18,085 Views

24年間マクドナルドから給与をもらってきた男が語るマクドナルド 元・営業本部長 ジョニー藤本孝博 -原田泳幸の懐刀-

スポンサーリンク

現・ソフトバンクの藤本孝博氏。
ソフトバンクアカデミア外部一期生の同期の記事より。

藤本孝博(ふじもと・たかひろ)
天ぷら「ふじ好」を展開するTFJ社長。 1964年大阪生まれ。1986年、桃山学院大学卒業後に日本マクドナルドに入社。店長やスーパーバイザーを経て、九州地区や東京地区の営業部長を歴任。2010年5月にマクドナルドを退社し、株式会社TFJを設立。ソフトバンクアカデミア外部1期生。

業績が苦戦するマクドナルドに「おまえら、もっとがんばらなあかん」と檄を飛ばす人がいる。藤本孝博氏だ。マクドナルドに24年間勤め、営業本部長やプレミアムローストコーヒーの無料配布などマーケティングキャンペーンを担当した。その恰幅のよい体格と、面倒見のよさから「マクドナルドのボス」(写真)と呼ばれてきた。

引用元: 原田泳幸の懐刀は希代のマックバカ | 俺が日本一のマックバカ | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト.

元・マクドナルドの原田泳幸CEOのプランにダメ出し

原田さんから渡されたリクルーティングプランを見ました。でもはっきりとNOを出しました。「原田さん、小賢しいやつが片手間に机の上で作ったこんなプランじゃ話にならない。もしこのプランをやれ言うのやったら、僕じゃない人を選んでください」と突っぱねました。
そうしたら、原田さんは笑って、「どこがダメだ?」と聞くから「全部ダメ」と答えた。「僕にやれと言うんなら僕にプランから作らせてくれ」と言って作ったのが、当時のパーフェクトスタッフィングプロジェクトっていう採用計画だった。そこに必要条件を5つぐらい書いて、その中のひとつが別部署にいた鴨頭(かもがしら)を僕の部下にくれという要求だった。

――どうして鴨頭さんを?

彼は目立っていたんです。僕が東京に来て、死んだような目をしているOCの中で、1人だけひょっとしたらこれは化けるかもしれないと思ったのが鴨頭でした。だからビシビシ叱りました。「何をしとんねん、お前は!」と言うて、いつも怒っていたような気がします。それに彼は他の人とはちょっと違う感性を持っていたんです。

マクドナルド、顧客のストーリー化

「あのな、物語を想像してみないか」と言った。「東京のこの副都心で働いているサラリーマンは、世間的には認められているビジネスマンだ」と。ここに買いに来ている30代、40代のサラリーマンは家を買ったばかりで、2時間ぐらいかかけて通勤していたりする。満員電車に揺られて、昼休みも時間がないからマクドナルドに来るんです。もちろん速いのも大切。でも「ここでうちのクルーが、この人たちの1時間の休憩に何かひとつほっこりするものをお届けすることができたら、それが本当のサービスになるんじゃないのか」と。
マクドナルドでスピードはすごく大事。朝一番にコーヒー1杯買いに来るお客さんを必死にさばくことも絶対に必要です。ただ、その瞬間に「お仕事頑張ってください」とかわいいクルーが一言添えるだけで「何か知らないけど、今日テンション上がったわ」とか、今日この店にランチを買いにきて、かわいいクルーが「午後も頑張ってくださいね」と言うだけで午後も頑張るかと思えたらどうだろうと助言しました。
「そのためにチェックするならわかる。でも機械と機械が応対しているみたいになって、本当に伝えたいものがわかっていない。そんなことで店のビジョンなんか決められるか」と叱りました。あいつはそういうことに対する感性があるから、「そんなこと言われたの初めてです」と半泣きに言う。あいつの中で何かが弾けたんです、何かが。それからあいつの仕事ぶりが大きく変わりましたからね。
たかがマクドナルドなんですよ、たかがマクドナルド。100円で食べられて、100円で飲めるものを売っているんですから。だから、たかがと思われている。でも、そこを僕たちは「されどマクドナルド」なわけです。「俺たちにはもっとできることがあるんちゃうんか」と。伝わるか伝わらないかはお客さんが感じること、決めることです。「俺たちはどこまで行きたいか、何がしたいのかがすごく大事なんやろって。俺はそう思うけどな」と言うと、クルーにはちゃんと伝わるんですよ。クルーが変われば店長もやっぱり変わるんです。

マクドナルドという組織の階層制度

マクドナルドの職層は店舗業務を行う、セカンドアシスタントに始まり、ファーストアシスタント、店長と上がっていく。人にもよるが、入社してから3~10年かかる。その後、約6店舗を統括するオペレーションコンサルタント(OC)があり、これは同業他社のスーパーバイザーに当たる。さらにOCを統括するオペレーションマネージャー(OM)が統括する。基本的にOCは直営店を担当するが、フランチャイズ店を担当する役職をビジネスコンサルタント(BC)という。

マクドナルドの哲学は、QSCにあり「クオリティー、サービス、クレンリネス」

QSC(注:クオリティー、サービス、クレンリネスの頭文字で飲食店の基本姿勢)にはこだわりました。素直な人が多かったからコミュニケーションでちゃんと間合いを詰めて、あるべき姿はこうなんだということを徹底的に提示していくと、目に見えて店はよくなりました。「高いQSCは高いセールスと利益を生む」という原則は当然正しいと思っています。きちんと教えていくうちにQSCがよくなって、日に日に売り上げが伸びていった。どんどん人が育って儲かって、気がつけばものすごい利益。予算比で340%とかそういう店舗もありました。

前年対比の呪縛

メニューは同じでも、家賃や人件費が安い。環境も悪くないから売上高がちゃんと出ていれば利益も出ている。当時の上司もそれをわかっていたようで、「九州では、ぬるい環境でやってそこそこ利益出て満足しているが、本当はもっと利益を出せる。それをお前はやってこい」言われました。

これはどこの会社でも言えることだと思いますが、ある年に急に利益が出ると翌年が苦しいから、そこまで売り上げや利益を伸ばそうとしないヤツがでてくるわけです。当時の部下も「ボス、ちょっと緩めないと、来年大変ですよ」と言うから、「来年また倍出すねん」と言って、翌年もさらに伸ばしました。

80%の「充足率」運営の怖さ

エリアの中でいちばん優秀な社員がOCになると、クルーの充足率80%でうまく回せる店長を育てる。充足率100%にする概念がない。そうすると、OC以下、80%で運営できる人が、80%で運営できない店長を指導するから、最大限70%くらいで運営できる。そうすると運営に変な技術を持った変な店長ばかりになってしまう。でも、お客さんがさばき切れないから利益はでない。だから彼らにクルーの充足率を100%にしなさいという話をするんです。

まず正しい採用活動が大事です。マクドナルドのマニュアルには「リクルートのステップワンは店舗イメージの向上だ」と書いてあるんです。アルバイトに応募して来て、「こんなところは嫌だ」という店では誰も働きません。でも当時はそんな店しかありませんでした。

当時、大阪にある店舗の年間リクルートコストが20万円ぐらいのころに東京はその10倍近く使っていた。とにかくクルーが足りないから1年中、アルバイトの情報誌に募集広告を掲載していた。1回載せるといくらだけど、年間契約にしていくら節約しましたという。それで「節約ができた」と言っている連中に、「お前は永遠に浮かび上がらない」という話を店長やスーパーバイザーたちにしていました。

リクルートコストは高いのに、時給もうなぎ上り。クルーが足りないから、もう精根尽き果てて早期離職率が高いという悪循環に陥っている。アルバイトは入ってくるけど、彼らを大事にするとか、ケアすることができないから早く辞めてしまう。だからずっと募集し続けなければならない。このサイクルをどこかで止めるために「今、急にコストは下げられないから、入ってきたクルーを辞めさせるな」、「妥協しないでいいやつをとれ」とリクルーティングのステップワンを徹底的に言っていました。

そうすると、若手とかキャリアの浅い店長がだんだんとよくなってくるのを実感してくる。できるやつが、少しずつ増えてくきて、お店が急によくなってくる。みんな真面目だから、スーパーバイザーもOMもそれがだんだん、転換するようになるんですよ。これで東京はだいぶよくなりました。

この記事に関連する記事

スポンサーリンク