2014年 安倍晋三首相 政治資金報告書から
❏6つの政治団体から1億8473万円
❏個人献金は3,258万円
・主な個人献金者
150万円 すぎやまこういち氏 金美齢氏
❏政治資金パーティーで6,196万円収入
東京都内のホテルで3度、「朝食会」形式で開催。
・日本医師連盟は計200万円分 製薬産業政治連盟
・富士フイルム100万円 富士フィルム会長の古森重隆氏は第1次政権でNHK経営委員長に就任
❏企業・団体献金は4,262万円
自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)の2014年分政治資金収支報告書によると、電力10社の役員からの個人献金は計10万円にとどまったことが共同通信の調べで分かった。
東京電力は10年に役員とOBで1017万円を国政協に寄付したが、福島第1原発事故のあった11年に38万円に急減。12年から3年連続で献金は確認されなかった。
❏支出
人件費など事務所運営費
加藤勝信1億総活躍担当相や高市早苗総務相など気脈の通じた同僚議員のパーティー券を10万円以上購入。
福島野菜果樹生産組合や大津波に襲われた岩手県の山田町役場にそれぞれ100万円寄付
政治家の集金力
茂木敏充選対委員長が2億491万円
菅氏は1億3341万円
岸田氏は1億2857万円
野田聖子前総務会長は前年を下回ったものの1億1136万円
小泉進次郎農林部会長は1億円の大台を突破
石破茂地方創生担当相9765万円、
谷垣禎一幹事長7481万円、
稲田朋美政調会長4586万円
与党派閥別集金力
最大派閥の細田派「清和政策研究会」が2億4663万円
細田派は、14年5月に東京都内のホテルで開催したパーティーに約5800人が出席、1億6616万円の収入を得た。開催諸経費は2450万円で、単純計算すると「利益」は1億4166万円。
岸田派「宏池政策研究会」の1億4460万円
二階派「志帥会」1億2068万円
額賀派「平成研究会」1億1816万円
平沼赳夫自民党衆院議員の資金管理団体「平沼会」1億1583万円個人で最多
茂木敏充選対委員長の「茂木敏充政策研究会」1億945万円
石原派を除く6派閥が前年から収入を増やした
新党大地代表の鈴木宗男元衆院議員の「21世紀政策研究会」が7位で1億893万円
派閥所属議員への資金提供が含まれる「寄付・交付金」の支出も、細田派が1億8550万円で最多。14年6月に「氷代」と呼ばれる活動費50万円ずつを所属議員側に配ったほか、11月の衆院解散直後には衆院議員側に200万円、参院議員側に100万円ずつを支給。
石破茂地方創生担当相をトップとする石破派は、15年9月結成のため、対象外。
自民党は安倍晋三首相が2014年11月18日に衆院解散を表明後、使途を明かす必要のない「政策活動費」計7億3800万円を党幹部に支給
自民党は解散表明翌日の19日に谷垣禎一幹事長や高村正彦副総裁ら6人に政策活動費を支出。谷垣氏には投開票日まで8回、計6億2800万円が支給された。溝手顕正参院議員会長に3000万円、高村氏や二階俊博総務会長ら4人に各2000万円が渡った。
自民党は14年衆院選で、ほぼ全候補に各1000万円を支出。さらに6派閥が所属する前職らを独自に支援した。山東派は500万〜100万円、岸田派は300万〜200万円を配布。細田、額賀両派は各200万円、麻生、二階両派は各100万円を配った。石原派は確認できなかった。
民主党は解散後、一律500万円の公認料のほか、ほぼ全候補に各1000万円を支給。選挙戦中盤に、接戦と判断した約60選挙区に追加で最大500万円を支援した。終盤には長野3区と京都3区にさらに各500万円を投じた。
維新の党は、12年に前身の日本維新の会で臨んだ際、選挙資金は候補者が持ち寄ったが、14年は前職候補に各900万円を提供。生活の党は前職、元職の候補らに最大500万円を渡した。公明、共産、社民各党は地方組織の活動状況に応じ分配したとみられる。
政党交付金
自民党は交付金収入が13年比4・8%増の157億8000万円で、総額の67・4%を占めた。寄付金は11・3%増の26億5000万円で、党本部とは別に献金の受け皿となる政治資金団体「国民政治協会」から2億5000万円増の23億円が入った。
民主党の収入は17・4%減の77億9000万円。交付金は10億8000万円減の66億9000万円で総額の85・9%に達しており、国費依存の体質から抜け出せていない。
維新の党と次世代の党は収入の54・5%と39・7%がそれぞれ交付金で、残りの大半は前身の政党から引き継いだ資金だった。生活の党は交付金が収入の88・7%を占めた。
公明党と、交付金を受け取らない共産党は機関紙発行など事業収入の割合が最も多く、それぞれ65・1%、87・6%に上った。社民党は事業収入が34・7%あり、交付金は44・1%だった。
政治資金、最多は再登板後 最低は辞任時(2015/11/27)27日までに公表された政治資金収支報告書によると、安倍晋三首相が関係する六つの政治団体が2014年に集めた政治資金は1億8473万円だった。第1次政権の06年以降、最多だったのは再登板を果たした12年の2億2019万円で、最低は首相を辞任した07年の1億1007万円。14年の収入で個人献金は3258万円と過去9年で最高額となった。野党だった10年の413万円と比べ約8倍に上る。9年間の浮沈をたどった。14年分で100万円以上の高額献金者は13年の9人から20人へ増えた。人気ゲームソフト「ドラゴンクエスト」の音楽を手掛けた作曲家のすぎやまこういち氏や、評論家の金美齢氏は150万円を寄付。金氏は09年からの常連。保守派の論客として知られ、再起を目指す首相を鼓舞してきた。広告inRead invented by Teads他の主な収入は大規模な政治資金パーティーで6196万円。収入全体の増減を大きく左右してきた。政権を投げ出した07年は開催を見送り、11〜12年は1億円以上を集めた。14年の政治資金パーティーは東京都内のホテルで3度、「朝食会」形式で開催。日本医師連盟は計200万円分を購入した。ほかに製薬産業政治連盟がほぼ毎年、高額を支出している。富士フイルムは12年以降、毎年100万円以上を購入。会長の古森重隆氏は第1次政権でNHK経営委員長に就任し、第2次政権以降も頻繁に会食やゴルフで顔を合わす間柄だ。企業・団体献金は4262万円だった。支出面では、14年分は人件費など事務所運営費が大半を占めた。再登板直前までは、加藤勝信1億総活躍担当相や高市早苗総務相など気脈の通じた同僚議員のパーティー券を10万円以上購入。東日本大震災のあった11年には風評被害に苦しむ福島野菜果樹生産組合や大津波に襲われた岩手県の山田町役場にそれぞれ100万円寄付した。茂木氏ダントツ、小泉氏1億円超え 「ポスト安倍」集金力岸田文雄外相や菅義偉官房長官ら8人の自民党議員を安倍晋三首相の後継候補「ポスト安倍」と見立てて資金力を比較したところ、茂木敏充選対委員長が2億491万円で首位に躍り出た。小泉進次郎農林部会長は1億円の大台を突破し、5位に入った。菅氏は献金が前年の2倍を超える5467万円に上り、1億3341万円で2位。岸田氏はパーティーなどの事業収入が7000万円を超え、1億2857万円で3位につけた。野田聖子前総務会長は前年を下回ったものの1億1136万円で4位。茂木氏は2013年比3597万円増で唯一の2億円台。パーティー計6回で1億945万円を稼ぎ出した。小泉氏はセミナーを資金源に年々増え、14年は1億66万円。若手では群を抜く集金力を見せた。他の3人は石破茂地方創生担当相、谷垣禎一幹事長、稲田朋美政調会長。府県選管届け出の関係政治団体分が不明で単純には比較できないが、石破氏は公表済みの3団体で9765万円となり6位。企業・団体献金が13年比で2倍以上に増えた。谷垣氏の7481万円、稲田氏の4586万円と続いた。細田派トップ 派閥別収入自民党の各派閥の集金力を比べると、最大派閥の細田派「清和政策研究会」が2億4663万円で2年連続首位だった。2013年同様、全派閥が政治資金パーティーを開き、石原派を除く6派閥が前年から収入を増やした。細田派は、14年5月に東京都内のホテルで開催したパーティーに約5800人が出席、1億6616万円の収入を得た。開催諸経費は2450万円で、単純計算すると「利益」は1億4166万円。派閥所属議員への資金提供が含まれる「寄付・交付金」の支出も、細田派が1億8550万円で最多。14年6月に「氷代」と呼ばれる活動費50万円ずつを所属議員側に配ったほか、11月の衆院解散直後には衆院議員側に200万円、参院議員側に100万円ずつを支給した。石破茂地方創生担当相をトップとする石破派は、15年9月結成のため、対象外。自民、党幹部に7億円 解散表明後自民党は安倍晋三首相が2014年11月18日に衆院解散を表明後、使途を明かす必要のない「政策活動費」計7億3800万円を党幹部に支給していた。2012年衆院選時に比べて倍増。幹部が全国の遊説先などで必要な資金を繰り出し「短期決戦」を乗り切る作戦だったとみられる。民主党は劣勢を少しでも挽回するため、激戦区に資金を重点的に配分した。自民党は解散表明翌日の19日に谷垣禎一幹事長や高村正彦副総裁ら6人に政策活動費を支出。谷垣氏には投開票日まで8回、計6億2800万円が支給された。溝手顕正参院議員会長に3000万円、高村氏や二階俊博総務会長ら4人に各2000万円が渡った。12年衆院選では、当時の野田佳彦首相(民主党)による解散表明以降、安倍晋三総裁や石破茂幹事長ら6人に対し計3億6800万円だった。自民党は14年衆院選で、ほぼ全候補に各1000万円を支出。さらに6派閥が所属する前職らを独自に支援した。山東派は500万〜100万円、岸田派は300万〜200万円を配布。細田、額賀両派は各200万円、麻生、二階両派は各100万円を配った。石原派は確認できなかった。民主党は解散後、一律500万円の公認料のほか、ほぼ全候補に各1000万円を支給。選挙戦中盤に、接戦と判断した約60選挙区に追加で最大500万円を支援した。終盤には長野3区と京都3区にさらに各500万円を投じた。維新の党は、12年に前身の日本維新の会で臨んだ際、選挙資金は候補者が持ち寄ったが、14年は前職候補に各900万円を提供。生活の党は前職、元職の候補らに最大500万円を渡した。公明、共産、社民各党は地方組織の活動状況に応じ分配したとみられる。電力会社役員、自民に献金控える?自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)の2014年分政治資金収支報告書によると、電力10社の役員からの個人献金は計10万円にとどまったことが共同通信の調べで分かった。13年の計12万4000円と同水準だった。原発再稼働を目指す一方で「政権与党へのすり寄り」との批判を免れるために、献金を控えた可能性がある。電力各社の労働組合がつくる政治団体が民主党側に提供した資金は、岡田克也代表のセミナー会費26万円など計約400万円で13年の約3800万円を大きく下回った。14年は参院選がなく、支援する組織内候補への寄付金が計上されなかったことが要因とみられる。東京電力は10年に役員とOBで1017万円を国政協に寄付したが、福島第1原発事故のあった11年に38万円に急減。12年から3年連続で献金は確認されなかった。14年は北陸電力の役員1人が10万円を寄付した。東電のほか、北海道、東北、中部、関西、中国、四国、九州、沖縄の各社も確認されなかった。民主党の政治資金団体「国民改革協議会」への献金は、電力各社で見つからなかった。政党収入、交付金頼み 依存率、自民67% 民主85%政党本部の収入総額に占める政党交付金の割合は58・6%(受け取っている政党のみ)と例年同様に高く、国費への依存傾向が続いている。交付金は議員数などに応じて配分されており、自民党がさらに増やした一方、民主党は大きく収入を減らした。自民党は交付金収入が13年比4・8%増の157億8000万円で、総額の67・4%を占めた。寄付金は11・3%増の26億5000万円で、党本部とは別に献金の受け皿となる政治資金団体「国民政治協会」から2億5000万円増の23億円が入った。民主党の収入は17・4%減の77億9000万円。交付金は10億8000万円減の66億9000万円で総額の85・9%に達しており、国費依存の体質から抜け出せていない。維新の党と次世代の党は収入の54・5%と39・7%がそれぞれ交付金で、残りの大半は前身の政党から引き継いだ資金だった。生活の党は交付金が収入の88・7%を占めた。公明党と、交付金を受け取らない共産党は機関紙発行など事業収入の割合が最も多く、それぞれ65・1%、87・6%に上った。社民党は事業収入が34・7%あり、交付金は44・1%だった。1億円超え7団体 資金パーティーパーティー収入の総額が1億円以上の政治団体は七つあり、前年より三つ増えた。トップは前年と同じく自民党最大派閥の細田派「清和政策研究会」で1億6616万円。自民党の派閥がトップ4を占め、高い集金力が浮き彫りになった2位は岸田派「宏池政策研究会」の1億4460万円。3位は二階派「志帥会」1億2068万円で、額賀派「平成研究会」1億1816万円と続いた。細田派が前年比で3254万円増となるなど、いずれも収入を増やした。4派閥とも1回のパーティー開催で1億円以上を集めた。5位は2014年末時点で次世代の党党首だった平沼赳夫自民党衆院議員の資金管理団体「平沼会」。5回の開催で1億1583万円を集め、個人で最多となった。6位は自民党の茂木敏充選対委員長の「茂木敏充政策研究会」。13年12月開催を含む6回で1億945万円の収入を得た。新党大地代表の鈴木宗男元衆院議員の「21世紀政策研究会」が7位で1億893万円。■ことば政治資金収支報告書政治団体の1月1日から12月31日までの収支や保有資産を記した報告書。政党や政治資金団体、複数の都道府県で活動する政治団体は中央分として総務相に、一つの都道府県で活動する団体は地方分として都道府県選挙管理委員会に、提出しなければならない。11月末までに公表される。年間5万円超の献金や、政治資金パーティーで20万円超の支払いを受けた相手の氏名や金額などを記載。不動産や預貯金、有価証券、100万円超の貸付金や借入金も記入する必要がある。企業・団体献金企業や業界団体、労働組合などからの政治献金。癒着を防ぐ観点で、政治家個人への献金は2000年に禁止された。ただ支部長を務める政党支部では受け取ることができるため、多くが政党支部で企業・団体献金を受け、個人の資金管理団体に還流させているなどの問題が指摘されている。一つの企業や団体が献金できる総額は、資本金額などで異なり、最大で年間1億円。赤字が続いたり国からの補助金を受けていたりする企業は献金できない。政党交付金政党助成法に基づく公的な助成金。特定の企業や団体との癒着を防止する政治改革の一環で1995年に導入された。国民1人当たり250円を直近の国勢調査に基づく人口に掛け合わせて年間の総額を算出。毎年約320億円が4回に分けて交付される。所属国会議員5人以上などの要件を満たす政党のみが対象で、議員数や得票数に応じ配分額が決まる。使途は制限されないが、借金返済や貸し付けに充てることはできない。制度に反対する共産党は受け取っていない。