話題作だけど、見ていなかったのでTSUTAYAの無料キャンペーンで見た。
何よりも言葉がアラム語とラテン語という世界観。
そして、永遠とむごたらしいリンチに耐えるイエスの姿。
酷いし、痛いし、そこまでするのかという重苦しい映像が続く。
モニカ・ベルッチが出ていようが、ちっとも気にならないくらいに重苦しい。
それだけ、世の辛さをイエス・キリストは受難として、十字架を自ら背負ってゴルゴダの丘へ向かった。
ジュリサレム(エルサレム)には、ステーションと呼ばれる、キリストが倒れた場所ごとにモニュメントがあるが、この映画を見て、そのモニュメントのナンバーにも壮絶な意味があったことをあらためて想い出した。
ゴルゴダの丘は、現在は「聖墳墓教会」となっている。立派な教会なので、ここがあの丘であったとはイメージしにくい。
むしろ、ベツレヘムにある「聖誕教会」の方に関心を抱いた。馬小屋とされていた場所も教会になっているのだ。モザイクの床になっている小さな祠(ほこら)がある…。そこがイエスが誕生した場だ。人一人がやっとはいれる小さな場所にある。
一人づつ中に入り、キリストの誕生の場と触れ合うことができる。
その中に、はいった瞬間、なんだかとてつもないパワーを感じたことがある。それは、過去、何千万人という人が巡礼してきた場所との対峙だ。いろんな想いがかけめぐっているのだろう。信者でも信者でなくても、すべての人に愛をもたらそうとする預言者の誕生の場所である。その祠から出てくると、慈愛に満ちた気持ちになった。
「パッション」はキリストの受けた受難の大きさを、痛々しさを、壮絶に描いた映画だ。とにかく、辛い映画であることは確かだが、キリストはその辛さをすべて受け止めたことを知ることができる映画でもある。
ただ、まったくキリストや聖書に関しての知識がない人が見たら、リンチ映画にしか見えないかも知れない。