自分が借り物だという生き方 骨髄バンクの登録で思った事 2004年版

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http://www.jmdp.or.jp/

現在の骨髄バンクの登録者は18万人。実際には30万人規模での登録が必要とされているからだ。

ボクは献血ということにはあまり興味をもっていなかったが、骨髄バンクの登録は、数年前におこなった。先週、ボクのHLAという白血球の型がドナーとして適合しているので、骨髄提供についての説明を聞いてほしいという連絡をいただいた。住所が神戸在住の頃だったので、転々としているボクを相当探していただいたらしい。

簡単な電話の説明によると、DNA検査、血液検査、提供意思の確認(なぜか家族にも確認するそうだ)の上で、骨髄を提供することとなる。提供する患者さんがどこの誰だかは教えてもらいないということだ。さらに骨髄採取には、全身麻酔をして、腰からズゴズゴと髄液を摂取し、3日から4日入院するという。説明を聞けば聞くほど、メリットが何にもないように思える。実際に物理的なメリットはどこにもない。メリットどころか、下手をするとビジネスデーを考えると一週間の休暇をとらなければならない、腰骨に採取の手術跡が残る。採取は痛いかもしれない…。もしかすると…と考えれば考えるほど、メリットなんてない。しかし、白血病の患者さんが一人、ボクの骨髄で生き伸びることができるという事実は何事にも変えがたいことだろう。

一時、ぼくはアメリカのグリーンカードを得るために、身体のかなりの部分をアメリカに臓器提供したことがある。アメリカにとってどれだけ価値のある人間であるかを証明する一番簡単な方法だ。

…といっても空港で、臓器提供のドナー証明にサインをしただけだから、まだボクの身体の臓器は完全にボクのモノだ。メスの一本もささってはいない。アメリカだけに提供するのはいやなので、眼球、心臓、肺はアメリカ、フランスには、肝臓、腎臓、膵臓などをドナー登録しちゃった。さらに日本で死んだ場合には空輸されないともったいないので、日本で死んだ場合のために日本でも二重に臓器提供の登録をしている(これがいいのかどうかはわからないが…)。

まず、臓器提供にサインをしてから、自分の身体の臓器の一つ一つを意識するようになった。特に網膜などは、ボクのあとに誰がこの網膜を使ってくれるんだろうか? 死んでからも少しはボクの意識とつながって、映像が見えないのかなどと考えるようになる。自分の肉体が滅びても、自分のDNAは世界のどこかで生き続けているんだという意識は、非常に自分の身体を無駄遣いしなくなった。健康にできるだけ大切に使い、次の人に気持ちよく使ってもらいたいと思うようになる。

これは生き方にも大きく影響を与えるようになる。自分の身体が自分だけのものではないということだ。常に自分とともに数人の未来の人格がこのハードウェアを共有するという意識でもある。死ぬ時はできるだけ五体満足で死にたい。深酒は肝臓などを弱めてしまうなどといたわる気持ちになる。これは、臓器提供にサインした瞬間から目覚める新しい感覚である。

しかし、死んでから提供するのと、生きている間に骨髄を移植するのはかなり勝手が違う。覚悟はしていても入院が好きな人はいない。家族の承諾なんてなかなか得にくいだろう。ボクの母親なんて、きっと「お葬式の時に五体満足でなくてどないすんの?」と怒りだしかねない。また、そんな心配もかけたくはない。

しかし、お葬式の遺体なんて、顔以外は花束できっと見えないし、目も閉じているので、眼球がなくても問題はないはずだ…。そんな焼く前の身体がキレイでも仕方がないじゃないか。頭一個であれば、棺桶も本当は小さくて小ぶりで安くすむのに…。いやいやそんな問題じゃない。

自分が世の中にどれだけ役に立てるのかを、単なる時間や精神的な損得だけでは判断できないということだ。覚悟しているけれども、国自身がもう少し便宜をはかれるような仕組みがあってもいいだろう。そのひとつが健康保険などの制度だ。

以前コラムで医療費負担について提案したことがある。「めざせ! 国民健康キャッシュバック10万円キャンペーン!」だ。本当に意味のある使い方をされているのであれば意味があるのだが、誰がどう見ても無駄な税金の使われ方についてもっと声を大にすべきだろう。

せめてドナー提供するような健康な身体からも医療費負担を強いることはないと思う。これは、年金とはちがう意味のものなのだから。また、ドナー提供者によって、医療費を削減できるのであるから、当然、ドナー提供者には医療費などの低減などのメリットを付与することは政府レベルでは十分に可能だろう。慈善だけではなく、ドナー提供者にもビジネスレベルでいうところのWin-Winの関係を考えてもいいのではないだろうか? それがあるだけで、家族を説得できる人は増え、結果としてドナー提供者が増えて、約5,000人の白血病患者に明るい光が見えてくることだろう。

今、ボクはセグウェイでの公道走行での書類送検についての検察庁から裁判所に送った後の結果を日本で待つようにと言われている。昨年の夏の話がまだ、いまだに終わらない…。この件で、どれだけの税金が投入されているかと思うと、ぞっとする。関わる担当者がすべて無駄な税金に見えてくる。麻原オウムの裁判などは8年もかかって、まだまだ先が見えない…。本当にこの国はどうかしていると思う。

ボクはいつ来るのかわからない裁判所の呼び出しのためにずっと待たされている。身体が待ち続けているワケではないが、精神的にはずっと待たされている状態が昨年の夏から継続している。こんなことなら、任意出頭に全く応じず、強制逮捕されて話題になったほうがましであったと本当に思う。警察に任意で付き合ってあげているにもかかわらず、TV報道などによっての社会的制裁を十分に受けているからだ。

書類送検中でも医者などの人命の生死にかかわる職業の人は裁判所の呼び出しを変更できる権限があるそうだ。ドナー提供で裁判所の呼び出しを却下する権利があってもいいはずだ。しかし、そんな前例は日本にはない。前例のないからこそやってみるという生き方もいいかもしれない。どっちが正しかったのかは、いつか時代が証明してくれるだろう。

 

ドナーズネットのインタビュー

http://www.donorsnet.jp/

 

ドナーが増えれば助けられる命が確実に、増えるのに…。
飲食店の皆様、ドナーカード割引とかできませんか?

ぐるなびさんとか 、食べログさんとかの方が話はやいかもね!

 

 

日本の骨髄バンクへの登録は2、3年前です。というのも、僕は”ドナーマニア”でして(笑)。死んだら、片方の眼と心臓、肺はアメリカ、もう一方の目と肝臓、膵臓、腎臓はフランスへ提供することになっています。

僕の臓器提供は、ある意味で打算的なんです。1998年頃、アメリカの空港で「臓器提供に同意しておくと、グリーンカードの取得に有利だよ」と声をかけられたのがきっかけですから。本当にそうか分かりませんが、実際、申請書には臓器提供に同意していると書き込めるようになっています。

アメリカだけにあげるのはシャクなので、その後フランスでも臓器提供に同意しました。さらに日本で死んだときのために、日本の臓器提供意思表示カードも持っています。そんなわけで僕の死後、身体のどの部分がどの国へいくのか、死んでみないとよく分からなくなっちゃったんですけどね。

すべての動機は、なんでもやってやろうというジャーナリストの好奇心。骨髄ドナー登録も実はその延長なんです。

「人のために」というより、自分の利益になるという誘い文句でドネーションをはじめた僕ですが、実際に提供する意志表示をしたことで、自分の身体に対する意識が以前とは少し変わってきました。

例えば、昔は平気で徹夜して酒を飲んだりしていたのですが、今は「この肝臓は次に使う人がいるんだから、あまり痛めるようなことしちゃいけないな」と思うようになったんです。無茶しなくなりました。

次に使う人がいるという考え方は、由緒ある建物や自然環境を、子どもや孫の代まで伝えたいと思うのと一緒。つまり、身体もサスティナブル(持続可能)な物体なんだ、というふうに捉えられるようになったんです。

自分が使っている身体が、いつか誰かの役に立つかもしれない。逆に僕が誰かに助けられることがあるかもしれない。この発想、僕は精神的なゆとりや余裕みたいなものにもつながることだと思います。

ドネ−ションの意思表示をした人が得られる一番大きなものは、ひょっとすると、そうした身体に対する「共有意識」かもしれません。

いまのところ提供はまだですが、骨髄バンクからは「適合する人がいます。提供してもらえますか」という電話をいただいたことがあります。実は提供のことをよく知らないまま登録してしまったので、「明日にでも入院 !?  仕事をなんとかしなきゃ」なんて、とても焦ったんですけどね 。

話を聞けば、ドナー候補になっただけで、検査を受けてほしいという段階。結局そのときはドナーになりませんでしたが、提供に至るまでの過程を詳しく聞いて、あらためて骨髄ドナーになるのは大変なことなんだと、つくづく思いました。

1週間近く仕事を休まなきゃいけないし、肉体的な負担も大きい。死後の臓器提供や献血とはまったく別物です。この大変さに対して、僕はもっと社会的な見返りがあってもいいんじゃないかと思うんです 。

例えば、ドナー登録カードを提示すると割引サービスが受けられる飲食チェーンがあったり、履歴書に書くと、それをプラスに評価するという会社があったりしたら、学生がすぐにでも登録するんじゃないでしょうか。

骨髄ドナーになれるということは健康の証ですから、医療費だって人より使わないわけです。そう考えれば、骨髄ドナーになった人には健康保険料〇万円キャッシュバック!なんて制度があってもおかしくない。

特典のために登録するのは善意のボランティアじゃない、という考えもあると思います。ですが、今の世の中は、逆にベネフィット(利益)がまったくないことに対して、行動しにくい人が多いと思うんです。

「なんで登録したの?」と人に聞かれたとき、人の役に立つからと答えるのは照れちゃいますけど 社会的な特典があれば話しやすい。「実はいろいろ良いことがあってさ」なんて、さりげなく自慢できるし。

「そんないいことがあるなら、俺もしようかな」そういう連鎖で、ドナー登録者の数が増え、骨髄移植で助かる人の数を増えればいい。動機がどうであれ、結果につながることが大事ですよね。

第三者にもわかるはっきりした特典があれば、勤め先の理解が得やすいかもしれないし、肉親の説得もしやすくなるかもしれない。企業に対しても、社員の何割かがドナー登録していたら、エコマークみたいな特別なマークを商品につけることを許すとか。これからドナー登録者を増やしていくには、そんな分かりやすい仕掛けが必要なんじゃないかと思っています。

ドナー登録するのは無料で!ドナーカードもらうだけで、とってもいいことした気分になりますよ!

http://www.donorsnet.jp/interview/004389.php?page=all

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