マイナンバーシステムと資産把握の危険性:視野に入るべき問題

 

マイナンバーの懸念事項

どうしても 1番の懸念は、マイナンバーによる資産把握ではないだろうか?

マイナンバーによる資産把握の仕組み
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_seisaku-syakaihosyo20180813j-04-w520

タンス預金で、1000万円以上持っている人は少なくなってきていると思うが、複数の銀行や信託銀行、証券会社と別れているところがすべてマイナンバーで紐づけでつながると、個人資産の把握は、とてもやりやすくなる。

『暗号資産(仮想通貨)』とまではいかないが、新たな、資産のおきどころというニーズも生まれることだろう。

日本のマイナンバーシステムは、効率的な行政サービスを提供するという名目で、国民一人ひとりにユニークな番号を付与するものである。そして、このシステムは、税金、社会保障、災害対策など、多岐にわたる領域での管理を助けている。しかし、その全体的な機能と特に、個々人の資産を把握する潜在的能力については、さまざまな懸念が呈されている。

マイナンバーシステムが資産把握に使われると、国が個々の国民の財政状況を詳細に知ることが可能となり、個人のプライバシーに対する脅威が生じる。さらに、情報漏洩のリスクも否応なく増加する。

プライバシーは個々人の自由と尊厳に関連する基本的な権利である。政府が個々人の資産を具体的に把握できるようになると、その情報は不適切に使われる可能性がある。政府の機能を超えた範囲での情報の使用、あるいは政府内の悪意ある第三者による悪用は、社会全体に対する信頼を損なう可能性がある。

また、情報漏洩のリスクも無視できない。何度も大規模なデータブレーチの例を見てきている。高度なセキュリティシステムを持つ大企業でさえ、ハッカーによる攻撃から自社の顧客情報を守ることができない場合がある。これを考えると、国民全体の個人資産情報を一元化するシステムのセキュリティについて、深刻な懸念が生じる。

しかし、国家に対する信頼を放棄するべきではない。資産把握のためのマイナンバーシステム利用についての議論は、より広範で深遠な問題、すなわち、プライバシーと国家の必要性の間のバランスをどのようにとるべきか、という問いに直結している。

解決策は明らかになっていないが、国家と市民の間の透明性と対話が必要である。情報管理の厳格なルール、セキュリティ対策の強化、そして何よりも、マイナンバーシステムの全体的な運用に対する国民の理解と監視が重要である。これらが組み合わさることで、個々人のプライバシーを尊重しながら、効率的で公正な行政サービスを提供することが可能となるだろう。

さらに、法律的な枠組みが個々人のプライバシーをどの程度保護し、それがどのように規制されるかを定義することも、この問題を解決する上で重要な要素となる。データブレーチが発生した場合の責任と罰則、個人情報の取り扱いと保管方法、そして情報が不適切に使用された場合の救済策など、法律はこうした問題を明確にする必要がある。

最後に、個々の国民が自分自身のデータをコントロールし、それがどのように使用されるかを把握する権利を持つべきである、という主張がますます重要になっている。これは「データ自己決定権」と呼ばれ、個々のデータ主体が自分の情報に対する権利を有するという概念である。これにより、マイナンバーシステムを通じて収集される個人の資産情報に対する制御が増すだろう。

要するに、マイナンバーシステムと資産把握には、利便性とリスクが両方存在する。だからこそ、この問題を真剣に考え、情報とプライバシーを守りつつ、公平で効率的な社会を構築する方法を模索しなければならない。社会全体の利益と個々人の権利の間でバランスを取ることが、未来の行政サービスのキーとなるであろう。

2018年の記事であるが…こういう背景を考えると、マイナンバーを積極的に礼賛とはいいずらい。

■政府は 社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を活用して高齢者が保有する預金や有価証券などの金融資産を把握する仕組み作りを先送りする方針を固めた。2018年度末の具体策取りまとめの期限を来年度以降に延ばす。社会保障費抑制に向けた重要課題と位置付けてきたが、国民の理解や準備が進んでいないと判断した。

■介護施設に入所して食費や居住費の補助を受ける場合は、低所得要件に加えて金融資産が1人当たり1000万円以下であることを証明するよう求められる。

■財務省の推計によると2000万円以上の金融資産を保有する割合は40歳未満の若者世帯で5%以下にとどまるのに対し、65歳以上の夫婦では4割近くに達する。

■同省などは、高齢化に伴って膨張する社会保障費を抑えるため、所得が少なくても多額の貯蓄を持つ高齢者に対しては今以上の負担を求めるべきだと主張している。

■マイナンバー制度の整備が進み、当局が証券・銀行口座を容易に照会できるようになれば、高齢者の金融資産も把握しやすくなる。

https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_seisaku-syakaihosyo20180813j-04-w520