1997年、サンフランシスコ、モスコーニコンベンションセンター
ギルバート・アメリオの基調講演、アップル社がNeXT社を買収し、スティーブ・ジョブズがアップルに戻った最初のMACWORLD EXPO
ビデオを設置し、カメラで撮影しながら、最前列に陣取った。しかし、オフィシャルの360度パノラマカメラにほとんど映像はさえぎられたまま。
会場には、モハメッド・アリも最前列で招待されていた。
アリに話しかけたが、1997年の時点で彼はすでにボクの質問にも答えられない状態のようであった。
ギルバート・アメリオの退屈な紹介の後、ジョブズが登場した瞬間、最低の状況であったアップルになんだか、光がさした気がした。
ジョブズは、延々としゃべりまくる。あまりにも長いので、アメリオが地団駄を踏み、イライラする。しかし、ジョブズは自分の理想とする世界をしゃべりまくった。アメリオなんて、もう彼の目には映っていなかった。
最後には、名誉職として、スティーブ・ウォズニアックがステージに登壇してくる。なんだか、その日は、THE BEATLESの再結成を見ているかのような気分に浸った。
しかし、アメリオにとっては、人生最悪の一日だったようだ。この当日の事は、アメリオの薄氷の500日に詳しい…
しかし、もしも再建屋のアメリオがいなければ、ジョブズもアップルにはいない。ジョブズは、ピクサー株で、おそらくディズニーのCEOで別の道を切り開いていた事だろう。それはそれで、ジョブズの作ったディズニーのテーマパークには行ってみたい気がする。
一方、アップルは、アメリオが身売りをしていれば、サン・マイクロシステムズに買収されて、現在ではオラクルの一部門として、オラクルのクラウド端末として、人気を博していたのかもしれない。
アメリオへの松田さんの人物評
その後、ジョブズはアップルに iCEO という中途半端なCEOの役職を作り、小さな「 i 」でアップルの行く末と自分のポジションをはかりにかけた…。
アメリオを見事に追い出した後の1998のMACWORLD
ヒゲを蓄えたジョブズがアップルのiCEOとして登場した。ここからアップルの快進撃が続く…。
この日、ステージから降りたジョブズに息子さんがかけより、その瞬間に写真を撮影した時、ジョブズに「No!」と叱られた。ジョブズに怒られたのはNeXTの時から2度目である。
そして、1998年は、初代iMacの登場だ!
この日から、アップルのコンピュータは、再発明された。ブラウン管をデザインしたどこから見ても、美しいコンピュータが誕生したのだ。フロッピーディスクはなくなり、USBが標準となった。
アップルの特徴は、この1998年の時点でiPodのコンセプトを製品化している事なのだ。
ジョブズが初代iMacを熱く語っている瞬間、その脳裏にはiPodがあるのだ。
そして、iPodを熱く語っている瞬間、その脳裏には、iPhoneが…
iPhoneを熱く語っている瞬間、その時にはiPadが…
iPadを熱く語っているその瞬間、次世代のデバイスもしくはサービスが展開されている。
ジョブズのDNAが刻まれた製品が、あと5年以内(2016年まで)に登場してくれることだろう。
それがジョブズの最後の作品として、世界を「あっ!」と言わせることを彼はきっと計画しているにちがいない。
死んでからも影響を残すことを彼ならば、きっとデザインしていると信じたい。