ホリエモンこと、堀江貴文さんの新著。
2000年のビットバレーの裏事情は、実はこんな話だったのか!と思うほどのリアリティー。
冒頭の「干からびたオタマジャクシ」から、若き日の堀江さんが目に浮かぶ…。映画で見てみたいシーンだ。
ジャーナリストには、表側のビットバレーしか見えてこなかっただけに、この本は、非常にショックでもある。
当時のバブル期の内部の内部まで事情を知っているご本人ならではのエピソードとフィクションが散りばめられているようだが、完全なノンフィクションのような気さえしてくる。
「オン・ザ・エイジ」に「LIGHT通信」… そのまんまである。
考えて見れば、あの頃は激動のような時代だった。実は今でも同じ波が来ている。
この本の世界は、きっとかつての東映のヤクザ映画のように、裏IT業界映画シリーズとしても、成立しそうだ。
起業、ファイナンス、日本流営業、交渉、株価…
きっと、対照的なのは、ミクシィの笠原さんからの視点や、グリーの田中さんらの視点だろう。
ギラギラしている肉食系ベンチャーと草食系のベンチャーが共存していた時代。
通信会社や携帯電話会社のマージンビジネスでしのぎを削ってきたNTTチルドレンが日本のITベンチャーの先祖だった。
トランジスタ会社のフェアチャイルド社のフェアチルドレンたちが、シリコンバレーをつくってきたITベンチャーとは、やはり大きう違う。
米国のベンチャー企業の内幕を描いた映画「ソーシャルネットワーク」と比較しながら読むと、いびつな日本のベンチャー構造が見え隠れしてくる。
これをきっかけに「拝金」にも興味を持った。
堀江貴文さんの「小説」という新たな表現手段に、彼の人生論を「ストーリー」として、はじめて同じ視点で眺めることができた。