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ANA ボーイング787におけるローンチングカスタマー戦略



アジャイルメディア・タイアップ・レビュー。この記事は、アジャイルメディア・ネットワークのタイアップです。

初飛来したボーイング787 羽田空港 全日空機体メンテナンスセンター

2011年07月04日(月)ANA(全日本空輸)とボーイングは、最新鋭中型旅客機「ボーイング787」の披露式典を、羽田空港で開催した。

前頭部下方から、この位置で飛行機を見あげることはまずない経験。

AMNのブロガー枠でこの式典に参加。

ボーイング787は、2004年にANAがローンチングカスタマー(立ち上げ顧客)として発注したことにより、開発がはじまった機体。当初は北京五輪(2008年)に就航予定であった。しかし、納期は遅れに遅れ、ようやくこの2011年の秋に就航が可能となった。

開発にはANAも加わり、ローンチングカスタマーという役割で、いわば、いろんなトラブルの難産を乗り越えてボーイングと一緒に生んだANAとボーイングの子供であるともいえよう。wikipedia

航空業界では、メーカーであるボーイング社が開発製造をしてから販売するのではなく、最初の顧客である航空会社のオーダーによって、カスタマイズしたものを標準装備として、販売するという慣例がある。その最初の顧客のことをローチングカスタマーと呼ぶ。

ローンチングカスタマーは、まだ出来上がっていない機体に対し、購入をコミットメントする。その替りに開発を自社の好みに創り上げるメリットがある。また、整備面や運用面でも機体のことを熟知しているからのメンテナンスと、最初に導入できる先行者利益を得ることができる。

しかし、むしろそれよりもANAにとっては、世界が注目する次世代機においてのローンチングカスタマーということのバリューで世界にANA品質を問うことができることの方が重要だった。とANA営業推進本部WEB販売部部長の浅田康夫氏。

航空業界のトレンドは、「速く」「遠く」「大量」で進化してきた。

しかし、「速く」というトレンドは、コンコルド機のように、速いというだけでの採算性は現在のトレンドにあわなくなった。2001年ボーイング社が掲げたソニッククルーザープロジェクトは911と共に頓挫してしまった。

ボーイング社 ソニッククルーザー

 

そして、「大量」はエアバス社が発表したA380(550席)で決め打ちかと思われたが、航空会社は、大量輸送よりも、中型機でエコで「遠く」を実現するボーイング787の方向へトレンドが替りつつある。

エアバス社A380

ボーイング787は、「たくさん」よりも、軽量化によるエコな機体で経済性で燃料費を年間で数十億円節約できる機体として注目を集めるようになった。ANAにとって、就航の1986年から20年かけてようやく黒字化できた国際線は巨大化ではなく、より運用低コスト化をめざした。

787は、近・中距離路線での燃費改善効果、1万5000キロもの大型機並みの航続距離を飛ばせる。さらに大型機では不採算となる就航が可能となる。

なんと、ボーイング787の現在の受注数は56社835機にのぼる大ヒット機種となった。つまり、ANAのオーダーメイド機が世界の主流になるという可能性を見せてきている。

また、注目されるのが、日本企業の製造部分である。東レの炭素繊維複合材をが機体の約50%もの重量比で採用され、三菱重工業、川崎重工業、富士重工業らが主要部品を担い、日本企業の製造分担率は35%にまでなった(B767で15%、大型機B777では20%)。
エンジンにはロールスロイス社のジェットエンジンが2基

IT化を積極的に進め、省エネ機構でより経済的な機体にしあがった。

中でも、快適性の確保ということで、欧米人にはいまひとつ理解されていないウォシュレットトイレを採用した部分を個人的には評価したい。

ボーイング787開発に携わったANA整備本部技術部  並木広行氏。

一般の大手メディアも集まったセレモニーだったが、その後に開催されたブロガー用のセミナーで、現在の航空会社の戦略を知ることができた。

プロペラ機からJET化、大型化から中型機化。

エアバスの予測した”Hub-to-Hub”ハブ空港ごとを大量につなぐところから、ボーイングの”Point-to-Point 中都市空港を細かくつなぐ方向へ。

高速化に料金を払うよりも、より低価格なコストで健全な利益を保つという戦略が世界の航空会社の主流になってきたようだ。

 


    
 

 


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