ここ では、問題を抱える冴えない父親像をトム・クルーズが見事に演じている。日本の「テレビ朝日」や米「CBS」も映画に登場するが、そんな惨事の中でも、テ レビ局は常に「スクープ」を追い求めている。

 米国のSF映画は「911」以降、大きく変わった。ローランド・エメリッヒ監督の「デイア フタートゥモロー」で、パニック映画が解禁された感があり、アメリカ流の勇気の見せ方をドイツ人監督が演出していた。「インディペンデンス・デー」でも同 じアメリカンな魂を描いていた。

 しかし、ユダヤ移民の血を引き継ぐアメリカ人、スピルバーグ監督は、容赦なく、宇宙人が殺戮を繰り返すシーンを、圧倒的な力を持つ者から逃げ惑う市民という手法で恐怖を残酷に描く。しかも、説明がなされないまま、一方的に攻撃を受ける。

 VFXの進化は、世界の終わりを圧倒的な破壊力で見せつける。「世界最強の国がたった2日でなくなるなんて…」という市民の言葉がすべてを物語る。

  娘が、惨事が起きた時に「テロ?」と質問するシーンも印象的である。人間は経験の中からしか、未来を推測できないからだ。避難した先で、息を潜める。沈黙 の恐怖との戦争がはじまる。逃げるか戦うかでも対立が起きる。パニック寸前の娘を前に、とある決断も父は迫られる。クルマを奪うために、仲間である人間同 士でも戦争がはじまる。

 客観的な説明のほとんどなされない惨劇映画ではあるが、実際の惨事に直面しているような、錯覚を与えてくる。見終わったあとに納得できるというタイプの映画ではないが、敵対的なETと人類。パニックに陥った人間。家族間の絆について考えさせられる映画であった。

 

Box Office

Budget:

 $132,000,000 (estimated)

Opening Weekend:

 $3,789,496 (France) (22 July 2005)

Gross:

 $234,277,056 (USA) (18 November 2005)
Special Effects

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