ホリエモン×ひろゆき「なんかヘンだよね…」
ホリエモン×ひろゆき 語りつくした本音の12時間 「なんかヘンだよね・・・」(集英社)を読んだ。
時代の「寵児」と騒がれてきた2人の本音対談。
若くしてこれだけの経験と失敗と誤解とネタミを抱かれてきた人は少ない。
なんとなく、世の中のほうがおかしい気持ちになってくるから不思議だ。
マスメディア的には、「やはり出る杭はうたれるんだなあ…」の雰囲気で、ホリエモンをテレビ業界から抹殺した感があるが、ところがどっこい、ホリエモンはしっかり元気。
2ちゃんねるを売却したひろゆき氏との対談で、さらに、この2人の「怪人ぶり」が増長して発揮される。
2人がなぜ「怪人」かというと、怖いものが、何にもないという圧倒的な強さだ。
それらをすべて、自分の手で作り、自分の足で歩んで、社会に叩かれてもへこたれない強さだ。
2人を批判するのは、とても簡単だ。常識がないし、礼儀も知らない。しかし、それが一体、何なんだろう。
それは、本質的な部分ではない。裁判を抱えたホリエモン、名誉毀損の裁判に出頭せず、支払い命令にも応じないひろゆき。確実に今までの「基本的な日本人」とは違う。
表層的な常識とモラルで判断してきた日本人には、とてもできない発想だ。
実は、彼らの粗野な対談の一つ一つは、大きな発想の転換を与えてくれている。
「人様にうしろ指をさされるようなことを…」の発想は、きっと、「後ろ指さされてもいいじゃん!」と一瞬にして払拭されてしまう。
村型社会で、村で八分にされると生きていけなかった頃の処世術だ。
今や、インターネットという「新たな村社会」では、新たなサービスを素早く展開するという思考こそが一番のルールであり、マナーとなっている。その本質では、プロセスよりも結果がすべてだ。だから、その間にうごめく、風習や習慣を軽んじてしまう傾向がある。
彼らの唯一の欠点は、それらに対しての、「表現力」や「伝達力」に欠けている点ではないだろうか?
こんなことを言ったら、どう思われるだろうか?という思慮は一切介在していない。
この本は、きっと「リトマス試験紙」かもしれない。
好き嫌いがはっきりと別れる一冊だと思うが、嫌悪を感じる人の多くは、おそらく、嫌悪の裏側にある自分には絶対にできないだろうと思う、「ライバル心」や「嫉妬に近いもの」があると思う。
彼らの本音にムカつきながらも、そのムカツク自分と、どう対峙することが重要かと思う。彼らは特殊なことをしたのではなく、インターネットという技術を、日本においてどうサービスすればいいかを、自分の責任で自分の判断で動いてみた結果が、彼らそのものを作り上げてきている。
同じ道を選択したら、誰もがそう感じてしまう極みにいると思って読んでみてほしい。
また、彼らならではの情報も実は、満載なのである。
特に、P.62の「政治資金のカラクリがすごい」のカラクリは、実際にボクも自分の政治資金団体を持ってみてはじめて気づいたが、こんな都合のいい「マネー・ハック」の方法があるとは…。悪用する人がいてもおかしくない仕組みで守られていると思う。政治家がもしかすると、一番税金を払わなくていい隠れ蓑なのかも知れないからだ。普通は誰もそんな美味しい話をしない…。また、実際に、裁判の話なども、他の書物で読むのとまったく違うポジショントークが面白く読めた。
この本を執筆しているのが、ボクの教え子の一人ということでもあるが、彼(マヨと呼んでいる)自身が二人の話を、楽しみながら、そして誤解を招かぬよう、書いているのがよくわかる。
伝えたかった事もわかる。ただ、もっと、もっと、頭のカタイおじさんたちへの配慮がなされてた本も、そろそろ必要な気がしてならない。
マヨ、そろそろ、「仕掛人」とかいっていないで、表にきちんと出てきなさい。