堂島ホテルでamadanaに出会う

大阪で編集会議の講座の後、「堂島ホテル」に宿泊した。

母なきあとの父だけがいる神戸の自宅は、管理が行き届いているわけでもなく、帰るとまずは、部屋の空気の管理から掃除まで待っている。一日の仕事
が終わり、家に帰ってから掃除と思うと、さすがに気が滅入る…。たまにはホテルでゆっくりしたいと思ってもちっとも不思議ではないだろう。

中央電気倶楽部(設立:大正3年昭和5年本館改築)という文明開化の音がするような瀟洒なたたずまいの会場で講義を終え(飲み会がなかったのが少し残念でもあるが)、編集会議で取っていただいた

堂島ホテル

http://www.dojima-hotel.com/
へと向かった。サントリーの隣にあるホテルで昔から何度も中ではミーティングなどで使ったことがあるが、古いだけのホテルという印象だった。

このホテルは2006年8月(2年半前)に大規模リニューアルオープンしかつては「アンビエント堂島ホテル」という時期もあった。


(撮影: EXLIMケータイW53CA by CASIO)

チェックインして部屋に入って驚いたのが、部屋のインテリアだ。シティホテルにありがちな機能の追及だけでなく、茶色でまとめられた、かといってバリ風のオリエンタルなムードもまったくなく、非常にセンスのあるホテルである。

シンプルで何もないのに、とても居心地が良い。

何よりも、目立っていたのがamadanaのCDシステムだ。かつてのアップルのG4
Cubeを彷彿させる立方体デザイン。少し見ずらいディスプレイだけれども、再生ボタンを押すと、なかなかイイ感じの曲がかかる。普段はロック一本槍なん
だけれども、部屋の雰囲気と音楽が非常にマッチしていて、非日常な洗練された空間に進化していく。しばらく耳をかたむけていると、自然と苦手だったハウス
系の音楽にハマっている自分がいた。

無機質なリズムの中にアナログなボーカル。おしゃれなカフェ空間がホテルにやってきたというインプレッションだ。

フロントに電話してアーティストを確認すると、コピーをすぐにお持ちしますという。コピーって、まさかブランクディスクに音源を焼いてもってくる
のか?と少しだけ、ワクワクしながら待っていると、CDジャケットの表紙をゼロックスの意味のコピーで、持ってきてくださった。そりゃ、そうでしょう!
CD焼いてきた日には著作権侵害ネタになるところです。

そして、

アーティスト名は、大阪出身のDJで、

田中知之氏 Fantastic Plastic Machine
http://www.myspace.com/fantasticplasticmachine
http://www.fpmnet.com/

amadanaのデザインと田中知之氏の音楽、ホテルのテーマでもある「オーセンティック モダン」で、すっかりこのホテルが気に入ってしまった。バスルームでも同じ音楽が聞こえ、音につつまれながら、いい香りがしている…。

シャワーを浴びて、わかったのがこのボディシャンプーの香りであった。ネットで後で調べると、

イタリアの完全無農薬ハーブ

「bio leaves」

http://agronatura-store.jp/

というブランドのアメニティー製品であった。

すっかり気分もリラックスし、amadanaや堂島ホテルなどを、ホテルのネットで調べていくつかの知識が得られた。

まさにインターネット時代の検索連想ゲームである…。

現在のオーナー企業は外食産業の

シンワオックス株式会社(加ト吉が41.4%保有)

http://www.shinwa-ox.com/
であり、加ト吉が2008年4月18日に日本たばこ産業の100%子会社化されるので、堂島ホテルもJT傘下となりそうということか?

このシンワオックス株式会社の役員は、古くからこの堂島ホテルを利用しており、何とか再生できないものかということで、ホテル全体のリノベーションを手掛けることとなった。

そして、

トランジットジェネラルオフィスの

中村貞裕氏

http://www.transit-web.com/
に白羽の矢が当たった。

中村貞裕氏の活動は、実はキヤノンのIXYサイトが一番よくわかる。

http://cweb.canon.jp/camera/ixyd/special/people/creator08_01.html

キヤノンのサイトも、世界を飛び回り気になる店のスナップを撮影するという中村貞裕氏はコンテンツの世界でも、理にかなっている。

こういう企画こそ、まさにネットならではのインタビューだろうと感心する。

デジカメのIXYを購入するつもりがなくても、中村貞裕氏を検索していて、ついついIXYの使い方のシーンを脳裏に焼き付いてしまった。カメラを
欲しい人は検索でスペックを見つけるのだが、このサイトでは、カメラを欲しいと思っていない人までが、ついつい欲しくなるから、まさに広告以上に意味があ
るだろう。

さらに

日経トレンディネット

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/special/20071026/1003915/

のインタビュー、で「OFFICE」「Sign」「CLASKA」などの店舗の事や仕事ぶりがわかる。とても楽しそうだ!

「一人で仕事を抱え込まずに、あらゆる分野で第一線級のプロの人たちを、何人も巻き込んで、任せてしまう」「広く浅く、何でも知っているスーパーミーハーなことが一番の強み」という。これもこれで非常に素晴らしい!

話を堂島ホテルに戻すと(「中村貞裕  堂島ホテル」で検索した)

http://blog.excite.co.jp/exism/4225847/

http://blog.excite.co.jp/exism/4226005/

http://blog.excite.co.jp/exism/4226373/

・ブランディングプロデュース:トランジットジェネラルオフィス中村貞裕

・家具デザイン:graf

・アートディレクション:タイクーングラフィックス鈴木直之

・インテリアデザイン:権藤旭

・ブックショップ:ハックネット安岡洋一

・ホテル経営・運営:シンワオックス株式会社

とある。

タイクーングラフィックス

http://www.tycoon.jp/

http://www.adobe.com/jp/print/spotlights/tycoon/
といえば、amadanaとも切っても切れない関係である。

また、amadanaの前身となる、東芝のデザインプロジェクト「atehaca」から参加していたクリエイターである。彼らが東芝のプロジェクトからスピンアウトして

株式会社リアルフリート

http://www.realfleet.co.jp/index.html

を共同で設立し、

amadana

http://www.amadana.com/

という家電ブランドである「amadana」を築いた。

amadanaとは、日本の伝統工芸である漆器の問屋が集った「尼店(あまだな)」から来ており、日本の家電品を変える試みを日夜おこなっている。

その活動をまた、今度は

日産のサイト
http://blog.nissan.co.jp/CUBE/GOODS/2006/01/amadana_1_amada.shtml
がインタビューしているのがとてもユニークだ。

デザインやクリエイティブといったテイストを企業が攻めだすと、テレビCMではもはや訴求しにくくなり、番組や雑誌やWebという中身のメディアが必要になってくる。

そして当然、制作したコンテンツの寿命は実はWebが一番長い。番組は放送したらい一度きり。雑誌の寿命は約一か月。ところがWebならいつまで立っても、検索してきた人にピンポイントで見せることもできる。

考えてみると、これはもう「広告」ではなく、ライフスタイルや思考、コンテクストの文脈で、関連性で売る時代へとシフトしているのかもしれない。

企業がWebでコンテンツを制作しはじめると、ユーザーは検索で企業のコミュニティに積極的にアクセスし、情報をプル(引き出す)しはじめる。検索で見込客や潜在顧客を発見することができるようになってきている。

顧客と企業が新しい価値観をウェブサイトで共有する時代がやってきている。

また、amadanaを販売する株式会社リアルフリートは、家具雑貨の

FrancFranc

http://www.francfranc.com/
を運営する

株式会社バルス

http://www.balstokyo.com/jp/
のグループ会社である。

家電がセレクトショップや家具屋で売られていることとなっている。

そう、すでに業界ごとの「○○屋」の店舗発想ではなく、ユーザーのライフスタイルにあわせて、ショップはユーザーの前で自然に融合しはじめている。